【フローニンゲンからの便り】17747-17750:2025年11月21日(金)
- yoheikatowwp
- 10 分前
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タイトル一覧
17747 | 一行三昧としての唯識研究とクラシックギター演奏 |
17748 | 今朝方の夢 |
17749 | 今朝方の夢の振り返り |
17750 | メルヴィンから創造的な刺激を受けて |
17747. 一行三昧としての唯識研究とクラシックギター演奏
時刻は午前7時を迎えた。この時間帯もまだ辺りは真っ暗であり、日の出は午前8時過ぎである。今の気温はマイナス1度で、昨日は随分冷え込んでいるなと思ったら、最低気温がマイナス4度だったようである。今日は午後に散髪に行くことになっており、その時間帯に雨か雪が降るかもしれないので折り畳み傘を忘れずに持って行こうと思う。細かな話として、旅の最後の方で、日記で表記する数字の書き方をふと変えてみようと思った。長らく数字は「1つ」のような表記をしていたが、二桁にならない限りは漢字表記にしようと思った次第である。ここ最近執筆してきた書籍の中での表記がそのような形だったので、日記においてもそのようにしてみようと思う。上記の時間や気温のところでは一桁の数字でも以前として数字表記になっているが、慣れてきたら徐々に変わっていくだろう。
唯識研究とクラシックギター演奏は、一見するとまったく異なる領域に属する営みである。しかし、両者は自分にとって明確に「一行三昧」を体現する行法であり、集中の深度と心身の統一性という点で本質的に同型構造を持つ。一行三昧とは、一つの対象に心を専注し、その一つの行為を通して多面的な智慧や洞察へと到達する状態を指す。特定の対象に心を結び、そこに安住しつつも、視野がむしろ広がるという逆説的な構造が特徴である。唯識とギター演奏は、まさにこの構造を通じて自分の精神を統合し、深層の自己に触れさせてくれる行である。まず、唯識研究における一行三昧性は、対象が外界にではなく「識そのもの」に向けられている点にある。唯識の文献を読むとき、その対象は単なる歴史的思想ではなく、認識そのものの働きである。八識、三性、三無性、四分説など、いずれも心が世界をどのように構成するかを示す枠組みであり、研究する行為は自分の心を鏡に映すようなものである。文献の一語一句を読み込む過程で、自分は言葉の背後にある認識作用をたどり、同時に自分自身の認識の癖や構造にも触れていく。対象に集中するほど、自我の境界線が薄まり、思考の流れが澄み渡る。この状態は、学問でありながら瞑想的であり、まさに「研究」という形を取った一行三昧である。一方、クラシックギター演奏における一行三昧は、身体の微細な感覚と音の生成が一つに統合される過程にある。左手のポジション移動、右手のタッチ、弦の震え、響板の共鳴、音の余韻といった一つひとつの要素に心を向けたとき、それらは個別の動作ではなく、一体の流れる波のように感じられる。練習の最中、指先の動きや身体の重心に意識が自然と集約され、音の流れと自分自身の内的リズムが一致してくると、時間の感覚が薄れ、ただ音と身体だけがそこに浮かび上がる。これは楽器演奏という形式を取った「動的瞑想」であり、一行三昧そのものである。さらに重要なのは、唯識研究とギター演奏が互いに補完的に作用し、精神の均衡をもたらす点である。唯識研究では思索が深まりすぎると頭の内部が過熱しやすいが、ギターの演奏は身体を通してその思索を地に足のついた感覚へと落とし込む。一方、演奏に没頭しすぎると思索的側面が欠落しがちだが、唯識研究は音の背後にある構造への洞察を与えてくれる。このように両者が循環することで、自分の精神は動と静、思索と体感、分析と創造の間で調和し、一行三昧が日常の中に定着していくのである。結局のところ、唯識研究とクラシックギターは、異なる形式をもちながらも、自分を深層へと導く同じ働きを持つ行である。対象に一心に向かい、対象を通して心そのものと向き合い、そこから世界全体を見る視野が開かれていく。この流れこそが一行三昧の核であり、二つの行法はその核をまったく異なる角度から支えてくれているのである。フローニンゲン:2025/11/21(金)07:11
17748. 今朝方の夢
