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2565. 二つの世界が溶け合う時


小鳥のさえずりが落ち着いた様子で響く時間帯になった。不思議なもので、自分の気持ちというものが時間の流れに応じて変化しているためか、起床直後に聞く小鳥たちの鳴き声と、起床後しばらく経ってから聞こえる鳥の鳴き声は異なった質感をもって聞こえてくる。

確かに、どのような時間帯に小鳥の鳴き声を聞いたとしても、それが自分を落ち着いた気持ちにさせてくれることは間違いない。だが、その感覚には時間帯によって差があるようだ。

起床直後は、新たな一日を始めるにあたって、自分の世界の再創造に乗り出して行く前に、小鳥たちの世界の中にいるような気がするから不思議だ。つまり、目を覚まして即座に自分の世界を始めるのではなく、一旦小鳥たちの世界の中に入り、そこから自分の世界における新たな一日を開始させるような感覚がある。

ある意味、起床時に小鳥の鳴き声を聞いてもたらされる落ち着きとは、自分の世界をいきなり始めるのではなく、小鳥の世界の中に入ることから生まれているのかもしれない。一方、起床後しばらく経ってからの小鳥の鳴き声は、自分の世界が開始されてからしばらく経ってから聞こえてくるものであるため、それは自分の世界の中に深く入っていくことへの安心感をもたらすと言っていいかもしれない。

より厳密には、自分の世界の奥に入って行き、そこで再び小鳥の世界を見出すような感覚だ。なるほど、起床直後は小鳥の世界の中で自己の世界を見出し、起床してしばらく経ってからは自己の世界の中で小鳥の世界を見出すということが行われているのだろう。

二つの世界が一つに溶け合う瞬間に、あのなんとも言えない安心感が持たされるのだ。小鳥の鳴き声を聞きながらそのようなことをふと思う。

今、昨日の作曲実践について少しばかり振り返っている。ここ最近は転調の技術を試すように曲を作っている。

技術を試すために曲を作っているような節もあるため、往々にして現段階で納得のいく音を生み出すことが難しいことがある。作曲技術を高めていくことは最優先課題として私の眼の前に存在しているが、技術を高める実践として曲を作りながらも、その曲が自分の中で納得感を持つようなものにしていきたい。

ここからは転調のみならず、再度メロディーやハーモニーの創出方法やフーガの技法を学んでいく。フーガの技法に関しては、特に対位法が基礎にあるため、それをしっかり学んでいく。

来月の中旬に論文を無事に提出することができたら、それらの技術項目についてより真剣に取り組むことができるだろう。今は論文の完成に集中しながらも、作曲実践の方法を絶えず見直し、着実に前に進んでいきたい。

今もこの瞬間にバッハの音楽を聴いているように、やはりバッハの音楽を起点にしたほうがいいのかもしれないと思う。これほどまでに毎日バッハを聴いているということは、自分の内側でバッハに共鳴する何かがあるに違いない。

それを探す意味でも、そしてそれを深める意味でもバッハの音楽に対する理解を深めていく必要がある。バッハの楽曲に範を求めながら作曲実践を継続させ、徐々にバッハの音楽に対する理解を深めていく。

それは私の作曲技術を深めてくれるだけではなく、自己そのものを深めてくれるだろう。

小鳥たちが静かに鳴いている。その鳴き声は静かに自分を応援してくれているかのようだ。フローニンゲン:2018/5/15(火)07:37

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