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124.米国で注目を集める新しい学力アセスメント:2020年度大学入試改革を見据えて


日本に一時帰国中の現在、成人以降の発達理論と発達測定(アセスメント)に関する講演会・勉強会・コンサルティングをさせて頂く場を様々な方から提供していただき、主に企業組織の文脈に身を置いて多様な共同作業をさせていただいています。こうした成人期以降の意識の発達に対する学術探求と実務活動と並行して、教育関係者の方々とも対話をさせて頂く機会が増えてきています。

周りにいらっしゃる教育関係の方々から聞いた話によると、近い将来大きな教育改革が実行され、それはもしかしたら既存の教育のあり方を根本から覆す、戦後最大の教育改革になるかもしれないとのことです。具体的な改革案として上がっているのが「2020年度大学入試改革」です。

この改革案の詳細についてきちんと理解していないのですが、どうやらセンター試験が廃止され、大学の個別試験がより多面的になり、従来の知識偏重型から知識活用型教育へ移行させる意図を持った改革なのだろうと思っています。

しかし、教育関係者の方々から「どうやって客観的な評価をするのか?」「知識の活用力をどのように測定するのか?」という疑問の声を多々聞いています。私も同様の疑問を持っており、知識偏重型教育から知識活用型教育への方向転換は真っ当だと思います。

しかしながら、知識の活用力をどのように定義付け、それをどのように客観的に評価していくのかという点が明確になっていなければ、この教育改革も砂上の楼閣のようにどこかで歪みを生み出し、崩れ去ってしまうのではないかと危惧をしています。

実は日本の教育界で議論されている2020年度大学入試改革と同様の動きが、米国でも数年前から起こっていました。それは「既存の学力テストでは計れない知識活用力の見直しとその客観的な測定」という運動です。米国ではSATという試験が日本のセンター試験と同様の役割を果たしています。

SATを含め、既存の学力テストでは知識の絶対量を測定することしかできず、真の意味で知識の活用力を測定することはできないのではないかという疑問の声が米国でも生まれ、私がインターンをしていたマサチューセッツ州にあるLecticaという組織はハーバード大学教育大学院教授カート・フィッシャーの「ダイナミック・スキル理論」という認知的発達心理学の枠組みに基づいた新たな学力テストを開発し、米国の公立学校に普及させる活動をしています。

新たな学力アセスメントの名前は「DiscoTests」呼ばれ、これを一言で述べると、それは知識の絶対量ではなく知識の活用力を測定するアセスメントです。今後の記事で少しずつDiscoTestsの中身を明らかにしていきたいと思いますが、まずはその輪郭を掴むために下記の動画を見ていただければと思います。

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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