今朝方は夢の中で、丘を有する見慣れない街にいた。そこはどこか日本と欧州の二つの側面が混じり合っているような雰囲気を持っていた。その雰囲気は不自然なものではなく、両文化が見事に調和していたため、その街を散策していた大変心地良かった。しばらく散策をしていると、洪水によって浸水している箇所に突き当たった。迂回する道はなかったので、そこを正面から突破していく必要があった。洪水によって避難している多くの人たちが列を成して丘の上から降りてきて、すれ違った人には、「この先に進むのは注意した方がいいですよ」と忠告を受けた。その忠告を有り難く受け取りながらも、自分はその先に進まなければならないという思いがあったし、洪水に流されないだけの強い足腰があることを思い、自分なら必ず丘の上に辿り着けると確信していた。自分の近くには2人ほどの知り合いがいて、彼らと協力をして丘の上に向かっていくことにした。出発の直前に通りの脇にあるお洒落なカフェの中が見えた時、カフェの奥で旦那さんと思われる優しそうな男性と話をしている小中高時代の女性友達(NI)の姿が見えた。彼女がとても幸せそうにしていることを嬉しく思い、何か幸せな気持ちを分け与えてもらったような気がした。その力もあって、自分は必ず丘の上に無事に辿り着けると確信した。
それ以外に覚えている夢として、見慣れない体育館でバスケの練習を始めている自分がいた場面があった。その体育館は天井がやたらと低く、遠くからシュートを放物線上に打とうとすると、天井にボールが当たったしまうため、シュート練習の難易度が上がっていた。直線的にシュートを打つと、どうしても成功確率は下がり、遠くからのシュートの場合、なお成功確率が下がった。そのような難易度の高い練習を楽しみながら行っていたが、最後の方ではやはり普通の天井のコートで練習したいと思った。するとちょうどそこに生徒会に所属する後輩がやって来たので、彼に天井の件を相談してみることにした。するとそれはIT担当の管轄とのことで、その担当者を教えてもらおうと思ったが、後輩は不機嫌そうな顔をして黙っていた。こちらが痺れを切らして強い口調で質問し直したところ、それでも彼は黙っており、こちらの質問に答えようとしなかった。これは埒が明かないと思ったので、引き続きこのままの天井で練習するか、今日は練習を切りやめるかを考えようと思った。フローニンゲン:2025/11/21(金)07:22
17749. 今朝方の夢の振り返り
今朝方の夢の前半に現れた「日本と欧州が調和した街」は、自分の内的世界が二つの文化的・精神的軸を統合しつつある状態を象徴していると解釈できる。日本の仏教思想を探究しつつ、欧州を中心とした学術的環境に身を置き、両者の間を往復する生活が続いている中で、自分の意識は二つの世界を対立的に捉えるのではなく、どこか自然な形で統合し始めているのである。夢の街が「心地良い」場として描かれているのは、内面的な統合が強制ではなく、成熟の流れとして起きていることを指し示す。しかしその調和した街には洪水が迫り、道の先が完全に水没している。この洪水は外的困難ではなく、自分自身が向き合おうとしている巨大な「課題の波」であるかのようだ。博士課程への出願、研究テーマの精緻化、音楽や仕事との両立など、今の自分の生活には複数の高いハードルが同時に押し寄せている。それらは時に圧倒的に見えるが、夢の中の自分は「強い足腰」を自覚し、先へ進む決意を固めている。この「足腰」とは、学術的基礎体力、精神の持久力、そして長年培った自己鍛錬の力に他ならない。避難して丘を下ってくる人々は、人生において安全策を選ぶ他者の象徴である。しかし自分はその忠告を尊重しながらも、進まずにはいられない宿命的な推進力を感じている。道中に現れた「幸せそうな友人(NI)」は、自分が人生のどこかで失ってしまいがちな「心の温度」や「他者からの励まし」を象徴している。実在の人物であっても、夢の中では彼女は「幸福の気配そのもの」として登場し、自分の背中を押す。人の幸せを自分の力に変換できるという描写は、自分の人生観が既に競争ではなく共振の原理で動いていることを示す。つまり周囲の幸福を脅威ではなく、自らの歩みを支える資源として感じ取る成熟が進んでいるのである。丘の上に向かうという行動は象徴的に「高次の目標」や「精神的到達点」を指し、そこに向かう自分の姿勢には迷いがない。後半の体育館の夢は、前半とは異なる形で自己理解を深める。天井が低くシュートが制限されている体育館は、自分が現在置かれている学問的・職業的・生活的環境の「制約」を象徴していると言える。本来ならもっと遠くから高い放物線を描くような研究や創造的活動をしたいのに、さまざまな条件によって視点や行動が制限されている状態である。しかし夢の中の自分は、その制約の中でも楽しんで練習している。この姿勢は、自分の中にある「創造力の回復力」を表し、どれほど条件が厳しくても工夫し成長しようとする内的意志を示す。