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409. 何気ない日常から


今日からしばらくフローニンゲンの街は天気が悪くなるそうだ。今朝は、起床直後からまずはオランダ語の試験に向けて学習を行った。オランダ語の試験は初めてであるため、何かと未知なことが多いが、これまでの学習内容を振り返る上でもこうした試験があるのは有り難いことである。

オランダ語の学習は毎朝の実践の一つとして習慣化されており、ある意味、毎朝これまでの学習内容を復習するようなことを行っている。ただし、今回の試験に向けて、それでは不十分であるため、今朝はいつも以上にこれまでの学習単元を振り返っていた。

ここ最近の気づきとしては、私の探究活動の合間合間にオランダ語の学習を挟んでいくことは非常に良い気分転換になっているということである。発達科学や複雑性科学の探究ばかりを長時間にわたって行っていると、いくらその領域を愛していたとしても必ずどこかで疲労が現れるのである。

そのため、毎日の探究活動で工夫をしていることは、ある程度の時間を探究活動に充てたら、仮に領域は同じでも、単元を変えたり、論文や書籍を変えることによって、集中力を継続させるようにしている。そこにオランダ語の学習を入れると実に良いスパイスになると感じている。これはおそらく、私の探究活動が全て英語空間で行われているため、オランダ語の学習を挟むことによって、別の思考空間へ移行することに伴う気分転換が図れているのだと思う。

一つの領域や一つの単元に留まる時間をあまり長くしないようにし、複数の領域をある一定の時間間隔で行き来することが自分には合っているようだ。明日の試験へ向けて夕方と寝る前にもオランダ語の復習を行いたい。

早朝のオランダ語の学習を済ませると、次に取り掛かった仕事は論文の提案書の作成である。これは今週の月曜日にクネン教授から課せられた課題である。私のデータから導き出される研究の結果次第だが、今回の研究をもとにクネン教授と共同論文を執筆することになった。これは私から依頼をしたことではあったのだが、クネン教授が快く共同研究を承諾してくれたことは有り難かった。

フローニンゲン大学ので学位取得論文を単なる修士論文にはしたくないという強い思いがあるため、論文の提案書作成にも自ずと力が入る。実際の論文の完成は随分と先のことなのだが、こうした長期的な時間幅を持つ仕事を少しずつ着実に進めていくことによって、私の中で大切にしているものが確実に磨かれていくことを確信している。

毎朝の仕事の一つに論文執筆に向けた作業を組み入れたので、無理をせず着実にこの仕事を進めていきたいと思う。今週末に提案書をもう一度練り直し、来週の月曜日に行われるクネン教授とのミーティングに備えたい。

本日は午後から、海外生活五年目にして初めて、日本人以外の美容師に髪を切ってもらった。これまでは、日本にいる時は月に一回は髪を切ってもらうようにしていたのだが、フローニンゲンに到着後、その他にするべきことがあれこれとあったため、なかなか髪を切ってもらう機会がなかったのだ。

というよりも、フローニンゲンの街には日本人の美容師がおらず、この街で外国人に自分の髪を切ってもらうことに躊躇していたというのが正直なところである。確かに、アムステルダムやロッテルダムには日本人の美容師がいるようなのだが、フローニンゲンからアムステルダムやロッテルダムに行こうとすると片道で二時間半かかる。

これは東京から新大阪へ新幹線で行く時間に匹敵する。しかも、アムステルダム中央駅からその店に行くまでの時間を考えると、約三時間はかかる計算になるのだ。こうしたことを考えると、やはりフローニンゲンの街で腕のいい美容師を探し当てるしかないと思った。

先日知り合いになった日本人の方に聞いてみると、街の中心部の近くに一つお勧めの店がある、ということを教えてもらった。そこには日本人の髪を切ることにも慣れている美容師がいるとのことだったので、先週中に予約を済ませ、今日はその店に行ってきた。その店で経験豊富かつ腕が良いという評判のロダニムというオランダ人の美容師にお願いすることになった。

米国在住中は、常に日本人の美容師の方にお世話になっており、その方たちから一様に、日本人の髪質は特徴的であり、外国人美容師には髪の毛をすくという概念がない、ということを聞いていた。しかし、今回お願いをしたロダニムは日本から特殊なハサミを購入しており、非常に満足のいく髪型に仕上げてくれたのだ。

終始何かとロダニムと会話をしていたのだが、その中でも、日本人を含めて、多様な国籍の人の髪の毛を切ることによって技術がより向上した、という彼の話が印象に残っている。もちろん同じ国籍でも、人によって髪の毛の特徴は異なると思うが、国籍が違うことによって髪の毛の特徴はより変動性の激しいものになる。

ロダニムの技術が確かなものであり、非常に洗練されていると感じたのは、まさに彼が様々な種類の髪を切るという「非線形学習(nonlinear learning)」の考え方に近い修練を長らく積んできたからではないか、と思わされた。ロダニムの技術が非常に巧みであったことに加え、彼の話から色々と考えさせられることも多かったため、これから二年間は彼にお世話になろうと思う。2016/9/29

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