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10889-10895: フローニンゲンからの便り 2023年9月13日(水)



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成人発達理論とインテグラル理論を楽しく学んでいただける「成人発達コラボラジオ」を2023年7月14日より始めました。

タイトル一覧

10889. 今朝方の夢

10890. 広大無辺な宇宙としてのサイケデリクス研究/成長をもたらす環境

10891. 成人発達コラボラジオとサイケデリクス研究の掛け合わせ/MDMAの生みの親であるアレキサンダー·シュルジンの書籍を読みながら

10892. MDMAの歴史と現状

10893. メスカリンに魅せられた哲学者・科学者たち/MDMAと死亡件数に関するデータから考えさせられること

10894. 大麻やサイケデリクスに関して大きな希望がある日本

10895. ESTAの承認が降りて/テクノロジー哲学とサイケデリクス学の相互作用/THCに関する実験


10889. 今朝方の夢


時刻は間も無く午前6時を迎える。辺りはまだ真っ暗で日の出はもう少し先のようだ。昨日から秋の門を通り抜けて、随分と涼しくなった。今日の最高気温は19度ほどなので、今日は昨日よりも涼しい。外が暗くてよくわからないが、どうやら今は上空に雲が出ているらしく、午前9時ごろまでは雨が降るようだ。そこから晴れてくるようなので何よりである。


今朝方はいくつかの夢を見ていたのでそれらについて振り返っておきたい。断片的な場面がいくつかあって、それらが複合的に1つのまとまりを形成しているような夢であった。


夢の中で私は、見慣れない部屋にいた。そこはおそらく外国のどこかの町の会議室のようだった。そこで私は地べたに座り、広げられた新聞紙の上で絵を描いていた。用いていたのは真っ黒な墨で、それを使って自由気ままに絵を描いていた。すると、自分の後ろに画家の知人がいることに気づいた。ひょっとしたら自分は最初からそこに彼女がいることに気づいていたのかもしれない。いずれにせよ、墨で絵を描き始めてしばらくしてそれを意識した。絵を描いていると不思議なことに、真っ黒なはずの墨が自分には色鮮やかに知覚され、墨で絵を描く楽しさに没頭していた。しばらく絵を描くと、後ろで絵を描いていた知人も絵を描き終えたようで、休憩がてら立ち上がって、その場を少し歩いたり、背伸びをしたりしていた。どうやらそれは休憩ではなく、今日の仕事が終わったために切り上げる前の整理体操のようなものらしかった。彼女が絵を描き終えたことに合わせて、自分も絵を描くのをやめ、開かれた新聞紙を閉じた。すると彼女が自分の隣にやってきて、地べたに腰掛けた。すると何も言葉を出さないままに沈黙していた。するとどういうわけか、自分の目の前に小中学校時代の友人(RS)がいて、彼が私が知人の彼女と話をしているのが気に食わなかったのか、手に持っていたジュースを口に含んで自分に吐きかけようとしたので、慌てて彼を蹴飛ばした。その蹴りはジークンドーのサイドキックだったので、かなり威力があり、彼は後方に吹っ飛んだ。


そこで場面が変わり、気がつけば私はアメリカ時代に働いていた学習塾にいた。今は夏休みの期間で、多くの生徒たちが夏季講習を受けていた。その中にどういうわけか同姓の高校時代のクラスメートがいて、彼が席に座って漢字の勉強をしていた。自分は講師のはずなのだが、自分も漢字テストを受ける必要があったように思われ、彼のところに行って、一緒に漢字の勉強をさせてもらおうと思った。しかし、彼は真剣に漢字ドリルと向き合っていて、一緒に勉強させてくれるような雰囲気ではなかったので、彼のところから離れて自分の仕事机に向かうことにした。そのような夢を見ていた。フローニンゲン:2023/9/13(水)06:06


10890. 広大無辺な宇宙としてのサイケデリクス研究/成長をもたらす環境


雨脚が強くなってきた。辺りは真っ暗だが、強い雨音が暗闇の世界に響いている。どこかそれは自分の想像を掻き立ててくれ、なかなかにいいもんだ。


日々小さくでも良いので前に進んでいる人たちとの協働学習と協働実践に従事できている喜び。そんな喜びが芽生えた。


今日もまたサイケデリクス研究に没頭していこう。どのような種類のサイケデリクスについて学んでいくか、そしてどのような観点でサイケデリクスを学んでいくかで学びの可能性は無限にある。毎日自分は、そんな無限の可能性に投げ出されていて、無限の海を航海している。すると気づけば、それは海を超えて、広大無辺な宇宙であることに気づく。ゆえに毎日自分は、無限大の宇宙と戯れて生きているのだ。そこには汲み尽くすことのできない喜びと楽しさがある。


