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186. 遥かなるフローニンゲン


8月からオランダのフローニンゲン( “Groningen”の発音は日本人にとって困難であり、英語だとグロウニゲン、オランダ語だとフローニゲンに近い音だと思う)という街で、研究者・実践者として新たな生活を始める。8月からの2年間を通じて、自身二つ目・三つ目となる修士号——欧州の修士過程は1年間のものがほとんど——を取得する予定であるため、形式としては留学生としてフローニンゲン大学に行くことになる。

これまで日米の高等教育(日=学士、米=修士)を授かる幸運に恵まれてきたが、欧州で高等教育を受けることは初めての経験になるので、今回の留学は日米欧の高等教育を比較する上でも非常に貴重な機会になると思っている。

読者の方にとってどれだけ有益な内容になるのかわからないのであるが、「ジョン・エフ・ケネディ大学大学院留学記」と同様に、フローニンゲン大学で得られた学びや日々の体験について紹介できたらと思っている。

さて、まずは舞台となるフローニンゲンという街とフローニンゲン大学について簡単に紹介したい。紹介といえど、今年の一月に教授陣に挨拶をしに訪問した経験しか持ち合わせていないので、実際に現地に着いてから詳しく紹介をしていきたいが、とりあえず現段階で知っている範囲の情報を共有させていただきたい。

一月にフローニンゲンを訪問した時に感じた第一印象は、非常に落ち着いた学術都市であるということだ。街全体が運河で囲まれており、欧州の香気を放つ古風な建造物を豊富に残しながらも(ヨーロッパに立地しているので当たり前と言えば当たり前であるが)、近代的な建物も散見され、クラッシックとモダンが融合したような街であるという印象を私に与えた。

フローニンゲンは、アムステルダムから電車で2時間半ほど北上した場所にある。ハーグやロッテルダムといったオランダの主要都市はオランダ西部にあり、フローニンゲンはオランダ東部に位置し、ドイツに近い(直線距離にして40kmほどでドイツの領土に入る)。そのため、フローニンゲンからアムステルダムに行くのと、ドイツ西部の主要都市ブレーメンに行くのとでは時間も距離も大して変わらない。

その他の雑学的情報としては、フローニンゲンはヨーロッパで随一の自転車利用数を誇っている。フローニンゲンの市民にとって自転車は欠かすことのできない交通手段であり、この街を「自転車の街」と形容しても問題はないと思われるぐらいだ。

次に、フローニンゲン大学について簡単に紹介したい。フローニンゲン大学の歴史は古く、今からおよそ400年ほど前の1614年に設立されている。米国で最も歴史が古いハーバード大学の設立は1636年であることを考えると、その歴史を感じさせられる。

フローニンゲン大学の立ち位置としては、アムステルダム大学やライデン大学と並ぶオランダのトップ校の一つであり、欧州の一流校の一つとされている。実際に、私は大学院入学に苦戦し、フローニンゲン大学から合格通知を獲得するまでに二度不合格になっており、欧州の一流校に入学することの厳しさを身を持って感じた。

興味深いデータとして、日本における大学進学率が50%を越すのに対して、オランダにおける大学進学率は10%未満とのことである。要するに、オランダの高校生の10人に1人ぐらいしか大学に進学しないということだ。ここからも、オランダにおける大学進学や大学院進学の門戸は非常に狭いということが垣間見れる。

これまでのブログ記事では、フローニンゲン大学への留学について一切触れてこなかったが、フローニンゲン大学を志した理由やきっかけ、そして、どのような専門分野の探究を行っていくのかについて、今後少しずつ紹介していきたいと思う。

フローニンゲンの街を1分半で紹介している動画

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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