昨夜の作曲実践について少しばかり振り返っている。昨夜は、マックス・レーガーの“Modulation (2007)”をもとに、転調に伴う構造的パターンの把握に努めていた。
夜に新たな曲を作るのではなく、就寝前の時間帯は、このように作曲の構造的パターンの把握に努めるような実践をし始めたことを最近の日記に書き留めいた。昨夜の実践からも、この試みがどれほど有益であるかを強く実感した。
レーガーのこの書籍は、年末年始に日本に一時帰国した際に持参しており、移動中の空き時間に、本書に記載されている具体例の分析を一通りすべて行っていた。ただし、その時には具体例への書き込みをしただけであり、実際にそれらを作曲ソフト上に再現し、自分の耳でその音を確かめるようなことを行ったわけではなかった。
そのため、昨夜から本書に記載されている具体例を作曲ソフト上で再現し、それを自分の耳で聴くということを行っていた。作曲を学ぶ上にあたって、視覚だけではなく、聴覚を用いた学習をすることがいかに有益であるかを実感する。
作曲と真剣に向き合い始めてまだ数ヶ月であり、そうした自分が楽譜を見ただけで脳内で音を正確無比に鳴らすことなどまだできはしない。こうした技術も継続的な訓練によって可能になるそうであり、それが実現されれば非常に有り難いが、そうした能力を獲得するにはまだまだ随分と時間がかかるだろう。
今のような状態では、やはり一つ一つの音符を自分の手で作曲ソフト上に配置し、それを自分の耳で実際に聴くという鍛錬を積み重ねていくことが大事なのだと思う。当然かもしれないが、目で楽譜を見るだけでは分からないことが多々あり、実際に音を聴いてみて始めて気づかされることが多々ある。
学習の際にも、視覚を使うだけでは獲得されない能力があり、聴覚を用いて始めて獲得される能力があるのだ。昨夜、レーガーの書籍に記載されている具体例を再現し、その音を聴いてみると、本当に驚かされた。
転調という技術の奥深さと面白さに心が大きく打たれたのである。具体例を再現しては何度も繰り返しその音を聴いている自分がいた。
転調という技術についてはこれから深く学んでいきたいと思っているが、今の理解では、転調の技術を活用することによって、曲の背景が見事に変化することに面白さを感じている。しかもそれは、微細な変化から大きな変化までグラデーションがある。
喩えて言えば、転調を用いることによって、曲の世界の中で朝から夜への急激な変化を起こすことも可能であり、夜が少しずつ明けていくような微細な変化も刻むことが可能である。
転調は本当に奥深い。曲の世界の背景が変わるということは、それは必然的に曲が誘引する感情の種類と質を変える。
レーガーの書籍に並行する形で、アルフレッド・マンの“The Study of Fugue (2016)”に関しても同様の実践を行っていた。こちらの書籍ではフーガの技法が取り上げられており、レーガーの書籍で行ったのと同様に、フーガの構造的パターンを把握するために作曲ソフト上に具体例を再現していった。
フーガも転調と全く同じ奥深さを持っている。この二つの書籍を用いた曲の構造的パターンの習得実践は、本当に実りの多いものだと改めて思った。これは何も心配することなく毎晩の実践になるだろう。
それぐらいに、実践に伴う喜びが強い。優れた棋士が、棋譜を参考に実際の盤面に駒を並べる実践を通じて棋力を高めるのと同様に、私もこの実践をこれから毎日継続させていきたい。
とにかく膨大な構造的パターンを自分の内側に少しずつ構築していく。そうすれば、いつか自由自在に自分の思考や内的感覚を曲として表現できる日がやってくるだろう。
「音を楽しむ」という音楽の真髄に触れ、その源流の中で作曲実践を進められていることに本当に感謝しなければならない。絶えず音を楽しみ、絶えず音の世界の中で日々の充実した生活を形作っていきたい。フローニンゲン:2018/4/5(木)07:01
No.949: One More Year
I determined to stay in the Netherlands one more year. It means that I can have enough time to digest and deepen what I learned in the last two years.
Also, I can go on a trip to some countries where I’ve never been. I already plan to visit some countries this and next year.
Those trips will definitely cultivate myself and enrich my soul. Amsterdam, 14:31, Saturday, 4/21/2018