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1035. 五年前の夢から:宇宙の誕生と自己の誕生


朝食のリンゴをかじった瞬間、五年前に見た感動的な夢を突如として思い出した。今から随分と前に見たはずのその夢が、突然落雷に打たれるかのように予期せぬ形で思い出された。

当時の私はサンフランシスコに住んでいた。あの日は確か、普段通りに大学院に行き、普段通りに生活をしていた何の変哲も無い一日だったと記憶している。

その日の夜、私はおそらく初めて、宇宙空間に飛び出す夢を見た。宇宙空間の中を遊泳するかのように、私は身一つで宇宙空間の中に漂っていた。

無限に広がる空間の中はとても暗く、遠方に輝く星や惑星が少しばかり見えている程度であった。そのような宇宙空間を遊泳している最中に、遠方の別々の方角から四羽のハトが、宇宙空間のある一点に向かってゆっくりと飛んで来るのが見えた。

東西南北の方角から、一羽一羽のハトが輝く青白い線を宇宙空間に描きながら、その一点に向かって動いているのが確認できた。宇宙空間に存在しているはずのないハトに少々戸惑いながらも、私は四羽のハトの動きをじっと観察していた。

宇宙空間の東西南北に引かれた青白い線の輝きは圧巻であった。青白い線が、ゆっくりゆっくりと一つの点に向かってやってくる。

そして、一つの点に四羽のハトが集まった瞬間に、それが起きた。四羽のハトが一つの点で結合した瞬間、途轍もない爆発が起きたのだ。

それは白と黄色が混じったような輝きを放つ爆発だった。それを目撃した瞬間、宇宙の始まりは四羽のハトの結合から生まれた爆発なのかもしれないと思った。

これは荒唐無稽な考え方かもしれないが、四つの何かが結合した瞬間に宇宙が誕生したのではないか、という思いを私に抱かせるには十分な光景であった。そして、私はその光景に思わず息を飲み、涙が溢れてきた。

一筋の涙が頬を伝った時、私は光り輝く爆発の中に一挙に吸い込まれていった。そして、輝きそれ自体と私は同一化した。

そこで私は夢から覚めた。夢から覚めると、夢の中の私のみならず、夢を見ていた私も涙を流していたことに気づいた。

その夢が象徴していたのは、宇宙の誕生と私の誕生は全く同一のものだということだった。宇宙が誕生したまさにその瞬間に、この私が誕生していたのだ、という疑いのようない気づきに打たれたのである。

五年前にこの夢を見たとき、私は夢を研究している友人とこの夢についてあれこれと話し合っていたことを思い出す。今から振り返ってみると、この夢が私にもたらした意味は極めて重大であった。

今この瞬間の私に対して、この夢が未だに強い作用を引き起こしているのを見ると、この夢のシンボルが持つ力はとても巨大であり、深淵なものだと思う。宇宙の誕生と私自身の誕生が同一であるという気づきは、今の私にとって何にも増して重要なものだった。2017/5/6

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