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689. 研究に関する新たな閃き


今日の午前中は、昨日読みかけていた二つの論文に目を通していた。どちらもともに、動的なシステムを分析する手法である「再帰定量化解析(RQA)」に関するものである。

それらの論文を読み終え、修士論文の執筆に取り掛かっていた。書籍の執筆に比べて、論文の執筆は、本当に彫刻を掘るような速度でゆっくりと進んでいく。

無事に研究手順のセクションを書き終えたところで、気分転換にランニングに出かけた。明日は親知らずを抜く日であり、抜歯当日のみならず、その後数日間は安静にしておこうと思っていたため、今日中に体を存分に動かしておきたいと一週間前から目論んでいた。

今日は天気に恵まれたので、当初の計画通り、近くのサイクリングロードを走った。軽快にランニングを進めていると、道の脇に何人かの通行人が携帯のカメラモードをオンにしてたたずんでいることに気づいた。

すると間もなく、後方から激しい音が聞こえてきた。振り返ると、河川の上を氷を粉砕しながら進む船の姿が視界に入った。

どうやら、この通行人たちは、勇ましく河川の氷を砕きながら進む船の姿を写真に収めるつもりのようであった。正直なところ、その光景は果たして写真に収めるほどのものなのか私は疑問に思っていた。

また、通行人は現地の人間であるように思われ、彼らにとっては、そうした光景は毎冬見られるものなのではないか、というような考えがよぎった。だが、健気にそうした光景を写真に収めようとする彼らの姿をもう一度思い出すと、自然と笑みがこぼれた。 午後からは、先日非線形ダイナミクスの学会から送られてきたニュースレターに目を通していた。ニュースレターには、前回の学術会議のプレゼン内容がコンパクトにまとまっており、どのような内容の会議であったのかを掴むに有益であった。それにしても、非線形ダイナミクスの研究手法はやはり様々な領域に活用されているのだな、と思わずにはいられなかった。

仮眠を20分ほど取った後、再び自分の研究に取り組んでいた。クネン先生との次回のミーティングまでにやるべきことがもう一つ残っていたからである。

それは、オンライン学習における教師と生徒の行動を概念カテゴリーで分類し、7×8のマトリクスを作ったものに対して、何らかの基準を設けて定量化するというものである。

行動分類のマトリクスは少し前に納得のいくものが完成していたのだが、前回のミーティングでクネン先生から、それらの行動を何らかの基準を設けて、序列をつけてみたらどうか、という提案を受けた。つまり、カテゴリーデータに対して、名義尺度ではなく、順序尺度を設けてみたらどうか、という提案を受けたのだ。

先生がそのような提案をしたのはおそらく、私が教師と生徒の行動の間に起こるシンクロナイゼーションに関心を持っていたためだろう。確かに、教師と生徒の行動に対して、何らかの基準を設けて序列化ができれば、定量化された二つの行動のレベルを比較し、シンクロナイゼーションを検出することが可能になるだろう。

しかし、頭をいくらひねってみても、行動分類のマトリクスをさらに何らかの基準で序列化することは難航を極めた。そこからふと、概念カテゴリーを序列化しなくても、シンクロナイゼーションを検証することは可能であると閃いた。

具体的には、7×8の行動を序列化することなく、名義尺度のまま単純に数字を割り振ることによって、二つの時系列データを作り、それに「交差再帰定量化解析(CRQA)」を適用すれば、二つの時系列データがどの程度シンクロナイゼーションしているのかを検証することが可能であると閃いたのである。

交差再帰定量化解析は、私が最近特に注目をしていた解析手法であり、これは二つのシステムの依存度合い、つまりシンクロナイゼーションの度合いを調査することに最適な手法である。このアプローチを閃いた後、交差再帰定量化解析が適用できるようにデータを加工したところで手を止めた。

近日中に、Rを用いて実際に交差再帰定量化解析を適用し、シンクロナイゼーションの度合いを検証することが楽しみである。2017/1/26

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