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9208-9213: 日本滞在記 2022年10月7日(金)



No.4057 創造性の訪れ_Coming Creativity


本日の散文詩(prose poetry)& 自由詩(free verse)

No.1870, Blissful Time

Every moment is blissful to me.

My life goes on with full of bliss.

Amsterdam Airport; 11:18, 10/7/2022


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本日の2曲


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タイトル一覧

9208.【日本滞在記】出発の朝に

9209.【日本滞在記】固有の差/ユートピア/出発の朝に見た夢

9210.【日本滞在記】やはり混雑していた空港

9211.【日本滞在記】宇宙技術としてのテクノロジー/脆弱世界仮説

9212.【日本滞在記】世界と存在を形成するテクノロジー

9213.【日本滞在記】ヘルシンキ空港に到着して


9208.【日本滞在記】出発の朝に


時刻は午前5時半を迎えた。いよいよ今日は、日本に向けてオランダを出発する。2年振りの一時帰国であり、今から胸が高鳴っているが、いつもと同じく、日本に一時帰国するに際しての不思議な感覚があるのも確かだ。欧州内を旅行する時とはまた違った感情が芽生えているのだが、それを説明するのは難しい。異国の地ではいつも自分の属性はマイノリティだが、自分の属性と同じものを持つ単一国民集団の中に加わる際の何とも言えない感じが芽生え、それはヘルシンキに到着してから搭乗するJALの機内から感じられることだろう。属性は自分の存在の核ではないが、自分の存在の根源に近しいところにあることは確かであろうから、そうした何とも言えない感じを感じるというのも実存的に意味のあることなのだろう。


それにしても、今回はやはり前泊をして正解であった。前泊をしていなければ、おそらくもうこの時間帯にはフローニンゲンの自宅を出発しておかなければならなかったと思う。朝の時間に余裕を持って空港に行けることは有り難い。今宿泊しているシェラトンはとても快適で、空港駅から直結なので、移動もとても楽である。空港の周りも意外と静かで、昨日は快眠だった。昨日の夕方に空港のセキュリティーの様子を確認したのだが、7月にスウェーデンを訪れたときのあの悪夢のような長蛇の列の光景はもうそこにはなく、セキュリティーは速やかに通り抜けられそうだった。夕方の時間帯も比較的混みやすいはずであり、夕方の時間帯であれだけ人がいなかったので、今日の午前中もそれほど人がいないのではないかと期待される。いずれにせよ、今日は午前8時頃にホテルをチェックアウトし、すぐにセキュリティーに向かう。セキュリティーを無事に通り抜けられたら、ラウンジでゆっくりと寛ごうと思う。昨日の段階で、神学大学院に出願するための志望動機書の9割ほどドラフトを書き上げたので、残りの1割を埋める作業をラウンジで集中して行いたい。いくつかの専攻の中から1つを一応選ぶ必要があるようだが、自分の場合は主専攻と副専攻を設定し、それらの専攻に応じたカリキュラムをデザインしたいと思う。ドラフトの執筆が終われば、機内では自由に時間を過ごすことができるだろう。デスクトップ上の論文を読み進めたり、自作のペーパー箏を使って、持参した楽譜を見ながら箏の稽古をしたいと思う。シェラトン:2022/10/7(金)05:54


9209.【日本滞在記】固有の差/ユートピア/出発の朝に見た夢


とても静かな朝である。時刻は午前6時を迎えたが、辺りはまだ暗い。さて、日本は朝のこの時間帯にはもう日が昇っているのだろうか。文化差と言うことはできないが、太陽の昇り方にも地域差があることが改めて面白く思う。様々な差を感じながら生きている自分がここにいる。それは差別的な意味では決してなく、この世界に存在する多様な存在者がそれぞれに持つ固有の差を感じながら生きる生き方である。人も人工物も自然物も、そこには固有の差が内包されている。