昨日、中央市場に買い物に行くために街を散歩していると、その環境にしか生息しない植物やキノコの姿を想い、環境の重要性を改めて感じた。どのような環境に身を置くかが、人間を含めたその生命を育むことに大きな影響を及ぼしているのである。それは当たり前のことかもしれないが、植物やキノコの姿を見ていると、つくづく環境の重要性を思わされたのである。形も大きさも、そして種類も、生育環境によって変わってくるのである。このことを踏まえて、今の自分の環境は自分をさらに成長させてくれるものなのかを考えてみることは大切かと思う。この8年間はフローニンゲンという自己の成長に対して肥沃な土地で生活できたことに大変感謝している。ここで得られた成長は極めて大きなものであり、この成長は次の環境に自分を向かわせ始めている。願わくば、来年からは再び環境を変えてアメリカで学びを深めたい。HDSの出願はその実現に向けた大きなアクションになるだろう。その実現に向けて、今日もまた人知れず自分の探究を前に進めていく。フローニンゲン:2023/9/13(水)06:18


10891. 成人発達コラボラジオとサイケデリクス研究の掛け合わせ/

MDMAの生みの親であるアレキサンダー·シュルジンの書籍を読みながら


時刻は間も無く午前8時を迎えようとしているが、早朝より激しい雨が降っている。夏を洗い落とし、秋の始まりを告げるような雨だ。この雨が上がる頃、もう心は完全に秋のそれになっているかもしれない。本当に、夏の感覚を洗い流すような雨が天から滴り落ちている。秋の訪れを告げるこの雨は、天からの秋の天使の化身と言えるかもしれない。


早朝より、サイケデリクス研究を進めている。今日の成人発達コラボラジオでは、MDMAとメスカリンを取り上げる予定なので、それらに関する学術書を読み進めている。その日のラジオで話すテーマが事前にある程度決まっていると、それに向けて準備をすることができ、その学習は自分の身になっていることを実感する。当然ながらラジオでは即興性を大切にしたいが、即興性を発揮する下ごしらえとしての準備があって然るべきだろうし、それがあるのとないのとではラジオで話したことの自らへの学習効果が随分と変わる。ある意味コラボラジオの場は、今後自分が世界のどこかの大学や大学院でサイケデリクスのコースを受け持つための稽古の場になっているように思える。カリキュラムを作って、1つ1つの項目に対する知識をつけていくことは大学で教鞭を執る際にも非常に役に立つに違いない。ラジオで話をするトピックが決まっていると、それに向けての準備に気持ちが入り、その気持ちが学習を加速さえる。ここからもしばらくは毎回話すテーマを事前に決めておき、事前にそのテーマに関する読書をするという準備をしたい。そうすると程よい緊張感を持ってラジオが始まるまでの学習を進めることができ、それが自分の知識基盤の構築につながっていく。


今日のラジオではまずMDMAを取り上げるということで、MDMAの生みの親であるアレキサンダー·シュルジンの分厚い主著“Pihkal”と“Thikal”に目を通していた。シュルジンは、200を超える未発見のサイコアクティブな物質を創造した類稀なる化学者である。彼の書籍を読んでいると、化学を通じてサイコアクティブな物質を解明していく楽しさが伝わってくる。この宇宙に存在するまだ発見されていない化学物質を発見したり、創造したりする喜びは、宇宙の謎を解く喜びと同じなのではないだろうか。そのような思いを持ちながら2つの書籍を読み進めていた。どちらの書籍も800ページぐらいあるので、隅々まで読み込んでいくことはまだできていないが、引き続き大枠を掴むような読みをして、また別の書籍に移っていこう。フローニンゲン:2023/9/13(水)08:03


10892. MDMAの歴史と現状


雨の滴る音を聞きながら、引き続きMDMAに関する調査をしている。MDMAはもともと1912年に、ドイツの化学メーカーであるメルク社によって初めて合成された。その後、合成した化学者による試験が行われたが、会社の関心を引くことができず、製品化に至ることはなかった。そこから数十年の時を経て、元ダウ·ケミカル社の化学者であったアレクサンダー·シュルジンによって、MDMAが偶然再発見されることになる。シュルジンはアメリカにおける麻薬取り扱いの資格を持っていて、その資格を使って色々な化学物質の合成実験をしていた。その際に偶然MDMAの資料を見つけ、合成に成功したのである。その後、MDMAが心理療法に活用できる可能性があると判断し、同じくベイエリアにいた心理学者のレオ·ゼフにMDMAを紹介し、ゼフを通じて心理療法へのMDMAの活用が始まった。そのような流れを受けて、一旦MDMAは禁止されたが、それ以降も研究は進み、現在ではとりわけ心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対するMDMAの効果が認められ、医療目的での使用がアメリカでは検討されている。アメリカよりもいち早く、オーストラリアでは2023年の2月に、うつ病に対するシロシビン·マッシュルームの医療目的での活用が認められたのに加え、認可を受けた精神科医はMDMAをPTSDの治療に活用できるようになった。そのような現状がある。


