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2336. マスカレノ教授との久しぶりのミーティング


午前中、自宅を出発しようと思った頃から小雨が降り始めた。夕方の四時においても小雨が降り続けている。この雨は激しくなく、とても静かな雨だ。

今日はあいにくの天気だが、なぜだか早朝から心が躍るような気分だった。まるで春が私の目には見えないところで踊っているかのようであり、それが私の心に影響を与えているかのようだった。

今はもう自宅に戻り、この日記を書斎の中で書き留めている。この瞬間においても小雨が降り続けているのだが、今日は本当に心が明るい。

小鳥の鳴き声ではなく、小雨のささやきを聞きながら、今日のこれまでを振り返っていた。午前中にプログラムコーディネーターのマイラ・マスカレノ教授とミーティングを行った。

チリ出身のマスカレノ教授は、いつも親身に私をサポートしてくれる。彼女が長を務める現在のプログラムには私しか学生がいないことも影響しているのかもしれないが、マスカレノ教授とはこれまでもお互いの近況を報告するようなメールやミーティングを行ってきた。

だが、年末の「システマティックレビューの執筆方法」のクラス以降は、直接に会って話をする機会はなかった。私も年末年始は日本に一時帰国し、私がオランダに戻ってきたタイミングでマスカレノ教授はチリに一ヶ月ほど帰っていた。

今日は数ヶ月ぶりに直接会って話をする機会に恵まれた。研究インターンシップの進捗状況、そしてミヒャエル・ツショル教授の支援のもとに行っている研究の進捗についてまずは話をした。

その後、インターンやツショル教授との研究だけではなく、五月と六月に行われる二つの国際学会で研究発表をすることを伝えた。前者はアムステルダムで行われる国際ジャン・ピアジェ学会での発表であり、後者はロンドンで行われる国際学習科学学会での発表だ。

すると偶然ながら、マスカレノ教授もアムステルダムでのピアジェ学会で発表することが決まっているそうだ。二人が揃ってこの学会で発表する機会を得られたことはお互いにとって嬉しい知らせであり、各自がどの日に発表するのかを確認しあった。

私は6/1の最後の最後に発表をする枠が割り振られており、マスカレノ教授は6/2の昼食前に発表する機会が割り振られているようだ。この学会には、昨年私がお世話になっていたサスキア・クネン教授もゲストスピーカーとして登壇することになっている。

また、新ピアジェ派、ないし「新・新ピアジェ派」に区分されるであろう発達科学者も世界中からこの学会に参加するため、この三日間の学会が今から非常に楽しみである。

その後、以前からマスカレノ教授から依頼のあった、当該プログラムに対するコンサルテーションの話に移った。「コンサルテーション」というと少し大袈裟かもしれないが、マスカレノ教授は常に私にこのプログラムをさらにより良いものにしていくための助言を求めていた。

プログラムで提供されているコースの質とプログラム構成については、私は大変満足しているのだが、二人の焦点はやはりこのプログラムへ入るための選考基準に当てられた。留学生のみならず、オランダ人を含めて、このプログラムに昨年入学したのは私一人である。

このプログラムへ応募した者は何人もいたそうだが、とりわけ統計学の知識の不足を理由に、その他の全員は入学を認めることができなかったという背景がある。今年も何人かの応募があったそうだが、軒並み全員が同様の理由で不合格になっているそうだ。

フローニンゲン大学の社会科学系のプログラムは、かなり厳格な科学トレーニングを課すことをミッションに掲げているため、そうした厳しい選考基準になっている。だが、マスカレノ教授曰く、教育科学のこのプログラム(実証的教育学)に関しては、独自の基準を設定しようかと考えているそうだ。

まず私に意見を求められたのは、事前に課せられている統計学の知識がこのプログラムを進めていく上でどれだけ必要だったのかということだった。確かに、最初の学期に履修した一つのコースにおいては統計学の知識が要求されたが、それは必要最低限のものだったように思う。

私は過去に二度連続してフローニンゲン大学から不合格通知を受けており、二回目の不合格通知を受けてから、米国ジョンホプキンス大学が提供している統計学に関するMOOCを二つほど正式に受講したり、英国ケンブリッジ大学に行って応用的な統計手法とRプログラミングについて集中的に学んできた。

そうした準備を経て、今このようにしてフローニンゲン大学にいる。そこで学んできた統計学の知識やRのスキルは確かにこのプログラムを進める上で大いに役立っているが、仮にそれがここまでの水準ではなかったとしてもプログラムの完遂にはさほど問題ないように思える。

事実、最初の学期に履修したコースの課題でRを用いているのは私だけであり、後の60人ぐらいの受講者はSPSSを用いて統計分析を行っていた。また、最終試験そのものに統計学的な知識がそれほど要求されることはなかったことも考慮すると、入学段階でそれほど厳しい基準を設ける必要もないのではないかと思う、と話した。

「ありきたりな表現かもしれないが、このプログラムで学ぶ動機と情熱が最も重要だと思い、それを重視する形で、統計学の基準は少し緩めてもいいのではないか」とマスカレノ教授に提案した。また、「もし統計学の基準をあまりに満たしていない場合、pre-master program(修士過程に行くための準備プログラム)で統計学のコースを履修するように勧めるのがいいのではないか」とも提案をした。

実際に、昨年も二名ほどの留学生がこのpre-master programに進んだらしいのだが、全員そこでも単位が取れなかったそうだ。二人とも自国からわざわざフローニンゲンに来てこのプログラムに参加していたそうであり、単位が取得できなかったことはマスカレノ教授にとっても心が痛かったそうだ。

この間進路相談を受けたスコットランド人のカルムであればこのプログラムについていけるだろうし、問題なく修了できるように思う。このプログラムが全て英語であることを考慮すると、もしかすると英語に関してはネイティブであるかそれに準ずるレベルが必要であるようにも思う。

また、そもそも教育科学の他のプログラムともう少し差別化を図る必要があり、「実証的教育学」の魅力を伝えるようにすれば、オランダ人の学生にも応募してもらえるのではないかと思う、とマスカレノ教授に伝えた。大学院のプログラムをコーディネートすることはなかなか難しいのだと改めて思わされた。フローニンゲン:2018/3/28(水)16:35      

No.920: Toward Doctoral Work

I want to bridge diverse scientific fields (i.e., developmental, educational, and complexity science) and music education.

In particular, I’ll delve into education for music composition.

I need to have a large picture and decompose it into smaller parts that correspond to one study. I hope to investigate this theme for my doctoral dissertation.

I’ll make a sophisticated research plan. Groningen, 07:13, Thursday, 4/5/2018

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