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【フローニンゲンからの便り】17369-17372:2025年9月10日(水)


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タイトル一覧

17369

デイヴィッド・ウォレスの『The Emergent Multiverse』

17370

今朝方の夢

17371

今朝方の夢の振り返り

17372

British CouncilのIELTS Ready Premiumの模擬試験の難易度

17369. デイヴィッド・ウォレスの『The Emergent Multiverse』 

 

時刻は午前6時半を迎えた。今の気温は10度と低い。おそらく今よりも早い時間帯はもっと気温が下がっていただろう。今日からはもう最高気温は20度に到達しない形となる。本格的に秋が到来した形だ。


デイヴィッド・ウォレス(David Wallace)の『The Emergent Multiverse』という書籍は、量子力学の「多世界解釈(エヴェレット解釈)」を哲学的・数理的に体系化し、その妥当性を擁護する代表的著作である。量子力学は測定問題、すなわち波動関数の線形的発展と観測結果の一意性をどのように両立させるかという根源的困難を抱えている。コペンハーゲン解釈は「波動関数の収縮」という特別な過程を仮定することでこの問題を処理するが、その物理的機構は説明されない。これに対して1957年のヒュー・エヴェレットは、「波動関数は決して収縮せず、全ての可能性が並存する」とする解釈を提示した。ウォレスの本は、このエヴェレット解釈を徹底的に擁護し、それが量子力学の最も自然で整合的な解釈であることを示そうとする。ウォレスの議論の中心は「分岐(branching)」という概念である。量子測定において波動関数は重ね合わせ状態を保つが、環境との相互作用による「デコヒーレンス」が進むことで、異なる成分同士が事実上干渉しなくなる。このとき、観測者は1つの結果を経験するが、他の成分も「別の世界」として存続していると解釈できる。すなわち、測定によって世界が分岐するのではなく、世界は常に多様な成分を含んでおり、デコヒーレンスがそれを実質的に切り分けるのである。ここで重要なのは、分岐は不可逆的かつ安定的に進むため、古典的世界が自然に出現するという点である。この「古典世界の出現」は本書のキーワードであり、「Emergent Multiverse」というタイトルもそこに由来する。多世界解釈に対する最大の批判は「確率」をどう扱うかという問題である。もしすべての結果が現実化するなら、なぜ私たちはある特定の結果を「確率的に」経験するのか。ウォレスはこの問題に対して、デイヴィッド・ドイッチュとともに発展させた「決定理論的アプローチ」を用いる。すなわち、量子力学に従う合理的主体の行動原理を形式化すると、ボルン則(波動関数の二乗確率)が必然的に導かれるという議論である。彼はこれを詳細に論じ、確率の概念が多世界解釈においても一貫して成立することを示そうとする。さらにウォレスは、エヴェレット解釈がしばしば「形而上学的に過剰」と批判される点にも答える。無数の並行世界を実在として認めることは奇妙に見えるが、彼によればそれは波動関数を実在と見なす限り自然な帰結である。むしろ恣意的な収縮仮説を導入するよりも、エヴェレット解釈はシンプルで数学的に明快であり、科学哲学的にはオッカムの剃刀に適う。彼は「私たちの古典的経験世界は量子論的多世界から自然に出現する」と論じ、エヴェレット解釈を「理論的に最も整合的で合理的な量子論解釈」と位置づける。また、本書は単なる哲学的擁護に留まらず、物理学的詳細も豊富に扱う。デコヒーレンス理論、量子情報の枠組み、古典的相関の出現、統計力学との関連など、現代量子基礎論の成果を統合しながら、多世界的宇宙観がいかにして整合的に成り立つかを示している。その結果、エヴェレット解釈は単なる思弁ではなく、科学的に精緻な基盤を持つ立派な理論的枠組みであることが明らかになる。総じて『The Emergent Multiverse 』は、量子力学の根源的問題に挑む哲学的・科学的探究の金字塔と言えるだろう。ウォレスは「量子論は多世界を要請する」と主張し、それをデコヒーレンスと決定理論を通して厳密に擁護する。哲学的には実在論的であり、科学的には整合的であるこの解釈は、私たちの世界観に根本的転換を迫る。つまり、私たちが生きる世界は無数の可能性の網目の1つであり、他の可能性も同等に実在するという認識である。本書は、量子力学の解釈をめぐる議論において最も影響力ある現代的擁護論であり、科学哲学と物理学を架橋する画期的著作なのである。フローニンゲン:2025/9/10(水)06:55


17370. 今朝方の夢

                              