昨日、アムステルダム空港に向かう列車の中でユートピアについて考えていた。それは元来、どこにもないところを意味していた。ユートピアは確かにどこにもないのかもしれないが、同時にそれは、今ここにある全ての場所を指しているようにすら思えることがよくある。この瞬間の中に絶えずユートピアが内在されていて、それを紐解くのは各人に委ねられているのかもしれない。一瞬という時間の中にユートピアの1つの種が梱包されていて、多くの人はそれに気づかないだけなのかもしれない。それを開く方法をひとたび知れば、人生はもっと違った形で立ち現れ、もっと違った形で生きられるようになるに違いない。


今朝方は静かな夢を見ていた。見知らぬ若い日本人女性と楽しげに会話をしている場面があった。彼女と私は何かを協力して行っていて、その協働作業そのものも楽しんで行っていた。終始笑顔が絶えない中に幸福感を見いだしていた自分がいた。彼女は、とても優しい雰囲気を持っている女性だった。辺りにもそれが滲み出し、取り巻く世界そのものが優しげであった。シェラトン:2022/10/7(金)06:14


9210.【日本滞在記】やはり混雑していた空港


時刻は午前9時半を迎えようとしている。つい先ほど、スキポール空港のAspireラウンジに入ることができた。昨日の夕方にセキュリティーの付近を確認した時には人がほとんどいなかったが、それは木曜日の夕方という時刻が生み出していた特殊な状況だったらしく、今朝方はセキュリティーの前がやはり混んでいた。しかし、7月の時の4時間弱待つような混雑状況ではなかったことが救いであった。予定通りホテルを午前8時過ぎにチェックアウトし、空港に向かうと、セキュリティーの階に上がる前にボーディングパスを読み取る機械の前に列ができ始めていた。これは早く並ばなければと思い、少し早足で列に並んだ。7月の状況を知っている分、待ち時間は40分ぐらいといったところだろうかと予想した。確かに列を成しているが、それでも列が着実に進んでいたので、それは救いであった。列に並んでいると、後ろから声を掛けられた。「英語は話せますか?」という物腰柔らかい形で声を掛けてきたのは、私よりも少し若いイタリア人の小柄な男性だった。彼は彼女と一緒にチューリッヒに行くらしく、目の前にある列を見て、これはセキュリティーコントロールのための列なのかと私に確認してきたのである。私はそうだと答え、7月の状況と比較して状況は随分とマシだと彼に話した。彼女の方は英語が話せないらしく、彼を通訳としてコミュニケーションを図った。彼とお互いに自己紹介をし、彼の名前はジョルダーノということを教えてもらった。その響きはイタリア人固有の名前の感じを醸し出していて、格好良い名前だとジョルダーノに述べると、彼女の方も自分の英語を理解したのか笑っていて、彼も照れ笑いを浮かべていた。彼のフライトの搭乗時間は自分のものよりも随分と早く、午前9時25分とのことであり、なんとか間に合うかどうかの時間だった。もし搭乗時間ギリギリになっても列に並ぶことになっていたら、事情を説明して前に通してもらうことを勧めた。実際に自分も7月の時には、前にいた妊婦の方のおかげもあって、優先的にセキュリティーを通してもらった。私の方がジョルダーノたちよりも先に列に並んだが、少しでも彼らの助けになればと思い、セキュリティーの機械の手前で彼らを先に通し、私は係員に違うラインに通されたので、彼らとは「チャオ」と言ってそこで別れた。そのようなやり取りが先ほどあった。


今、ラウンジを眺めていると、金曜日の朝のこの時間帯はビジネス客も多く、意外と混雑している。偶然空いていた個室ブースの席に陣取って寛いでいる。ヘルシンキに向かうフライトのゲートはD59であり、記憶の中ではD57と覚えていたので、パスポートコントールが必要な場所に行く必要があるかと思ったが、D59は依然として欧州の協定内なのでパスポートコントロールはヘルシンキに到着してからになるだろう。それにしても、スキポール空港のセキュリティーはやはりなんとかした方がいいという思いがある。スタッフ不足が問題となっているようだが、本当にそれを実感した。セキュリティーのレーンは十分にあるのだが、係員の誰もいない無人で無使用のレーンがいくつかあり、スタッフの拡充がなされればこのような混雑は避けられると思うのだが、雇用がうまく進んでいないらしい。次回スキポール空港を利用するかもしれないのは、年末にモナコ公国に行く際だ。ひょっとしたらモナコには列車を乗り継いで行った方がいいかもしれない。モナコからマヨルカに行き、マヨルカはフローニンゲン空港との直行便があるので、帰りはとても楽だ。Aspireラウンジ:2022/10/7(金)09:34


