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507. ベートーヴェンとスピノザ

November 22, 2016

今日は朝から雨模様である。当初の計画では、フローニンゲン大学の社会科学キャンパスに行き、研究に必要な論文をいくつかプリントアウトしようと思っていたのだが、雨が降っていることもあり、今日もまた一日中書斎にこもって仕事をすることにした。

 

気づけば、人と会うことを極力控え、最低限の外出しかしないような生活を始めてから、五年の月日が経つ。自分の特性から考えると、こうした生活は私に合致したライフスタイルなのだろうと思う。

 

このような生活の中で、音楽というのは自分にとって欠かせない存在であるようだ。書斎での仕事の最中は、常にクラシック音楽を流しているため、毎日10時間以上は音楽に包まれている計算になる。

 

大抵、ピアノ曲を流していることが多いのだが、最近はオルゴール曲を流すこともしばしばある。今日は、起床直後から、ベートーヴェンの交響曲を流している自分がいた。

 

確かに、交響曲はピアノ曲に比べると、多様な音色が一つの強いエネルギー体を生み出しているのだが、音色の多さに混乱してしまったり、そのエネルギー量に圧倒されてしまうことがあるため、起床直後から交響曲を選択するというのは滅多にないことであった。

 

もしかすると、今日は朝から力強いエネルギーを外側に発揮したいと思っていたのか、あるいは、そうしたエネルギーを内側に必要としていたのかもしれない。気がつくと、三時間以上にわたって、ベートーヴェンの交響曲第七番と第九番を再生し続けていた。

 

ベートーヴェンの音楽の影響からか、昨夜、何気なく手に取って読んでいたスピノザ全集 “Spinoza: Complete works (2002)”を思い出した。この書籍は、スピノザが書き記したほぼ全ての論文が収録されており、1000ページに及ぶ大著である。

 

今朝もオランダ語の学習を少し進めていたが、スピノザのオランダ語の原著を読むことは、今の私には到底手に負えることではないため、英訳版のこちらの全集がちょうどいい。昨夜は、この全集を本腰を入れて最初のページから読んでいたというよりも、自分の関心事項に合致する章や論点を選び、それらの箇所のみを丹念に読むようにしていた。

 

1600年代にこのような思想を展開していたスピノザには改めて驚かされ、個人的には、全集の最後に収録されている、スピノザと他の学者との往復書簡が強く私の関心を捉えた。特に、私が敬愛するライプニッツとスピノザの往復書簡には、何やら自分の内側で新たな促しを起こすようなものがあったのだ。

 

そうした促しを得る形で就寝したために、今朝、いつもは選択しないベートーヴェンの交響曲をかけることにつながったのかもしれないと思う。

 

確かに私の専門は、発達科学、とりわけ構造的発達心理学にあるが、毎日それらの学術論文や専門書を読んでいるわけではない。人間の知性や能力の発達について探究を深めていこうと思った場合、どうしても他の科学領域や哲学の知見が不可欠になるため、知らず知らずのうちに、目を通す書籍や論文の範囲が拡大していることに気づく。

 

昨夜のスピノザ全集もまさにその表れだと思う。これから目を通す論文は、「自己組織化」と「1/f揺らぎ」という概念を失読症(ディスレクシア)に適用した研究論文である。

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