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111. 新ピアジェ派の誕生過程


発達心理学者ジャン・ピアジェの理論は、教育界で広く適用されています。時に、カリキュラム設計をおこなう際、あるいは実際の教室での活動に応用されています。生徒の学習や発達は、彼らが現在置かれている認知的発達段階に強く影響されるため、教師は生徒の思考特性や認知的発達に関して深い理解を持つ必要があります。

これは何も子供達だけではなく、成人にも当てはまります。つまり、成人も各人固有の学習段階・発達段階を持っており、彼らの認知的発達度合いを考慮に入れるか否かが、成人以降の教育・トーレニングの質を左右すると言っても過言ではありません。

ピアジェの理論的枠組みは、子供達がどのように思考し、どのように世界を眺め、どのように問題解決に当たるかという洞察を提供してくれます。この枠組みは、成人以降の教育においても有益であると思われますが、ピアジェの理論的枠組みが成人以降の教育・トレーニングに活用され始めたのは、比較的近年においてなのです。

ピアジェの理論が世に知れ渡り始めたのは1960年代ぐらいであり、そこから多くの研究者がピアジェの概念や理論を検証するという試みを始めました。ピアジェの理論を支持する実証データが存在する一方、ピアジェの理論を批判するデータも出てきました。

こうした動きの中、ピアジェの理論を単純に支持する・批判するという態度を超えて、ピアジェの理論的枠組みを押し広げ、新たな発見事項を得ようとする研究者が現れ始めたのです。

それらの研究者を総称して「新ピアジェ派」と呼びます。以前の記事で紹介した、カート・フィッシャー、ジュアン・パスカル、ロビー・ケース、グレーム・ハルフォード、マイケル・コモンズなどが代表的な新ピアジェ派です。

新ピアジェ派は、ピアジェの理論を修正・発展させる試みをしていたにもかかわらず、その功績は長年注目されることはありませんでした。厳密に述べると、発達理論の研究者の中では、新ピアジェ派の功績は徐々に認められていったのですが、その功績が実際の教育の場に適用されることはあまりなかったのです。

その理由は幾つか考えられますが、主要なものとして、新ピアジェ派の研究成果は、様々な種類の学術誌に散乱してしまっていたという状態にあり、さらには、ほとんどの研究は教育への応用を主眼としていなかったということが挙げられます。

そのため、新ピアジェの研究成果が、実際の教育現場に活用され始めるまでに時間がかかってしまったのです。さらに、新ピアジェ派の研究成果は、成人以降の教育・トレーニングにも重要な役割を果たしうるにもかかわらず、長らく陽の目を見ない時代を過ごすことになっていたのです。

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