9211.【日本滞在記】宇宙技術としてのテクノロジー/脆弱世界仮説


今、ヘルシンキに向かう飛行機が飛び立った。先ほどまでいたオランダの大地を上空から見下ろしている。これまで自分が足をつけていた地上を眺めるというのは、自然と俯瞰的な意識をもたらす。それはある種の超越的な意識の状態であり、それを通じてまた幾分新たな形での自己内省が生じる。


先ほどラウンジにいた時に、神学大学院への出願に向けた志望動機書のドラフトを無事に書き終えた。時数制限の1,000字に到達し、ここからしばらくはドラフトを寝かせておこうと思う。日本に滞在中のどこかのタイミングで今一度加筆修正を加え、日本を出発する頃に隣人のサハルにドラフトを送って、レビューをしてもらおうと思う。


昨日、テクノロジー哲学についてまた新たな研究の方向性を見い出していた。香港のテクノロジー哲学者のユク·ホイのテクノロジー哲学を参考にして、東洋思想とテクノロジー哲学の接続を行なっていくことを考えていたのである。東洋思想の中でも、とりわけ日本の思想からテクノロジーを捉えることができないか。それについて考えていると、これは博士論文の執筆に値する一大テーマであることに気づいた。ホイは、宇宙技術(cosmotechnics)というユニークな概念を提示している。例えば、漢方は宇宙技術の1つであり、それは宇宙論(コスモロジー)と結びついた技術体系なのである。漢方には具体的な医学的技術が体現されているだけではなく、その背後に陰陽五行説といったコスモロジーがある。ホイはそれぞれの文化が持つ固有のコスモロジーに着目し、それがテクノロジーの固有性を明らかにすることにつながると述べる。その発想に着想を得て、日本の思想の背後にあるコスモロジーを理解して、それをテクノロジー理解に繋げていく道を探りたいと思った。それは必然的に探究する領域の幅と深さが大きなものとなるが、そうであるがゆえに博士論文のテーマになり得るものである。それを博士論文として取り上げるかはもちろんまだわからないが、1つのアイデアとして温めておこう。


その他にも、改めてスウェーデンの哲学者ニック·ボストロムが提唱した「脆弱世界仮説(vulnerable world hypothesis)」について考えていた。ボストロムは、人類の歴史は巨大な壺からボールを取り出す過程であると述べる。これまでの歴史においては偶然に白や灰色のボールを取り出していただけであり、壺の中には初期設定として文明を滅ぼしうる黒いボールが入っているというのがその仮説の意味だ。テクノロジー哲学やテクノロジー神学の探究は、その仮説に対してどのような貢献をし得るだろうか。黒いボールを白や灰色になんとか変えていく試みとして結実していくのか、仮に黒いボールを引いたとしてもその被害を最小限にする試みとして結実していくのか、はたまたその他の実践的帰結をもたらすのか。想像性を膨らませながら、それらについて考えたい。ヘルシンキに向かう機内の中:2022/10/7(金)13:37

9212.【日本滞在記】世界と存在を形成するテクノロジー


飛行機は順調にヘルシンキ空港に向かっている。先ほど空港のラウンジに入った時、多くの人がパソコンやスマホと睨めっこしている姿を見て、少し滑稽に思った。そんな自分も今はパソコンと向き合っているのであるが、彼らの姿や今この瞬間の自分の姿を見るにつけ、テクノロジーというものが本当に私たちにとって身近なものになっているのだと感じる。いやより正確には、テクノロジーが私たちの身体の近くにあるのではなく、私たちの身体はもはやテクノロジーの一部なのだ。あるいは、テクノロジーはもはや私たちの身体の一部なのだ。現象学や存在論の観点からテクノロジーを捉えてみると、テクノロジーというものがいかに私たちの経験世界を構築しているか、そして存在そのものを形成しているかが明らかになるだろう。ここ最近はテクノロジー哲学の探究に熱を入れていて、ゼミナールで取り上げる経済·政治と同じくそれは非常に重要な研究対象となっている。ここからは神学や宗教学とテクノロジー哲学を紐付けていき、自分なりの貢献をこの研究·実践分野に行いたい。そうなってくると、ますます本格的に学術機関での研究に従事したいという思いが強くなってくる。自分は社会的な地位にはほとんど関心がないが、欧米のどこかの大学で教職の仕事に就いている自分の姿が最近はよく想像されるようになった。これから長く、まずはテクノロジーとマネーに対して神学的·宗教学的アプローチを採用した研究に従事していきたい。その研究と並行する過程で政治的なものについての理解を深めていき、政治学への接続も考えていく。