今朝方は夢の中で、大学時代を過ごした国立の街にいた。駅から大学に続くメイン通りの書店に立ち寄り、そこで小中学校時代の2人の友人(SI & SN)と出会った。ちょうど彼らも自分と同じ書籍に注目していたらしかった。それはどんな書籍かというと、人気のアニメが映画化され、その映画に関して哲学的に解釈する専門書である。発売されたばかりのその書籍は、内容は専門的かつ学術的で難しいのだが、巷で噂になっていた。その本はすぐに見つかり、その本はある棚にたくさん平積みになっていた。ただし、そこに置かれている本にはカバーがかかっていて、中身が見れない状態だったので、表と裏の解説を読むことにした。すると、店長らしき中年の男性が私たちに声を掛けてきた。中身が見たいのなら店の入り口付近に立てかけている本を読むといいとお勧めしてくれた。そこには試し読みできる本がずらりと並べらており、その中にその書籍もあった。気がつくと、自分のリュックサックには大量の学術書が入っていて、とても重く、これ以上本屋に長居することはできないと思った。ちょうど期末試験が迫って来ており、スーパーに立ち寄って食材を購入し、自宅で勉強に励もうと思った。本屋を出て自転車を止めていた場所に向かうと、自分の自転車が消えていた。通りの一帯はたくさんの自転車が駐輪されていたのだが、ことごとく自転車がなくなっており、まばらに数台が止まっている状態だった。おかしいなと思って自分の自転車を引き続き探していると、かつて進学塾で高校生を教えていた時の教え子の1人が、和室でスマホを充電しながら本を読んでいる姿が目に止まり、彼も私に気づいて部屋から出てきた。彼曰く、不審者の男性が大量の自転車を撤去場に運び去ったとのことだった。これから撤去場に行って自分の自転車を探すのも面倒だし、見つかるかどうかもわからなかったので、この際に新品の自転車を買い直そうかと思った。その時には鍵だけではなく、持っていかれないようにチェーンもしっかり購入しようと思った。


この夢の延長上にあると思われる場面として、次もまた国立の街を舞台にしていた。どうやら大学は今新歓期のようで、新入生を部活やサークルに勧誘する活動がキャンパス内の様々な場所で行われていた。自分はちょうど3年生に進級し、春学期の履修科目を決めようとしていた。統計学と数学の単位を落としていたので、それらのうち片方を早めに再履修しておく必要があると思い、今度はちゃんと授業に出て理解を深めようと思った。直感的にまず統計学の授業を再履修するのが良さそうだと判断し、教務課に行って履修登録をしようと思ったところ、1学年上の女性の先輩と遭遇し、先輩が所属している箏部に勧誘された。別に1年生でなくてもいつからでも部活には入れるとのことで、自分も箏には関心があったので、夕方の演奏会兼食事会に参加することにした。先輩と偶然出会った場所は部室と目と鼻の先で、さっと部室を案内してもらったところ、和の雰囲気を感じられる素晴らしい部屋だった。そこには2人の女性の先輩がいて、2人も挨拶した。演奏会後の食事会では豪華な寿司が振る舞われるということでそれもまた非常に楽しみだった。女性ばかりの部活なので男性は特に歓迎すると言われ、真剣に検討してみようと思った。フローニンゲン:2025/9/10(水)07:11


17371. 今朝方の夢の振り返り

                         

