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552. 天気とダイナミックシステム


起床直後、目を開けた瞬間に、今日は最良の身体・精神状態にあることがわかった。先日から天気予報を確認しながら、今日は久しぶりに快晴になることを知っており、実際に、起床直後から仕事を始めてしばらく経つと、辺りに立ちこめていた闇が早朝の太陽光に照らされる形で晴れ渡るのを目撃した。

外の気温はもちろん低いのだが、それでも、久しぶりの晴れ模様に促され、書斎の窓をしばらく開放していた。冷たく清々しい風が、書斎の中に入り込んでくる。その風は、部屋に流れているロシアのソプラノ歌手アンナ・ネトレプコの曲をより高らかに鳴り響かせることに協力している。

早朝から、オペラ曲のように人の声が入る音楽を聴く際には大抵、一日の始まりから極めて活動的なエネルギーが自分の中で躍動していることがわかる。その躍動的な力に拍車をかけるように、オペラ曲を無意識的——時に意識的——に流している自分がいるのだ。

自分の内側の感覚に真に合致する色や形の音楽を選ぶことは、私にとってとても重要なようだ。音楽という伴奏者が、いつも自分に寄り添っていてくれるのは、何よりも頼もしく、そして有り難い。午前中の仕事がひと段落したら、ランニングに出かけようと思う。

昨日のクネン先生とのミーティングの際に、最初の雑談話として、ダイナミックシステムとしての天気が話題になった。この話題を切り出したのは私であり、先週一週間は冬のフローニンゲンにしては比較的暖かく、先々週のように、11月にもかかわらず最低気温がマイナスになるような日はなかったのである。

日々の天気の変動性を観察している自分が存在しており、このところのフローニンゲンの街の天気の変動性は極めて高いと思っていたのだ。クネン先生曰く、ここ五年の間で、そうした変動性は高まってきているそうなのだ。

そして、先生からの大変興味深い示唆としては、先々週までの厳しい寒さの状態から、先週の温かい状態に移行したことは、次の安定的な状態に移行する前触れのような現象かもしれない、ということだ。

人間の知性や能力の発達にも当てはまることだが、ある動的なシステムが次の安定的な状態に移行する際には、大いなる跳躍がつきものである。そして、こうした大いなる跳躍が起こる前には、そのシステムが大きな変動性を示すことが見受けられるのだ。

そのようなことを考えると、ここ最近のフローニンゲンの街の天気の激しい変動性は、いよいよ本格的な冬という安定状態に入っていくことの予兆だったのかもしれない。このような雑談話の中、ダイナミックシステムアプローチを学ぶに従って、私たちの身の回りには、動的に変動するシステムが無数に存在していることに気づき、世界を眺める見方が変わっていく、という話になった。

クネン先生は、この領域での探究を始めてから20年ぐらいの歳月が経っているとのことであり、ご自身の体験から、ダイナミックシステムアプローチを学ぶにつれて、現象の捉え方が変容していることを実感しているそうだ。この点について、私も完全に同意した。

おそらくどのような理論にもこのような働きがあるのだと思うが、私たちの世界は、複雑かつ動的に変化する現象で溢れているため、それらの現象を真っ向から扱うダイナミックシステムアプローチに習熟していくことは、認識手法に大きな転換をもたらすことにつながると思う。

今日は、ダイナミックシステムアプローチに関する論文を少なくとも二本ほど読み、研究データのコーディングマニュアルを作成していきたい。2016/11/22

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