ラウンジで大学院への志望動機書のドラフトを完成させたことについては先ほど書き留めた通りだが、昨夜は4つ目の修士課程におけるカリキュラムを組むことを行なっていた。履修したいコースがたくさんある中で、暫定的ではあるが、カリキュラムを大まかに組んだ。その中でも、ヨガスートラや仏典に関するコースを履修し、クォンタン·メイヤスーの思弁的実在論との接続を試みる構想が芽生えた。出願予定の大学院には色々と興味深いコースがあり、それらはまた自分の関心の幅と深さを拡張させてくれるに違いない。ヘルシンキに向かう機内の中:2022/10/7(金)14:10


9213.【日本滞在記】ヘルシンキ空港に到着して


時刻はフィンランド時間の午後4時を迎えた。もう40分ほどしたらいよいよ日本に帰るフライトの搭乗が始まる。今はフィンエアーのビジネスラウンジで寛いでいる。パスポートコントロールを抜けて、まずはJALの搭乗ゲートに行き、事前に登録しておいたコロナチェックのアプリを見せた。対応してくれたのはフィンランド人の男性であり、速やかにチェックは終わり、ラウンジとしてここを勧めてくれていた。もともとは搭乗ゲートに行く途中に通ったもう1つのラウンジがJALの乗客でも利用できるようだったが、そちらのラウンジよりもフィンエアーのラウンジの方がサービスの質が良いとその男性は親切に教えてくれたのだ。とても有り難いことである。ヘルシンキ空港に立ち寄る時は、いつもプライオリティパスかビジネスクラスのボーディングパスを見せてフィンエアーのラウンジを使うようにしている。2年前に一時帰国した際には、スキポール空港から関空へ直通のKLMのフライトを利用していたこともあり、ヘルシンキ空港のフィンエアーのラウンジを活用するのは実に3年振りとなるだろうか。やはりサービスの質が良い。何よりも雰囲気が明るく、清潔感がある。ここから14時間のフライトとなるので、シャワーを先ほど浴びた。前回以上にシャワールームがデジタル化されていて、シャワー室の扉にはデジタルパネルがあって、それを用いて30分ほどの枠を確保し、グリーンの明かりが灯って中に入れるようになっていた。シャワー室もとても綺麗で、ゆっくりと温かいシャワーを浴びて、さっぱりしてシャワー室を出た。ここからの14時間のフライトも快適な旅になるだろう。久しぶりに日本の新聞を数紙ほど読んでみたいと思う。事前にオーダーしておいた日本食もとても楽しみだ。


先ほどのフライトの中で、テクノロジーに関してこれまでまだ明らかになっていない次元を明らかにすることを自分の研究及び実践の焦点に据えた。日本の思想や神道思想を通じてそれを実現していく。まずは既存のテクノロジー哲学者の特定の人物の理論を精査し、そこに新たな次元を付け加えて行こうと思う。下敷きになってくれる思想家はすでに数多く見つかっている。スティグラー、フィーンバーグ、エラル、ハイデガーなど多数である。あとはまず誰に注目し、その人物のどのような理論的側面に注目するかだ。神学大学院にいる間に、まずは短い論文を幾つか執筆していこう。できれば何人かの専門性が異なる教授と協働して、その教授にセカンドオーサーになっていただく形で論文を執筆していきたい。新たな人生の幕開けに向けて、今気持ちもエネルギーも大変充実している。フィンエアーラウンジ:2022/10/7(金)16:17(ヘルシンキ時間)

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