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570. デュッセルドルフに住む友人より


昨日10年ぶりに、大学時代から付き合いのある、ドイツ人の友人と連絡を取った。実際には、私がオランダで生活を始めるに際して、隣国のドイツに住んでいるその友人に数ヶ月前にメールを送り、彼からの返信をそのままにしていた、という事情がある。

昨日、二ヶ月半前にもらった彼のメールに対して、ようやく返信することができた。彼は私よりも五歳くらい年上なのだが、今ではもう、子供が二人もいるそうだ。大学時代には、何人かの留学生と交流をしていたが、一番仲が良かったのは間違いなく彼である。

お互いにサッカーという共通の話題があったため、彼とは頻繁にサッカーの話をしていた。さらには、二人とも経営学科に所属していたこともあり、経営理論に関する話もよくしていたのを覚えている。

彼は大学院で、特にマーケティングを専攻しており、卒業後、名門コンサルティングファームに就職することになった。彼への返信メールを書きながら、大学時代の思い出が少しばかり蘇ってきた。特に、彼が山口県の私の実家に宿泊に来た時、山口県近郊を観光したことがとても懐かしい。

山口県東部の岩国市にある、錦帯橋と岩国城を案内し終えた時、彼から、「洋平、今から宮島に行こう!」と夕暮れ前の岩国城で提案を受けたことを今でも鮮明に覚えている。当時の私は、山口県の岩国から広島県の宮島が目と鼻の先にあることを知らなかったのだ。

彼からの提案のおかげで、私は生まれてはじめて、広島県の宮島を訪れたのだった。宮島で見た、厳島神社の何とも言えない力を放っている赤い鳥居の存在が、今でもまぶたに焼き付いている。あれから10年経ったというのに、まだ記憶が鮮明なのは、とても不思議である。そのような思い出を共有した友人が彼である。

現在、彼はドイツのデュッセルドルフに住んでいる。地図で調べてみると、オランダのフローニンゲンからデュッセルドルフまでは、それほど遠くないことに気づいた。今年の八月に訪れたライプチヒやシュッツガルトとは、比べ物にならないほど近くにある都市だとわかった。

とても有り難いことに、「ゲストルームがあるので近々遊びに来てくれ」と招待をしてもらった。10年ぶりの再会が今から待ち遠しい。デュッセルドルフへの訪問がどの時期になるのかまだ定かではないが、そのついでに、旧西ドイツの首都であったボンに是非とも足を運びたいと思う。

デュッセルドルフとボンは非常に近く、ボンには、敬愛する音楽家の一人であるベートーヴェンの博物館がある。この博物館には是非とも訪れたいと前々から思っていたので、ボンにも滞在したいと思う。

欧州内では、基本的に飛行機を使わず、列車で移動することを心がけているので、再びフローニンゲンから東回りで移動をしたいと思う。ボンで一、二泊した後に、ベルギーのブリュッセルに数日間滞在し、フローニンゲンに戻ってこようと思う。

この欧州小旅行でも、きっと何かが自分の内側で起こるのだろうと予感している。以前の欧州小旅行で旅に付け加わった新たな意味——旅に伴う侘び寂び——が、どのような変化を遂げるのか、大いに気になるところである。

新たな意味が、何も付け加わることがないかもしれない。あるいは、さらに新たな意味が付け加わるかもしれない。新たな意味が付け加わる日に向けて、今日も歩き続けていく必要があるだろう。

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