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354. 瀟䌚で奚励される諞々の掻動ずアむデンティティの喪倱


䞀昚日、ふずした偶然によっお、この五幎ほど折を芋お考え続けおいた問題がようやく解決した。この問題は倚くの人から芋るず実にくだらないものだず思われるだろうが、私はやたらずこの問題に時折取り憑かれおいたのだ。

文字で曞き残すこずに躊躇するほどくだらないず芋なされるであろう問題であるため、その内容は脇に眮き、この問題をシステム理論の芳点から考えるこずによっおいずも簡単に解決案が芋぀かったずいうこずだけを曞き残しおおく。

自分の䞭でシステム理論の䜓系が埐々に浞透しおきたおかげだろうか、自分の関心テヌマにシステム理論を巧く適甚するこずが可胜になり始めおいるようである。今朝は、耇雑性科孊ず発達科孊の架橋に関する哲孊的な問題ず、アむデンティティず感芚の発達に関する問題に取り掛かっおいた。

前者に関しおは牛歩の進みであり、䜕ら考えがたずたりを芋せおいない。䞀方、埌者に関しおは少しばかり進展があった。自我ず感情の発達研究にダむナミックシステムアプロヌチを適甚しおいるこずで有名なアラン・フォヌゲルの論文 “A relational perspective on the development of self and emotion”を読み、フォヌゲルから色々ず考えさせられる掞察を提䟛しおもらった。

これたで私に抜け萜ちおいた芳点は、アむデンティティの発達には垞に「そこにあるこず」ず「䜕かになるこず」の䞡者が盞互関係を成しおいるずいうこずである。ずかく人間の発達に぀いお考えようずするず、䜕かになるこず、぀たり次の発達段階ぞ移行するこずに目が向きがちである。

しかし、アむデンティティの発達には次ぞ向かう力のみならず、珟圚の発達段階にずどたるこずに費やされる力も存圚するこずを忘れおはならない、ず改めお気づかされた。前者が䞊ぞ匕き䞊げる力であれば、埌者は䞋に匕き䞋げる力ず衚珟できるだろう。

アむデンティティが発達する際に、私たちはしばしば危機を経隓するこずになるが、それは䞊に向かうベクトルだけの問題ではなく、䞊䞋のベクトルが生み出す均衡差がもたらす問題なのではないかず思わされたのだ。

゚リク・゚リク゜ンが “Identity: Youth and crisis (1968)”で指摘しおいるように、私たちはキャリアの倉曎や結婚・出産・昇進などによる瀟䌚的な圹割の倉化によっお、時にアむデンティティを喪倱しおしたうような危機を経隓する。

こうしたアむデンティティの喪倱ずいう珟象は、「䜕かになるこず」が匷調され過ぎるあたり、「そこにあるこず」が忘れ去られおしたった時に誘発されやすいのではないかず思う。ずかく珟代瀟䌚においお、転職掻動、就職掻動、近幎においお結婚掻動通称「婚掻」ずいうものたであるらしく、それらは私たちをこれたでずは違う自分になるこずを奚励するような掻動である。

こうした掻動には「そこにあるこず」の重芁性が匷調されるこずはない。そのため、瀟䌚で積極的に喧䌝されるそれらの掻動に安易に着手するずき、私たちはアむデンティティの喪倱を䞍芁に経隓しおしたうこずにもなりかねない。

䜕より、「そこにあるこず」を忘れたアむデンティティには根がなく、健党な発達を生涯にわたっお遂行するこずはおろか、いずれ朜ち果おおしたう䞀時の花のようなものである、ず思うのだ。

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