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1321. 映像と情感を喚起する文章・ウィルバーの最新刊・人口知能に関する協働プロジェクトへ向けて


夕方に、嵐のような突発的な雨に見舞われた。私は幸い書斎の中にいたが、雷を伴うあまりに激しい雨に少々驚かされた。

地面に叩きつけるような雨が降り、同時に突風を伴っていた。窓ガラスに激しくぶつかり、しぶきを上げる嵐のような雨を見ていると、その激しさがある瞬間から美しく思えた。

遠くの空が晴れていることも手伝ってか、目の前の雨の世界がとても幻想的なものに思え、この激しい雨が自然の力強さを表現しているかのような美しさがあった。それは自然の躍動感が生み出す美だと言っていいかもしれない。

激しい雨が道路にたまり、すぐさま水の層がうっすらと道路の上に現れた。その上を激しい風が通り抜ける時、その姿は波打つ海のように思えた。

今日の午前中も論文を読むことに全ての時間を充てた。「マルチフラクタルトレンド除去変動解析」に関する専門的な論文や、ダイナミックシステムアプローチをキャリア発達の研究に適用した論文、センスメーキングに関するカール・ワイクが執筆した論文など多岐にわたる。

そうした論文を読む中で、ふと全く関係のないことを考えていた。「日々、文章として書き残すことがらは映像と情感を伴っていなければならない」という考えが突如自分の内側から顔を覗かせた。

日記を執筆する際、日々の出来事を事実として記述するのではなく、視覚的かつ感情的なものを引き起こす媒介としての言葉を生み出していくことが重要だ。内側に一切作用しない事実をどれほど書き残しても、それは全く意味がない。

重要なのは、日々の出来事が生きた映像かつ感覚として喚起されるような文章を書いていくことだ。なぜなら、こうした生きた映像や感覚を通して私は日々生きているからである。

一日が一つの物語であり、大きな物語の大切な一部であるならば、こうした生きた映像や感覚こそが、物語を構成する重要な要素となる。私はそれをないがしろにすることはできない。

自分自身が日記を読み返した際に、何か内側を喚起するようなものが立ち込めていなければならない。嵐のような雨が通り過ぎ、再び静寂さを取り戻した世界の中で、そのようなことを思う。 嵐のような雨が降る数時間前に、注文していた書籍が何冊か届いた。ウィルバーの新刊書 “The Religion of Tomorrow: A Vision for the Future of the Great Traditions——More Inclusive, More Comprehensive, More Complete (2017)”は、それがハードカバーであるせいもあってか、SESを凌ぐような分厚さに思えた。

SESほどではないが、100ページを越す注記が今回の作品にも付されている。中身をざっと眺めると、やはり第三層の意識段階に関する記述と「統合的記号論(integral semiotics)」の箇所は読む価値がありそうである。

だが、一つ気がかりだったのが、今回の作品は参考文献があまりにも少ないことだ。人間発達に関する科学的な論文はおろか、重要な専門書が全く活用されていないことに少々驚く。

ウィルバーは科学者ではないため、過去のどの作品においても、科学論文が引用されることはほとんどなかったが、それにしても今回の具材となっている文献リストの中身は、貧弱だと言わざるをえないだろう。

本書を一つの巨大な思想的小説とみなし、そのような態度で本書を読み進めることが賢明かもしれない。とりあえず来週から本書を一読したいと思う。 現在は、人工知能(AI)に関する協働プロジェクトなどまだないが、知性発達科学の探究を進めれば進めるほど、この領域の研究と実務において、AIの存在を無視することはできなくなりつつある。

以前の日記で書き留めていたように、AIを活用した発達測定は十分に実現可能であると最近思うようになっており、これに関係する協働プロジェクトに向けて、AIに関する専門知識を獲得しておく必要があると感じ始めた。

そうしたこともあり、今日は夕方に、MIT出版、ケンブリッジ大学出版、オックスフォード大学出版など、科学的な専門書を取り扱っている出版社の中でもとりわけ好んでいるそれら三つの出版社が発行しているAIの関連書を吟味し、それぞれの出版社から一冊ずつ専門書を購入した。

コンピュターサイエンスの専門家になるつもりは毛頭ないが、AIに関する協働プロジェクトに従事する日が近い将来やってきそうな予感を持っているため、AIの専門家と対話と協働ができるほどの知識体系を構築することは最低限の準備だと思う。

それら三つの書籍もこの夏期休暇の間に読み通しておきたい。時代のうねりを感じ、時代のうねりの中に生きていることを強く実感する。2017/7/19(水)

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