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56. ピアジェの貢献:スキル獲得の構成的なプロセス


ピアジェは、観察された発達現象に対して構成主義的な説明を加えたことで有名です。どういうことかというと、私たちは実際の活動を通じて、ある発達段階から次の発達段階へ移行していくとピアジェは説明しました。

例えば、5ヶ月ぐらいの幼児は、目の前にある物体を掴んだり遊んだりすることはできるのですが、目の前の物体がひとたび布かなにかで隠されてしまった場合、それらを探し出す能力はまだありません。8ヶ月ぐらいになってようやく、隠されている物体を探し出すことができるようになります。

つまり、生後8ヶ月の幼児は、ここで二つの能力を統合し、新たな能力を獲得したことになります。一つ目は、以前の段階で獲得していた物体を掴むという能力であり、二つ目は、物体を覆い隠している布を特定するという能力です。さらに新たな能力として、ある物体が他の物体(ここでは布)によって隠されているという事実を理解するという一段高度な能力を獲得しているのです。

ピアジェはこのように、幼児期から青年期にかけて、私たちがどのように能力を徐々に獲得していくのかを説明するモデルを提唱しました。ピアジェのモデルとは対照的に、前回の記事で紹介した新生得主義の代表的な研究者ベイラーゴンは、ピアジェが提唱する発達の年齢幅をより引き下げる結論を打ち出しました。

つまり、ベイラーゴンは、あるスキルや概念が獲得される年齢がかなり低いという調査結果を基に、それらの能力は生得的なものであると主張しました。しかし、ベイラーゴンの主張は、単純な早熟論に過ぎず、デカルト的な静的な発達思想に基づいていたため、人間の発達現象が持つ可変性を十分に説明することができませんでした。

この問題の核心は、私たちのスキルや概念が後天的に徐々に構築されていくという現象を単純化し過ぎたことにあります。与えるタスクを単純化し、ある概念やスキルを獲得する年齢基準を単純に引き下げることは、結果として、発達が内包する構成的なメカニズムを曇らせることになってしまったのです。

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