後輩の無言は、自分の外側にいる具体的な人物ではなく、「情報が得られない状況」「先が見えない不透明さ」の象徴である。強めの口調で問いかけても答えが返ってこないのは、今の自分が抱えている進学手続きや研究環境の不確実性と重なる。どれだけ努力しても答えがまだ降りてこないというストレスがこの場面に凝縮されているのかもしれない。ここで自分が「練習を続けるか考える」という判断に向かったのは、外部から答えをもらうのではなく、自分の意思で前に進むか休むかを選び取る成熟した姿勢を意味している。つまり環境のせいではなく、自分の判断基準で次の一歩を決める段階に来ているという暗示である。両方の夢を貫く深層構造は、「自分の進むべき道が外的状況によってではなく、内的確信によって決まる」というメッセージである。洪水も低い天井も、外側の世界がもたらす困難として夢に現れるが、その中で自分は必ず先へ進むという確信、もしくは制約の中でも工夫して挑戦する意志を手放していない。これは今の人生局面において、自分の選択が揺らぎなく明確であることを示す。この夢は、自分が「内的統合を果たしながら、困難を越えて高みに向かう準備が整った」という深いメッセージを差し出している。文化的背景の統合、精神的基盤の強化、他者の幸福を自分の力に変える成熟、制約の中でも工夫し続ける回復力──これらが合わさって、自分は新しい段階に踏み出す直前にいる。その丘の上は、まさにこれから始まる学問的・精神的飛躍の象徴である。フローニンゲン:2025/11/21(金)09:09
17750. メルヴィンから創造的な刺激を受けて
時刻は午後6時を迎えた。もうこの時間帯は当然のように真っ暗である。今日のフローニンゲンは早朝に雪が降っていたが、午前中の早い段階でそれは止み、晴れ渡る見事な空が夕方までずっと広がっていた。今日は親友の理髪師であるメルヴィンに髪を切ってもらったのだが、さすがのメルヴィンも今日は外が冷えて手が悴むために室内でギターの練習をしていた。店に到着してからは始終お互いの共通の趣味であるギターの話をしていた。今受講しているブランダン・エイカー氏のクラシックギターのオンライン講座で課題曲になっていた2つの曲で二重にプリントアウトした楽譜があったので、メルヴィンにそれをプレゼントすることにした。するとメルヴィンは目を丸くさせて一瞬硬直していた。何やら彼は五線譜が読めないとのことで、それを聞いて大変驚いた。メルヴィンはこれまでずっと独学でかつ即興演奏だけをしていたので、誰かが作った五線譜上の曲を一度も演奏したことがないとのことだったのである。自分もかつては五線譜のどこに何の音があるのかがわからず、五線譜を読むことに苦労した記憶があるが、今となっては五線譜はスラスラと理解でき、それは意外と特殊な能力なのだということを知った次第である。そこから話はスケールの話題となり、メルヴィンはペンタトニックマイナーを愛しているらしく、特にAマイナーで即興演奏を好んでいるとのことだった。自分はまだスケール練習には本格的に着手していないので、メルヴィンにペンタトニックAマイナーを教えてもらい、このスケールはどこの根音から始めても形が同じなので非常に応用範囲が広い。そのスケールを使って見事な即興演奏をメルヴィンは披露してくれ、そこからはBGMにAマイナーの音楽をSpotifyから流し、その音楽のリズムに合わせてさらにまた即興演奏を見せてくれた。早速自分も今夜はペンタトニックAマイナーで即興演奏をしてみようと思う。まずはBGMなしで、そこからAマイナーのBGMを流しながらの即興演奏をしたい。今日もまたメルヴィンから大いに創造性に関する刺激を得た。こうして5週間に1度メルヴィンと会って話をすることは、自分にとって本当に貴重な機会であり、明日からもまた楽譜に従った演奏と即興演奏の双方を楽しみながら続けていきたいと思う。フローニンゲン:2025/11/21(金)18:15
Today’s Letter
I received creative inspiration and stimulation from my best Dutch friend, Melvin. His recommendation to take up classical guitar has profoundly changed my life and opened up new creative possibilities. I couldn’t be more grateful to him. Groningen, 11/21/2025
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