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1414.【北欧旅行記】ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館とキルケゴールの墓を訪れて


コペンハーゲンでの二日目は、昨日の天気予報とは異なり、雨ではなく晴天に恵まれた。太陽の日差しが街に降り注ぎながらも、北欧らしい涼しい夏の一日。

早朝、ゆったりと朝食を摂り、コペンハーゲンを訪れる最大の目的であった、ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館の開館時間まで、ホテルの自室でゆっくりとしていた。旅行中はひとたび外に出かけて宿泊先に戻ってくると、身体を動かした疲労感から文章を書くことがままならない。

そのため、朝の時間は落ち着いて日記を書き留める絶好の時間となる。朝食を摂るためにレストランに入ったのが朝の九時であり、多くの人たちが一般的に摂る朝食の時間とちょうど重なってしまったこともあるだろうが、それにしてもレストランの人の多さには驚いた。

このホテルは随分と繁盛していることが見て取れた。旅行中の食生活は、以前の日記で書いていたかもしれないが、ホテルで朝食を摂れる場合には基本的に朝夕の二食である。

普段の生活では、朝食は果物しか摂らないのだが、旅行中はとにかく午前中から身体を動かすために、かなり多めの朝食を摂る。特に、ハムや卵、そしてチーズなどのタンパク質を多めに摂り、夕方までの食事を朝に一気に済ませてしまう。今日もそうだった。

朝食後しばらくしてからホテルを後にし、ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館に向かった。その美術館はホテルから徒歩3分ほどの場所にあり、美術館に開館と同時に到着すると、入り口はすでに列をなしていた。

やはりこの美術館はコペンハーゲンを代表する一つの美術館であり、多くの観光客も注目をしているのだろう。見た目の列の長さとは異なり、比較的速やかに入場することができた。

チケットを購入し、いよいよ館内の所蔵品の鑑賞が始まった。この美術館の見所は、何と言っても館内の中庭の美しさであり、それに加えて、古代エジプトや古代ギリシアのコレクション、『考える人』を筆頭に、オーギュスト・ロダンの彫刻品が豊富にあることだろう。

また、二階と三階の絵画作品にも見るものが多く、ゴーギャンやゴッホ、モネやルノワール、ドガやセザンヌなどの作品は一見に値する。正直なところ、絵画から得られる視覚情報は、論文や書籍からの文字情報よりも圧倒的な量を持っているからか、作品から得られた情報量が洪水のように自分の内側に流れ込んでおり、今この瞬間に言葉を紡ぎ出すことがままならない。

そのため、詳細については明日改めて書き留めることにし、今日は備忘録を兼ねて出来事を書き残すことに焦点を当てたい。結局この美術館には午後三時半過ぎまで滞在していた。

一階から三階までの所蔵品を全てゆっくりと見ることはできないと思われたため、自分の関心に合致するものだけに絞って心ゆくまで所蔵品を鑑賞していた。各国の美術館を色々と訪れる際の楽しみとして、所蔵品のみならず、美術館の外観と内観、さらには天井の装飾や天井画を眺めることが挙げられる。

とりわけ天井の装飾や天井画は見落とされがちだが、とても凝った造りになっていることがしばしばある。この美術館も例外ではなく、特に一階の彫刻が飾られた部屋の天井画は見事であった。

納得いくまで所蔵品を堪能した後に、ギフトショップに立ち寄り、論文を収納するために、この美術館固有のクリアファイルを購入しようと思ったが置いてなかった。少し残念だったが、豊富に備えられた芸術関係の専門書を眺めていると、大変興味深い一冊と出会った。

この美術館と全く関係ないのだが、私の研究分野の一つである複雑性科学と大いに関係するであろう、“The Secred Code: The Mysterious Formula that Rules Art, Nature, and Science (2008)”という書籍を見つけた。

全てのページがカラーであり、イラストが300ほど掲載されており、内外宇宙のシンボルについて解説をしている。フラクタルやフィボナッチ数列、ゴッホやエッシャー、密教やイスラム教、プラトンからロジャー・ペンローズなど、私が関心を寄せる事物や人物が書籍の中で言及されているのを見た瞬間、この書籍を購入することに決めた。

全く予想していない買い物だったが、今後の研究の参考になる素晴らしい書籍を購入することができ、大変満足している。購入した場所と日付を本書の一ページ目に記入し、この書籍は思い出の一冊になるだろう。

美術館を後にした私は、西日が降り注ぐコペンハーゲンの中心部を通り抜け、キルケゴールが眠る墓地に向かった。30分ほど歩き、その墓地に到着すると、そこは随分と手入れが施されており、綺麗かつ広大な墓地だった。

墓地の芝生の上には、日向ぼっこをしている人たちの姿をちらほら見かけた。どうやらこの墓地にはキルケゴール以外にも有名な人物たちが埋葬されているようだが、キルケゴールの墓だけに向かって私は歩き始めた。

昨日は銅像としてのキルケゴールの姿を目撃し、今日は墓石としてのキルケゴールの姿を目撃した。その時間帯には、私以外にキルケゴールの墓を訪れている人はおらず、墓の前のベンチに腰掛けながら、私は気がすむまでキルケゴールの墓を眺めていた。

人は旅に出発し、いつか旅を終える。人には必ず帰る場所があるということがわかった時、心の音階が墓地を吹き抜ける風の音階と合致した。とても安らかな気持ちが訪れる。

人は人生の旅を終え、この大地に帰る時、同じように安らかな気持ちになるのだろう、と死の安らかさを思わずにはいられなかった。2017/8/9

No.59: Music, Music, and Music How wonderful it is to express my inexpressible inner phenomena by music. I need to acquire plentiful vocabularies in music and music grammar to manifest my interior experience with complete mastery.

To achieve the state of freely expressing my inner world requires a steady effort and patience, but I am pleased to accept it. Thursday, 8/17/2017

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