しかし注意が必要なのは、エクスタシーとして街角で売られるMDMAの錠剤の純度は玉石混交であり、時にはMDMAの成分がほとんど含まれないか、まったく含まれないこともある。アメリカでの2007年の調査では、一般に流通しているMDMAのわずか3%だけが純粋のMDMAを含んでいたとのことで、街角でMDMAを入手して使用することがどれだけ危険なことかがここからもわかる。何がMDMAと一緒に混ぜられているのかがわからないものを摂取するのは大変危険で、避けなければならないことであるし、サイケデリクス関係者や政府もこの事態に対して適切な対処をする必要があるかと思う。それは公衆衛生に重要な貢献を果たすものになるだろう。もう少しMDMAの文献を読んで、そこからメスカリンに関する文献調査をしていこう。フローニンゲン:2023/9/13(水)08:44


10893. メスカリンに魅せられた哲学者・科学者たち/

MDMAと死亡件数に関するデータから考えさせられること


MDMAを再発見した功績を持つ化学者のアレキサンダー·シュルジンにせよ、実存的哲学者のジャン=ポール·サルトルにせよ、『知覚の扉』で有名なオルダス·ハクスリーにせよ、最初のサイケデリクス体験がメスカリンだったことは興味深い。サルトルについてはメスカリン摂取以降のサイケデリクス体験はまだ調べていないが、シュルジンはメスカリンの体験に衝撃を受け、同種の化学物質を開発することに情熱を注いだ。実際に、メスカリンの派生物を作ろうとしている時にMDMAを再発見し、合成に成功するのである。ハクスリーはメスカリン摂取の体験後、シロシビン·マッシュルームやLSDの摂取を通じて、意識の探究に乗り出していった。ノーベル賞受賞者の幾人かはLSDやシロシビン·マッシュルームの摂取によって得られたビジョンをもとに研究を進めていったことを告白しており、こうした事例を見ていると、サイケデリクスが哲学者や科学者に大きな影響を与えてきた歴史を見て取ることができる。実際に、旧トランスパーソナル研究所(現ソフィア大学)の設立者のジェイムズ·ファディマンは、サイケデリクスと創造性の研究、及びサイケデリクスのマイクロドーシングの研究における泰斗であり、彼の研究を見るにつけ、服用量と目的、そして環境設定が整った状態でのサイケデリクスの摂取は、人間の創造性を大きく花開く可能性を見て取ることができる。


オックスフォード大学出版から出版されたMDMAに関する学術書の再読を始めた。書籍の中に、2000年におけるイングランドとウェールズにおける様々な原因による死者数のデータが目に入ってきた。それを見ると、死者数の最低は解熱鎮痛薬のアスピリンであり、次にMDMAが来ており、それらの使用による死者数はわずか数人から数十人程度のようである。その次に自宅での不慮の事故、抗うつ剤と死亡者が増えていき、ヘロインやモルヒネによる死者数は900人ほどのようだった。そこから死者数は倍増し、自動車事故が3,000人近く、その次にアルコールによる死亡が5,500人、タバコの喫煙による死亡が最大で、105,000人に至る。アルコールが引き起こす死亡は、事故や肝臓癌などが含まれているだろうし、タバコによる喫煙は肺癌などが含まれているだろう。いずれにせよ、このデータを見る限り、人間を死に至らしめている2大要因はアルコールとタバコであり、MDMAはほぼ最下位である。おそらくほぼ最下位であるがゆえに、MDMAを通じた死亡事故は過剰にメディアに取り上げられるのだろう。逆に言えば、アルコールやタバコを通じた死など日常茶飯事ということで、メディアが取り上げることもないのだろうと思われる。そして当然ながらアルコール業界やタバコ業界の政治的な力も相まって、社会の中では正しい情報が流通することは抑圧されてしまい、本来はさほど害のないものが厳しく規制され、むしろ害のあるものが野放しにされているという問題を見て取ることができる。この問題の解決に向けた関与もしていきたいという思いが高まってくる。フローニンゲン:2023/9/13(水)09:25


