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745. 倚重的安定性ずモチベヌション


今日は朝䞀番に「創造性ず組織のむノベヌション」ず「耇雑性ずタレントディベロップメント」ずいうコヌスの課題論文を読んでいた。特に、前者のコヌスを担圓する゚リク・リヌツシェル教授の文献遞択は非垞に䜓系的であるず気づかされる。

リストに蚘茉されおいる䞀぀の文献ず次の文献が芋事に繋がっおおり、同じ論点であるにもかかわらず、最初の論文の実蚌結果ず真逆の結果を瀺すようなものが次の論文に蚘茉されおいたりする。

そこから泚意深く読んでみるず、同じ論点でありながらも、調査で焊点を圓おる箇所が異なっおいたり、前提条件が異なっおいたりするのだ。文献リストを䜜成したリヌツシェル教授の意図は、受講生に察しお䞀段俯瞰的な芖点で䞡者の実蚌結果を捉えるこずを促しおいるように思える。

こうした文献の読み方により、そのトピックに぀いおの理解がより重局的になっおいくのがわかる。論文に蚘茉されおいる、創造性や組織のむノベヌションに関する実蚌研究やそれらの高め方よりも、それらの論文を抜出したリヌツシェル教授の狙いや、文献リストの䞭におけるそれらの論文の䞊べ方の方がよほど孊びが倚いように思える。 幟぀かの論文を読んだずころで、自分の研究論文の執筆に取り掛かった。今日は、人間の発達プロセスの䞭で䞍可避に珟れるアトラクタヌ状態に関する章を執筆した。そもそもアトラクタヌ状態ずは、ダむナミックシステム理論の䞭でも最重芁な抂念の䞀぀であり、ダむナミックシステムが瀺す安定的な状態を意味する。

ただし泚意が必芁なのは、ダむナミックシステムはアトラクタヌ状態にあったずしおも、絶えず動きを止めずに運動を行っおいるずいうこずだ。぀たり、アトラクタヌ状態ずは、確かにシステムが安定状態にあるこずを瀺す抂念なのだが、実際には、そのシステムはダむナミックな動きを継続させながら安定状態を䜜っおいるのだ。

さらに興味深いのは、ダむナミックシステムは䞀぀のアトラクタヌ状態だけではなく、耇数のアトラクタヌ状態を持ちうるのだ。ダむナミックシステム理論を神経科孊に適甚しおいるスコット・ケル゜ヌの蚀葉を借りれば、そうした状態を「倚重的安定性」ず呌ぶ。

厳密には、私たちの知性や胜力は、その構成芁玠を考慮するず、倚階局的な状態空間を持っおおり、それぞれの状態空間内に耇数のアトラクタヌが存圚しうる。そのため、発達支揎の際には、ひずえに発達の安定期——もしくは停滞期——ず芋立おお支揎策を緎るのではなく、どの状態空間内における、どのアトラクタヌのこずを指しおいるのかを特定する必芁があるだろう。

この分析を粟密に行うためには、デヌタが必芁であり、応甚数孊の手法を掻甚する必芁がある。ただし、コヌチやセラピストなどの臚床家にずっお、デヌタの収集や数孊的な解析手法を適甚するのはそれほど珟実的ではないだろう。

珟実的に考えるず、支揎者のメンタルモデルの䞭に、発達の停滞珟象を生み出しおいるのは䞀぀のアトラクタヌではなく、意識空間内の様々な階局に存圚する耇数のアトラクタヌかもしれないずいう発想を持぀こずが第䞀歩だろう。

そうした発想があるかないかによっお、発達を劚げおいる芁因を分析する質が倉わっおくるだろうし、そもそもクラむアントの安定期に察する捉え方が倉わっおくるこずになるだろう。

倚重的安定性ずいう抂念は、その他にも、発達支揎ずいう実務に察しおより有益な芳点を提䟛しおくれるものであるず思われるため、今埌どこかでたたこの抂念を取り䞊げるこずになるだろう。 アトラクタヌに関する章を曞き終えたずころで、昌食をずり、午埌からはニコ・むペレン教授の「胜力ずモチベヌション」ずいうコヌスに参加しおきた。このコヌスは正芏に履修しおいるわけではなく、自分の関心から、単に聎講をさせおもらっおいる。

人間の発達を考える際に、「モチベヌション」ずいう感情は極めお重芁であり、胜力の発達ずモチベヌションを倚角的に扱うむペレン教授の授業はい぀も瀺唆に富む。ただし、今日は芋えない疲れがあったのか、クラスに臚む私自身のモチベヌションは䜎かった。

そこから、モチベヌションずいう感情もダむナミックシステムであり、生き物のように倉動するこずを改めお実感する。ダむナミックシステムずしお生きおいる以䞊、このような日あるだろう。2017/2/14

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