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484. 学術論文を読むこと


昨日から「タレントディベロップメントと創造性の発達」というコースの最終試験に向けて総復習を開始した。このコースは七回のクラスで構成されており、最終試験はクラスで取り上げた内容と全ての課題図書が範囲となる。

最終試験に向けて、改めて全ての文献に目を通してみると、新しい発見が随分とあるものである。もちろん、初読のときに著者の主張の大枠を捉えるようにしているため、この大枠を覆すような発見事項というのは少ない。

ただし、著者の論理展開の仕方や論理を補佐する論拠については、意外と抜け漏れがあることに気づいた。最終試験では細かな知識が問われることはないとのことなので、なおさら著者の主張の大枠や論理展開のさせ方・論理を補佐する論拠を押させておく必要があるだろう。

細かな論点に囚われずに論文を読んでみると、そのストーリー展開がより明瞭になってくる。昨日から始めた作業というのは、複数のストーリーの結末と流れを理解し、理想的にはそれらを組み合わせることによって、自分なりの新たな意味体系を構築することを目的としている、と言ってもいいだろう。今日も引き続き、大量の文献を相手にこうした作業を行っていきたいと思う。

こうした作業を通じて身につけた能力というのは、自分の研究プロセスの中でも役に立つ。特に、先行研究の調査や引用する文献を選定する際に、やはり大量の書籍や論文に目を通す必要があり、そこでは細かな点というよりも、大意を把握することや論拠を押させていくことがまず求められる。

もちろん、文献によっては最初から一行ずつ丹念に精読していく読み方も重要だと思うが、学術論文を執筆する際には、そのような読み方をすることは意外と少ないのではないかと最近思っている。学術論文を執筆する際には、どうしても多くの文献を読みこなしていく必要があり、ある論文を一行ずつ丁寧に読み進めていこうとすると、文献調査の時間が膨大になってしまう。

ただし、世間一般で言われるような速読を通じて論文と向き合おうとすると、結局何も掴めないまま終わってしまうことをこれまで何度となく経験しているのも事実である。そのため、論文の大意と論拠の把握、そして論理展開の流れを掴むことに関しては、精読のような意識を持って文章と向き合うことが大事になるだろう。

論文の読み方に関しても、自分なりに試行錯誤することによって、論文を読む能力が徐々に向上していくのだと思う。他の職業と同様に、研究者という職業も様々なタスクに紐付いた種々の能力が求められることに気づく。「学術論文を読む」という個別具体的な能力の向上手法に関しても、今後の体験を通じてより考えを深めていく必要がありそうだ。

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