

【フローニンゲンからの便り】18907-18912:2026年6月21日(日)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18907 身体動作の再現性を意識して 18908 今朝方の夢 18909 今朝方の夢の振り返り 18910 非二元と二元の関係 18911 省略の知性を育む余分な動きへの意識 18912 即興演奏の練習における指板上工夫 18907. 身体動作の再現性を意識して ブランダン・エイカー氏の助言の核心は、音色の不安定さを「集中力不足」や「努力不足」の問題として捉えるのではなく、弦への接近の仕方の微細なズレとして捉える点にある。これは非常に重要な指摘である。演奏者は、昨日は良い音が出たのに、今日はなぜか音が薄い、硬い、ばらつく、と感じることがある。そのとき多くの場合、自分は集中していないのではないか、もっと丁寧に弾くべきなのではないか、と考える。しかし彼は、問題は精神論ではなく、身体動作の再現性にあると述べているのである。クラシックギターで言


【フローニンゲンからの便り】18901-18906:2026年6月20日(土)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18901 ザルツブルグでの啓示と今、そしてこれから 18902 今朝方の夢 18903 今朝方の夢の振り返り 18904 グラハム・ハーマンのオブジェクト指向存在論と唯識 18905 クァンタン・メイヤスーの思弁的実在論と唯識 18906 デフォルトモードネットワークについて 18901. ザルツブルグでの啓示と今、そしてこれから 清澄な小鳥の鳴き声を耳にした瞬間、それは単なる自然音ではなく、雷鳴のような気づきとして自分の内側に響いた。小鳥の声はか細く、澄み切っていて、どこまでも軽やかであったはずなのに、その響きは意識の深い岩盤を打ち抜くような力を持っていた。音とは不思議なものである。大きな音だけが魂を揺さぶるわけではない。むしろ、世界の奥底からそっと差し出されるような微細な音こそ、眠っていた自己理解を一瞬で目覚めさせることがあるのだ。その鳴き声を聞きな


【フローニンゲンからの便り】18895-18900:2026年6月19日(金)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18895 カオスの淵で寛ぐこと 18896 今朝方の夢 18897 今朝方の夢の振り返り 18898 ミュージックセラピーとしてのギター演奏 18899 自分のホロスコープとモーツァルトのホロスコープを比較して 18900 ギター演奏に内在するマルコフモデル・エルゴード性・非エルゴード性 18895. カオスの淵で寛ぐこと カオスの淵とは、秩序と混沌のちょうど境目にある状態を指す概念である。完全な秩序の中では、物事は安定しているが、新しいものは生まれにくい。反対に、完全な混沌の中では、変化は豊かに見えるが、形として保たれにくい。カオスの淵とは、その両者のあいだにある、秩序が崩れすぎず、混沌にも飲み込まれすぎない、創造性と適応性が最も高まりやすい領域である。生命、知性、組織、創造活動は、しばしばこの境界領域で進化すると考えられる。氷のように


【フローニンゲンからの便り】18889-18894:2026年6月18日(木)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18883 答えの必要のない問いの大切さ/修士論文の着実な進展 18884 今朝方の夢 18885 今朝方の夢の振り返り 18886 出発と帰還の重力/理論書の手放し 18887 ヒュームの思想と唯識思想 18888 帰郷の道を開く清水としての文化箏の音色 18889. 和的な響きをもたらすクラシックギター 数日前に文化箏を平調子にした余韻の中で、ふとクラシックギターも平調子的な響きにできるのだろうかと考えていた。箏の音は、弦ごとに定められた音が空間に放たれ、余韻が水面の波紋のように広がっていく。一方、クラシックギターはフレットを持ち、和音や旋律を自在に動かせる楽器である。そのため、箏そのものにはならない。しかし、平調子の音列をギターの上で選び取り、開放弦や低音をうまく響かせれば、そこには確かに和的な風景が立ち上がるように


【フローニンゲンからの便り】18883-18888:2026年6月17日(水)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18883 答えの必要のない問いの大切さ/修士論文の着実な進展 18884 今朝方の夢 18885 今朝方の夢の振り返り 18886 出発と帰還の重力/理論書の手放し 18887 ヒュームの思想と唯識思想 18888 帰郷の道を開く清水としての文化箏の音色 18883. 答えの必要のない問いの大切さ/修士論文の着実な進展 時刻は午前6時を迎えようとしている。この時間帯はまだ小鳥の鳴き声はさほど聞こえない。遠くの方から微かにその音が聞こえてくるぐらいだ。彼らの合唱が聞こえるまでしばらく待とう。ここ最近は再び寒さが戻っていたが、明日は25度を超え、明後日は30度に到達する夏日となる。来週の初旬からまた涼しさが戻ってくるが、コンスタントに最高気温は20度を超えてくるので、もう寒さを感じることはほとんどないかと思う。連日、こ


