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2078. 祭りの後:ポスタープレゼンテーションの終了


先ほど無事にポスタープレゼンテーションを終えた。ポスタープレゼンテーションとはこんなにも面白く、こんなにも有益なものだとは思ってもみなかった。

私はこれまで自分の研究を発表するときや、学術の世界のみならず企業社会で何かプレゼンテーションをする際は常にパワーポイントを用いてきた。

これまで参加した学会を振り返ってみると、必ずどの学会にもポスタープレゼンテーションというものが行われていたが、私はあまりにそれに関心を払ってこなかったし、その意義を無検証な思い込みに基づいて幾分過小評価していたように思う。

しかし、今回ある意味強制的にポスタープレゼンテーションをする場を与えられ、実際にそれを行ってみると、非常に意義のあるものだということがわかった。例えば、学会の場において、パワーポントを用いたプレゼンを多くの聴衆にする場合、大抵の聴衆は黙っており、質問をするのは数人程度だろう。

端的に述べると、学会の場におけるパワーポイントを用いたプレゼンテーションは、どうしてもインタラクティブな要素が削ぎ落とされてしまっているのである。これは何も30分を超すような長めのプレゼンテーションのみならず、より短い15分程度のプレゼンテーションでもそうだろう。

実際に私が過去に行った学会発表を振り返ってみると、そこで質問をする人は少数であり、質問も単発的なものであり、聴衆との対話を行っている感覚は一切しなかった。一方で、今日初めてポスタープレゼンテーションを行ってみると、それは非常にインタラクティブなものであることがわかった。

過去に私もポスタープレゼンテーションに聴衆として参加したことは何度かあるが、実際に発表者側に回ってみると、その場がいかに有意義なものかということに気づかされる。

同じ研究グループに所属している友人のハーメンと私は、同じ部屋でポスタープレゼンテーションを行うことになっており、先に到着して発表を始めていたハーメンの様子を見ながらポスタープレゼンテーションの準備に取り掛かった。

あまり良い喩えではないかもしれないが、ポスタープレゼンテーションはお祭りの時に自分の店を出すようなイメージだ。ハーメンの研究は、ゲーミィフィケーションの教育効果に関する研究であり、ゲームと学習を扱っている点においてとても魅力的な研究内容である。

そのため、先に同じ部屋にいたハーメンの前には何人かの人が集まっており、「ハーメンの店はだいぶ繁盛しているな」とはた目から眺めていた。「果たして自分の店に人は来るだろうか?」という考えが頭をよぎる。

未だかつてポスタープレゼンテーションの場でこのようなことをしている研究者を見たことはないが、日本の祭りでの出店の様子を思い出しながら、 “Interesting research is here! Please come and see it!”とでも叫びながら人を呼ぼうか迷った。

そのようなことを考えていると、一人目のお客が来た。その人の方を振り返ると、研究アドバイザーのミヒャエル・ツショル教授だった。

失礼だが若干拍子抜けをしながらも、ツショル教授と挨拶を交わしていると、私の店に人が入っていると勘違いしたのか、何人かの人たちが私のポスターの前にやってきた。そこからようやく私の出し物の紹介が始まった。

昨日ポスターを印刷しにコピー屋に訪れた時、当日のポスタープレゼンテーションはフェスティバルの一種だと直感的に思っており、期待感が高まっていたが、まさにその通りになった。

私がポスタープレゼンテーションをできる時間はわずか一時間と限られていたが、幸いにも何人もの人が私のポスターの前で立ち止まり、そこで様々なやり取りをすることができた。非常に有益なフィードバックや質問が多く、自分のこれからの研究がさらに発展を遂げていくであろうことを実感させるには十分であった。

今年の五月に行われるアムステルダムでの国際ジャン・ピアジェ学会と六月に行われるロンドンでの国際学習科学学会では、ポスタープレゼンテーションではなく、パワーポイントを用いた論文発表のセクションに応募したのだが、今日の体験を通じて、科学者としてのキャリアの初期において、もうしばらくはポスタープレゼンテーションを数多く行ってもいいかもしれないと思った。

ツショル教授もかつて、ポスタープレゼンテーションによって自分の研究アイデアを紹介し、そこで様々な研究者とやり取りすることによって、米国の大学で研究者のポジションを獲得したことがあったそうだ。

非常にカジュアルな形で研究者同士で会話をすることができるというのは、ポスタープレゼンテーションの一つの魅力だろうし、それが職を得ることにも十分繋がりうるというのはまた一つの大きな意義だろう。フローニンゲン:2018/1/31(水)16:19 

No.711: Business World and Zoo

The business world is becoming more and more technically sophisticated, whereas it still maintains an immature worldview.

“Is the business world like a technically advanced zoo?” I came up with such a question.

There are a number of lions with sharp teeth and a bunch of powerful gorillas in the business world. Groningen, 21:08, Friday, 2/2/2018

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