今朝方の夢の舞台が国立の街であることは、自己の学びや知的探究心の原点へと立ち返る象徴のように思える。駅から大学へ続くメインストリートの書店に立ち寄る場面は、学問の世界と日常の世界とが交差する境界であり、そこに小中学校時代の友人と再会したことは、人生の基層にある記憶や人間関係が現在の知的探究と響き合っていることを意味している。しかも彼らと同じ書籍に関心を寄せていたという状況は、自分の探究が単に個人的な孤立した営みではなく、世代や仲間を超えて共有され得る知的関心であることを示す。対象となる本が「人気アニメの映画を哲学的に解釈した専門書」であったことは、大衆文化と高度な学術的思索を架橋しようとする自分自身の関心を反映しており、現代の知識社会において「ポップ」と「哲学」とを接続する独自の立場を模索している姿勢が映し出されている。書店で本を見つけてもカバーがかかって中身を確認できない場面は、知識への欲求と同時にその探究に伴う「見えなさ」や「制約」を象徴する。中年の店長が試し読み用の本を案内してくれることは、外的な導き手や先達によるヒントを意味し、知識へのアクセスには必ず他者の媒介が必要であることを教えている。また、リュックサックに大量の学術書が詰まって重いという感覚は、既に背負っている学びの負荷を示しており、それ以上を求める前に整理や内面化の必要があることを暗示する。試験が迫る中で「スーパーで食材を買い、自宅で勉強しよう」と思う場面は、知的営みを支える生活の基盤がいかに大切かを思い起こさせる。しかし本屋を出ると自転車が消えていたという出来事は、人生の移動手段、すなわち自己の学びや成長を進めるための推進力を突然失うことの象徴である。大量の自転車が撤去されていたという状況は、集団的に共有していた「移動=成長の基盤」が社会のシステムや外的な力によって奪われる不安を表現している。ここでかつての教え子が現れるのは、自らの歩んできた教育者としての役割が過去から未来へと橋渡しすることを示しており、彼が不審者による撤去を告げる場面は、外的な障害や理不尽な出来事を冷静に見極めるための他者の証言を意味する。そして「いっそ新しい自転車を買い直そう」と決意する流れは、失ったものに執着するよりも、新たな基盤を築き直し、さらに強固な安全策(チェーン)を講じようとする再生の意志を象徴する。これは、過去の経験から学び直し、次の段階に進もうとする自分の心理的成熟を映し出しているかのようだ。夢の第二幕では、新歓期の大学キャンパスに舞台が移り、自分が3年生として進級していることが描かれる。これは学びの物語が第一段階から中盤へと進み、新たな選択の岐路に立っていることを示している。統計学と数学の単位を落としていた事実は、知的追求における「未消化の課題」を象徴し、特に統計学を再履修しようとする直感は、現代社会における「数的思考・データ理解」が不可欠であることを自覚している表れである。また、昨日からQBismに関する書籍を読み始めたことも影響しているかもしれない。さらに、先輩から箏部への勧誘を受ける場面は、学術的知識だけではなく、美や伝統、芸術的な側面をも取り入れることで、自分の学びが全人的な厚みを増していく可能性を象徴する。部室の和の雰囲気、先輩たちとの交流、演奏会と食事会の招待は、学問の抽象的な探究と生活・芸術の豊かさとが結びつく体験を示し、知の成長は孤立した理性の営みではなく、共同性と感性の場で養われるというメッセージを含んでいる。寿司という豪華な食事が振る舞われる描写は、文化的・身体的な充足感と知的充足の統合を象徴するものである。この夢全体を通じて浮かび上がるのは、知的探究と生活的基盤、過去の友人や教え子、そして新たな芸術的関心との重なりである。自転車を失い新しいものを買う決意は、これまでの方法や枠組みにとらわれず、自らの成長のために新しい基盤を再構築する勇気を示す。統計学の再履修と箏部への参加は、合理性と感性、学術と芸術の統合という両義的な課題を象徴している。人生における意味として、この夢は「過去と未来の接続、知と感性の統合、そして失われた基盤を再構築する勇気」を自分に示している。すなわち、これまでの学びを抱えつつも新しい方法を取り入れ、理性と感性の両輪で歩むことが、今後の人生をより豊かで創造的にしていく鍵となるはずだ。フローニンゲン:2025/9/10(水)07:28


17372. British CouncilのIELTS Ready Premiumの模擬試験の難易度

                

時刻は午後6時半を迎えた。昨日と今日にかけて、IELTSの模擬試験を解くことに並行して、中竹竜二さんとの共著の書籍の原稿を最初から最後まで読み返し、加筆修正をしていった。合計で2万字ほどの加筆となり、おそらくこれをもって本文はほぼ完成と言えるだろう。あとは2人で「はじめに」と「終わりに」を執筆していけば完成となるはずだ。昨日と同様に今日もIELTSの模擬試験を1セット解いたのだが、British CouncilのIELTS Ready Premiumの模擬試験はかなり難しく感じられ、その点について調べてみたところ、やはり本番よりも随分と難しく問題が設定されているようだった。ライティングやスピーキングに関しては本番と難易度は変わらないように思えるが、リスニングとリーディングがかなり難しく設定されており、だからなかなか目標スコアが取得できないのだと納得させられた。しかしそれに甘んじることなく、難しい問題群に対してもできる限りハイスコアを叩き出す形で本番を迎えたい。模擬試験は確かに本番と同じ環境設定で緊張感を持って解いていくが、結果に一喜一憂することはない。結果に対してストレスを感じてしまうと本番で本来の力が発揮されない可能性があるので、結果に左右されず、本番まで黙々と模擬試験を解いていこう。明日はジムに行く日なので模擬試験は休憩とし、金曜日に再び模擬試験を解く。そして土曜日はゼミナールの日ゆえにその日も休息とし、その翌日の日曜日に解く。こうしたサイクルによって、模擬試験疲れを起こさないようにすることも大切な自己管理である。本番最後の模擬試験は、来週の水曜日になるだろう。ちょうど今から1週間後である。リスニングとリーディングの問題を解くのはその日を最後にしながらも、スピーキングとライティングのアウトプット科目については引き続き本番まで継続して解いていく。スピーキングは毎日朝と午後に2セット、ライティングに関してはパート1とパート2を合わせて1セット、本番と同じ60分の時間の中で解答を書き上げていく。本番当日は、午前中にスピーキングがあり、午後から残りの3科目がある。午前中のスピーキングも11時台なので時間的にゆとりがあるため、出発の朝にスピーキングだけでは1セット問題を解いて準備運動としたい。フローニンゲン:2025/9/10(水)18:44


Today’s Letter

Life is cyclical. On the surface it is finite, but at its depths it is infinite. Groningen, 09/10/2025

 
 
 

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