ハーバード・ビジネス・レビューへの投稿記事の公開(第16回〜第17回)
皆さま いつもお世話になっております。 成人発達学者の加藤洋平です。 ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)にて、新たな連載記事(第16回〜第17回)が公開されました。 前回の連載では、ハーバード大学教授カート・フィッシャー(Kurt Fischer)のダイナミックスキル理論をもとに、「能力」の発達について考察しました。 今回の連載では、もう一つの重要な発達軸である「器」の発達に焦点を当てます。 理論的な土台となるのは、ハーバード大学教授ロバート・キーガン(Robert Kegan)が提唱した主体客体理論です。 私たちは日常的に、「あの人は器が大きい」「器が小さい」といった表現を使います。しかし、その違いはどこから生まれるのでしょうか。 それは単なる性格の違いでも、経験年数の違いでもありません。 キーガンは、人が世界をどのように意味づけ、自分自身や他者との関係をどのように理解しているのかという「心の構造」の発達に着目しました。 第16回では、「器の大きいリーダー」と「器の小さいリーダー」の


【フローニンゲンからの便り】18878-18882:2026年6月16日(火)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18878 エディンバラでの生活に想いを馳せて/存在の身軽さ 18879 今朝方の夢 18880 今朝方の夢の振り返り 18881 音色を超えて、「音味」を大切にして 18882 カントの観念論とシェリングの観念論の違い 18878. エディンバラでの生活に想いを馳せて/存在の身軽さ 時刻は午前5時半を迎えた。昨日の朝は雲がかかっていたが、今朝は見事な朝焼けが見える。午前5時前に外に出て、いつものようにタバタ式トレーニングを行った。ここ最近は垂直跳びをメニューに組み込むことを好んでいて、8から9のメニューの中で15回1セットの垂直跳びを2回ほど行っている。現在仮契約が済んだエディンバラのアパートメントが正式に契約まで進み、実際に生活を始めると、そこには2種類のジムが建物内にあり、片方のサイクリングマシーンとローイ


【フローニンゲンからの便り】18871-18877:2026年6月15日(月)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18871 誕生前夜に意識を澄ませること 18872 今朝方の夢 18873 今朝方の夢の振り返り 18874 風の香りと土地の記憶 18875 シェリングの超越論的観念論と唯識思想 18876 シェリングの唯識への親近性 18877 増幅する輝きと新鮮さ 18871. 誕生前夜に意識を澄ませること ブランダン・エイカー氏の助言の核心は、音色とは「鳴った後に整えるもの」ではなく、「弦に触れる直前から触れた瞬間にすでに決まっているもの」だという点にある。これはクラシックギターにおける非常に重要な感覚であり、音を聴いてから修正しようとするのでは、すでに出発点で遅れているということを示している。多くの場合、演奏者は音が鳴った後に「今の音は細かった」「今の音は硬かった」「もう少し丸い音にしたい」と判断する。しかし、エイカ


【フローニンゲンからの便り】18865-18870:2026年6月14日(日)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18865 ジャック・エリュールの思想と唯識 18866 今朝方の夢 18867 今朝方の夢の振り返り 18868 ペンタトニック・スケールの魅力と可能性 18869 時間と音という流動する川にある12という数字 18870 日本法相における空理解に関する博士論文の可能性 18865. ジャック・エリュールの思想と唯識 ジャック・エリュールの思想について考えていると、彼が見つめていたのは、単なる機械文明批判ではなく、近代社会の奥底で人間の判断力を静かに奪っていくテクノロジー体系の問題だったように思われる。エリュールにとってテクノロジーとは、道具や機械だけを意味しない。それは、効率、合理化、計算可能性、標準化、管理、最適化を至上価値とする一つの社会的原理である。つまり、コンピューターや工場だけでなく、教育、政治、医療、経営、


【フローニンゲンからの便り】18859-18864:2026年6月13日(土)
⭐️心の成長について一緒に学び、心の成長の実現に向かって一緒に実践していくコミュニティ「加藤ゼミナール─ 大人のための探究と実践の週末大学院 ─」も毎週土曜日に開講しております。 タイトル一覧 18859 ジンメルの『貨幣の哲学』と唯識 18860 今朝方の夢 18861 今朝方の夢の振り返り 18862 バーナード・スティグラーのテクノロジー哲学と唯識 18863 ポール・ヴィリリオの速度論と唯識 18864 アンリ・ルフェーヴルの思想と唯識 18859. ジンメルの『貨幣の哲学』と唯識 断捨離する予定のジンメルの『貨幣の哲学』について考えていると、貨幣とは単なる交換手段ではなく、人間の認識と欲望を組み替える一つの巨大な装置なのだと思わされる。貨幣は、物と物、人と人、欲望と対象のあいだに入り込み、それらを比較可能なものにしていく。リンゴ、書物、労働、時間、土地、才能、名声までもが、貨幣を介することによって同じ尺度の上に並べられる。ジンメルが見ていたのは、貨幣が経済を便利にするだけでなく、世界の見え方そのものを抽象化していく力だったのだろう。唯