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1433.【北欧旅行記】エドヴァルド・グリーグの熱量に引き寄せられて


エドヴァルド・グリーグ博物館に訪れることができたこと、そしてグリーグというノルウェーを代表する作曲家の思想と生き方に触れることができたこと。それらはどちらも今回の北欧旅行を語る上ではなくてはならないものであり、今日の感動を忘れることはないだろう。

ベルゲンの魚市場近くの観光案内所から予定通りにバスが到着し、市内から10kmほど南下したトロールハウゲンに向けて出発した。バスは満席となり、このツアーの人気の高さを物語っていた。

バスで博物館に向かう最中、バスのガイドを務めてくれたノルウェー人の青年が、グリーグに関する歴史を語ってくれた。私はガイドの話に耳を傾けながら、バスの窓から見える景色をぼんやりと眺めていた。

ベルゲンの漁港とその背後に広がる小高い山、そして山の中腹に建てられた色彩豊かな家々に、私は目を奪われていた。コペンハーゲンやパリの街を訪れた際、二つの街が持つ歴史的・文化的な硬質さに圧倒される瞬間が少なからずあったことを以前述べた。

そうした硬質さは、歴史的・文化的な密度と形容して差し支えなく、両者の街が備え持つ偉大さだと言ってもいいだろう。しかし、私はコペンハーゲンやパリで生活をすることはできないという思いを持っている。

歴史的・文化的に凝縮されたものに自らが窒息してしまいそうになるのだ。ベルゲンの街が持つ歴史も、コペンハーゲンやパリが持つそれと引けを取らない。

しかし、この街は自分が求めている生活のあり方に近いものを宿している。私は決して、ベルゲンの街に歴史的・文化的な密度が無いと言っているのではない。むしろ逆に、ベルゲンはそうした密度を持っている。

だが、その密度の体現のされ方がコペンハーゲンやパリとは異なるのだ。今はただ、それらの都市が同程度に凝縮された密度を体現させながらも、それでいて異なる感覚を私に引き起こすとしか言えない。

おそらく、人間の精神が高みに向かうことを通じて蓄積されていった歴史的・文化的な堆積物と、海と山という自然が調和しているということが、この街で生活を営むことのイメージを私にもたらしてくれるのかもしれない。

風光明媚なこの街が持つ景色を眺めながら、バスは目的地に向かってゆっくりと進んで行く。ガイドの青年の話で印象に残っているのは、グリーグは幼少の頃に学校を嫌っており、とにかく音楽を学びたいという衝動を抑えることができなかったということだ。

微笑ましいエピソードとして、グリーグは雨の日を喜び、学校に向かう最中にわざと傘をささずにずぶ濡れになり、そのような濡れた格好では授業を受けることはできないため、教師から家に戻ることを毎回命じられていたようだ。

自宅に戻ったグリーグは、嬉々として作曲やピアノの演奏に打ち込んだそうだ。思うに、人が何かを学ぶということや何かを極めるということにおいて、グリーグが取った行動は最も純粋なものなのではないだろうか。

グリーグを自宅に帰し、再び学校に戻ってくることを強制しなかった教師はとても偉大な教育者であり、学校に行かずに自宅に戻って音楽に打ち込むグリーグを責め立てることをしなかったグリーグの両親は偉大であった。そのようなことを思う。

実は、ベルゲンにゆかりのあるノルウェーの作曲者はその他にも、ハラール・セーヴェルーやオーレ・ブルなどがいる。グリーグ博物館と同様に、ベルゲン市内から彼らの博物館に行くツアーが組まれているのは確かだ。

しかし、今回の滞在において時間的な余裕がありながらも、私はなぜだが、グリーグの博物館だけを訪れることを決心していた。その理由はやはり、グリーグが幼少期の頃から持っていた熱量にあるのではないかと思う。

作曲とピアノの演奏に全てを捧げた魂の熱量だ。それが私を引き寄せ、彼が生活と音楽活動を営んだ場所に私を導いたのだと思う。

バスが市内を離れ、気付かない間に、小さなフィヨルド地帯と静かな森林地帯が目の前に広がり始めた。どうやら私は、グリーグに霊感を与え続けた場所に到着したようだ。2017/8/14(月)

No.78: Diversity of the Beginning and the End The beginning is diverse, and the end is various.

Whenever I keep a diary, the beginning and the end are always variegated. The fact is quite astonishing to me.

As I mentioned previously, the diversity of the beginning and ending could be related with autopoiesis. Not only a diary but also my existence repeatedly generates itself.

Yet, a new creation is always slightly different from the previous one. That is a secret to the variation of the beginning and the end.

I found that it was also true to music; a song has a unique beginning and ending. Monday, 8/21/2017

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