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3149. ザカリー・スタインの最新論文を読んで


たった今昼食を摂り終えた。午前中の振り返りをしたら、自宅を出発し、卒業証書を受け取りにキャンパスに向かおうと思う。

今日は曇ったり、晴れたりを繰り返す変動に激しい天気である。幸いにも雨は降らないようなので、安心してキャンパスまで歩いていこうと思う。街路樹の葉が随分と紅葉しており、それを眺めると、日本の風光明媚な秋の景色をふと思い出す。

午前中はモーツァルトに範を求めて一曲ほど作った。現在参考にしている変奏曲はまだまだ曲が続くため、今日はもう一度モーツァルトに範を求めたいと思う。

今のところ、特定の作曲家一人に範を求め続けることをせず、広く様々な作曲家の作品を参考にしている。これが良いことなのかどうかはわからないが、幅広く様々な作曲語法に触れることができているように思う。

当然ながら、一人の作曲家を集中的に参考にすれば、その人物の作曲語法が身につきやすいというのは確かだろう。だが私の特性から、広く様々な作曲家に範を求めながら自分の作曲語法を確立していくという方法の方が好ましいようだ。

それは自分の学びのスタイルであり、同時に魂の求めだと言ってもいいかもしれない。これから大学キャンパスに訪れ、戻ってきてから仮眠を取り、その後に午後の作曲実践を始めたい。

午前中は、教育哲学者のザカリー・スタインが最近執筆した“Love in a Time Between Worlds: On the Metamodern “Return” to a Metaphysics of Eros (2018)”という論文の続きを読み、昼食前に一読目を終えた。

この論文を読む前は、メタモダンという発想の枠組みがどのようなものかを学ぶことに焦点を当てていたのだが、読み進めるうちに、スタインが展開する「愛」の考え方が非常に洞察に溢れており、大変感銘を受けた。

日本の社会では、「婚活」をはじめとして、そこには旧態依然とした男女間の関係のあり方がまだ根強く、それはスタインの言葉で言えば、「ロールメイト(role mate)」を求めているに過ぎないのではないかと思う。

また、「ソールメイト(soul mate)」という発想は、確かにロールメイトという考え方を超えたものであるが、得てしてそこでの愛はパートナーとの間の限定的なものに留まる。詳しい説明はスタインの論文を読んでもらいたいが、ソールメイトを超えて「ホールメイト(whole mate)」という考え方には共感できるものがあった。

これは自己愛やパートナーとの愛を超えて、より広く浸透していく愛のあり方を指している。スタインのいずれの論文においても、こうした概念を扱う際に、ニューエイジ的な論説に陥らない点が優れていると思う。

今回の論文で言えば、ロールメイトやソールメイトという概念を蔓延させている社会的な要因の考察があり、ホールメイトの愛を実現させていくための第一歩についても論述している。確かにタイトルは「愛」という言葉が含まれているのだが、これまでのスタインの論文ではそうした概念は扱われておらず、今回それを直接的に取り上げて言及しているのは新鮮な驚きがあった。

スタインのどの論文でもそうだが、現代社会に蔓延する愛のあり方について言及せざるをえなかったスタインの強い思いをこの論文から汲み取ることができる。この論文をきっかけにして、過去のスタインの論文をまた読み返してみようと思う。フローニンゲン:2018/9/20(木)13:14

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