10894. 大麻やサイケデリクスに関して大きな希望がある日本


どうやら自分の実存性は絶望を好むらしい。そのようなことをふと思った。絶望と希望は対の概念であり、両者の間には対極性がある。サイケデリクスの研究をしながら、それこそ日本のカンナビスを取り巻く状況はひどく絶望的である。自分は世界の他の先進国においては希望を見出すことはできない。なぜなら、そこには絶望がないからである。彼らは合理的な知性を働かせて、その仕組みを整備しようと動き始めている。一方の母国である日本には大きな希望を見出す。なぜならカンナビスを取り巻く状況があまりに絶望的だからである。日本語で言うところの大麻が指すTHC入りのカンナビスは今なおその医療効果に着目されず、それがきちんと議論に上がることもないままに、ある種の思考停止状態に陥り続けているのが日本である。これは大変絶望的である。これはカンナビスに限ったことではなく、他のサイケデリクスの取り扱いについても同様である。知性を育んでいく時にも、それを発揮する際にも差異化と統合化は不可欠の現象なのだが、日本を取り巻いている大麻やサイケデリクスの扱いには、統合化を議論するまでもなく、何らの差異化もない。それは言い換えると、何ら知性を働かせていないような状況なのだ。現状、日本においては大麻もサイケデリクスも全て一緒くたに危険なものとして、断固として絶対禁止の路線を貫いている。それはおよそ知性を持つ主権国家が取るような路線では全くないと改めて思う。日本においてはハードドラッグとソフトドラッグの区別も曖昧であり、サイコアクティブな物質に対する研究もほとんど進められていないことが、差異化という精緻な分類と議論を妨げているように思えてならない。この状況の改善に向けて、自分は母国に大きく貢献していきたいと思う。絶望にまみれた国だからこそ見出せる希望がある日本。そんな母国への関与の念を強める夕方の時刻がゆっくりと過ぎてゆく。フローニンゲン:2023/9/13(水)16:53


10895. ESTAの承認が降りて/テクノロジー哲学とサイケデリクス学の相互作用/

THCに関する実験


静謐な感覚が自己を包んでいる。昨日より秋の扉が開かれた感じがし、今日からは秋の雰囲気が一段濃くなったように思う。外界の様相が一変したわけではないが、自分の心が秋の扉を潜り抜けたことを持ってして、世界が秋らしく見えてくる。心の有り様は世界認識を変えることを改めて思う。


本日の朝に、先日申請したESTAの承認が無事に早々と降りた。想像以上に早い承認プロセスだった。すでに飛行機のチケットもホテルも予約しているので、これにて11月のボストン訪問の準備が整ったことになる。5年振りのボストン訪問は大変待ち遠しく、ボストンを訪れることによって、この5年間の自分の歩みに気づかされるだろう。ボストンで何を見て、何を感じるか、そしてハーバード神学大学院の方たちとのやりとりを通じて、この5年間の自己の成長を確認することができるだろう。ESTAは承認から2年間は有効なので、幸いにも晴れて来年の夏からアメリカに行くことができた時にも使うことができる点が有り難い。


今朝方にふと、テクノロジー哲学の研究を通じてられた観点や発想がサイケデリクス研究に役に立つだろうし、その逆もまた然りとして、お互いの研究が相互作用をする姿が見えていることに気づいた。サイケデリクス研究をどこまでも広く深く行っていく過程の中で、時折テクノロジーについて視点を移してみると、テクノロジーの思わぬ側面に気付いたりすることがこれから頻繁に起こるだろう。それを密かに期待しながら研究を進めていこう。


今日は実験として、夕食後にTHC入りのチョコレートを10mg食べた。前回10mgの1片を食べたところ、認知機能の変化はさほど見られず、身体的な感覚変化を感じたぐらいであった。とは言え、思考の質に若干の変化が見られたこともあり、前回は昼食後にすぐに摂取したが、今回は夕食後に摂取することを通じて、睡眠の質に与える影響や夢に対して与える影響を検証してみたかった。そのような実験のために残り3片のうちの1片を食べた。残りの2片は、先週の土曜日に最初に食べた20mgのチョコレートと同じTHC含有量であり、それを一度に食べるとかなりの知覚変容を体験した。今週の土曜日に残りの2片を一度に食べることによって、今度は先週から今週にかけてのTHCに対する耐性の度合いを検証してみたいと思う。このような実験精神を絶えず持ち、データを集めていく形でサイケデリクス研究を実践と共に進めていく。こうした直接体験は、学術書や学術論文の読解を大いに助けてくれるだろうし、他者への説明の際にも大きな役割を果たすはずだ。フローニンゲン:2023/9/13(水)19:18

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