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3104. 五年振りのハーバード大学教育大学院への訪問


新たな週の始まりである月曜日が静かに終わりに向かっている。時刻は午後七時半を迎えた。

今この瞬間のフローニンゲンの空は曇っている。幾層かにまたがる雲がゆっくりと進行している姿が見える。

そういえば今日は、午後に書斎の窓の外に静かに佇む赤レンガの家々を眺めていたことを思い出した。そっと目を閉じてみると、それらの赤レンガの家々がゆっくりと行進を始めるかのような心象イメージを見ていた。今、それらの赤煉瓦の家々はどっしりとした構えでそこに佇んでいる。

北欧旅行から戻ってきて日が浅いが、今月末には五年振りにボストンを訪れる。今私が最も関心を寄せている芸術教育と教育哲学について研究をしている学者がハーバード大学教育大学院(HGSE)に何人かいて、彼らと会って話をする機会を得た。

もちろん、ボストンに行くのはHGSEの教授陣たちと話をするだけではなく、ボストン美術館を訪れることや、ヘンリー・デイヴィッド・ソローが生活をしていた森を訪れるためでもある。とはいえ、HGSEの教授陣たちに会い、そして幸運にも彼らのクラスに参加させてもらえることは非常に貴重な体験になるだろう。

9/27にアムステルダムを発ち、その日の午後にボストンに到着する。アムステルダムからボストンまでは、およそ七時間ほどのフライトである。

欧州に渡ってから、今回初めてアメリカ大陸に行くことになる。アムステルダムとボストンの間には時差が六時間ほどあるため、オランダの時間で正午の便に乗り、ボストンには昼過ぎに到着することができる。

ボストン当日の翌日に、HGSEの芸術教育プログラムのディレクターを務めるスティーブ・サイデル教授のクラスに参加する。このクラスは、芸術教育の哲学的・実務的側面を探求するものであり、まさに私の関心に合致している。

サイデル教授は親切にもこのクラスに私を招待してくださり、10/3の午後には改めて一対一で話をする機会を得た。そこでは、HGSEで提供されている芸術教育のプログラムが自分の関心にどれだけ合致しているのかを確かめるような質問をしたいと思う。

また、もう一人面会する機会を得たのは、教育哲学者のキャサリン・エルギン教授である。幸いにも、エルギン教授が提供する芸術理解に関するクラスにも参加させていただくことになった。

その準備も兼ねて、エルギン教授の最新書籍“True Enough (2017)”を数日前から読み始めているが、これが実に難しい。もちろん、本書が私の関心に触れていることは間違い無いのだが、認識論に関する私の理解が浅いため、本書を読み進めていくことはなかなか難しい。

しかしながら、随所に目を見開かせてくれる文章があるため、毎日一章ずつ読み進めている。本書を読みながら、わからないことに向かっていくのが学習の肝なのだと改めて思った。

確かに、私たちはすでにわかっていることから徐々に理解を広げていくが、得てして自分がすでにわかっていることの範囲から出て行かない人が多いことも確かだろう。それでは学習の幅も深さも広がっていかない。

今回エルギン教授のクラスに参加し、一対一で話を伺おうと思ったのは、まさに彼女が専門にしていることと今の私の関心が合致しているのみならず、今の私の理解の範疇を遥かに超えるような叡智をエルギン教授が持っているからでもある。

今月末のHGSE訪問に備えてエルギン教授の書籍を何度か読み進めたいと思う。ボストンの町で自分の内側の何かがまた開き、そして自分の人生がまた新たに動き出していく予感がする。フローニンゲン:2018/9/10(月)19:51

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