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550. 研究仲間


「複雑性と人間発達」というコースを共に履修しているジェレミーから、先ほどテキストメッセージがあった。ジェレミーは、私と同じプログラムに在籍しており、もともとはドイツのテレビ局で働いていたドイツからの留学生である。

ジェレミーとは、九月の顔合わせのランチミーティングの時に話したきりであり、前の学期の「タレントディベロップメントと創造性」というコースをお互い履修していたにもかかわらず、受講する席が離れていたため、なかなかゆっくりと話すチャンスがなかった。

先週の「複雑性と人間発達」のクラスが終了した後、博士課程に在籍しているドイツ人のヤニックと私は教室に残り、数式モデルをコンピューターシミレーションを用いてあれこれと実験することに興じていた。

その時に、偶然、ジェレミーも教室に残っていたので、三人であれこれとダイナミックシステムアプローチについてディスカションをしていた。そこでジェレミーと久しぶりに話をすることになり、お互いの研究関心が似ていることがわかったのだ。

今回の私の研究は、成人のオンライン学習に対して、ダイナミックシステムアプローチを活用するものである。一方、ジェレミーも、成人ではなく子供達のオンライン学習に対して、ダイナミックシステムアプローチを活用する予定とのことである。

二人の間で、「オンライン学習」と「ダイナミックシステムアプローチ」という言葉が共通しており、お互いに意見交換をすることは、どちらの研究にも良い影響を及ぼすということがわかったため、次回のクラスの前にカフェで意見交換をしよう、という話になった。

先ほどのジェレミーからのメッセージは、その件についてである。フローニンゲン大学に行こうと思った二年半前には、発達支援コーチングに対して、ダイナミックシステムアプローチを活用し、実証的なコーチング研究を行おうと考えていた。

まさに、「コーチとクライアントの対話」というのは、差分方程式(difference equation)の形で進行していくため、微分方程式(differential equation)を活用するようなダイナミックシステムアプローチの応用系を用いることなく、基本系の手法で研究することができると思っていたのである。

この研究については、今後取り組んでいきたいと思うが、まずは成人のオンライン学習の研究に取り掛かろうと思った。それは、私自身がこの五年間、オンラインを通じた発達理論のゼミナールを開催していた、ということと大きく関係している。

また、発達理論を活用した人財育成トレーニングやコーチングを行う際にも、私の生活場所の都合上、オンラインツールを活用せざるをえず、そこでの学習効果をいかに向上させるかに関心があったことにも関係している。

つまり、成人がオンライン学習やトレーニングを通じて、いかに知性や能力を向上させていくことができるのか、ということに対して研究上の関心があるのだ。実際に、フローニンゲン大学で従事している現在の研究を進めていく中で、オンライン学習に関する様々な実証研究に触れることによって、オンライン学習のコンテンツを構築していく際、そして実際にコンテンツをもとにクラスやトレーニングを行う際のポイントが無数に存在することに気づく。

今回の研究は、自分が過去に行ったオンラインゼミナールを省みる優れた機会になっており、改善の余地が次々と見つかるのだ。今回の研究を通じて、さらに新たな発見事項を獲得し、それを自分の実務に活用するとともに、その知見を成人のオンライン学習を研究するコミュニティーに共有したいと思う。

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