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3341. 何気ない一日の二つの美


時刻は午後の五時を過ぎ、今太陽が地平線に沈んでいく最後の瞬間を眺めている。数十分前から今のこの瞬間まで、夕日が空を照らし、そこには息を呑むような美しさを持つ空が広がっていた。

空に散りばめられた雲が赤紫に輝く様は、本当に圧巻の美しさであった。その光景は、今日を生きることができたことの至福さを強く実感させてくれた。

今日は早朝から昼食まで読書をしていたが、途中で活字空間に居続けることの限界を感じたため、午後からはゆったりとした時間を過ごした。具体的には、散歩を兼ねて街の中心部に買い物に出かけた。

ここ最近は外出するのはスーパーぐらいになり、スーパーにはラフな格好で十分なのだが、しばらく新しい衣服を購入していないことに少し前から気づいていた。それに気づいて以来、タイミングを見て、ジャケットとパンツを新しく一着ずつ購入しようと思っていたため、今日はそれらを購入しに街の中心部に出かけた。

昨年の夏に北欧を訪れる前に立ち寄った店に行き、ジャケットとパンツを購入しようとしたところ、一番小さいサイズでも私には大きく、結局何も購入しなかった。昨年の夏に購入した時には、一番小さいサイズのシャツであれば何とか着ることができたのだが、ジャケットだとどうしても不恰好になってしまうため、残念ながら今日は何も購入せずに店を後にした。

衣服に関しては、次回日本に一時帰国した際に購入しようと思う。その後、BRITAの交換カートリッジを購入しに雑貨店に訪れたのだが、その店が新装工事の最中であり、そこでも目当ての品を購入することができなかった。

結局何も購入することがないままに、私は散歩を楽しみながら自宅に戻ることにした。今日は天気が良く、自分の心も普段以上に穏やかであったためか、散歩の最中に目に入ってくるものがいつもと異なるように思えた。

これまで気づかなかったような事物がどんどんと目に飛び込んでくる不思議な現象を体験していた。フローニンゲンの街がどこか新鮮なものとして自分の目に映っていたのである。

自宅の近くまでやってくると、その道は普段近所のスーパーに行く際に必ず通っているのだが、その道に植えられている紅葉した街路樹があまりにも美しく、私はしばらくその場に佇んで、穏やかな風に揺れる紅葉を眺めていた。つい先ほど見た、夕日に輝く赤紫の空と同じぐらいの美しさがその紅葉にはあった。

今日の残りの時間もゆっくりと過ごそうと思う。作曲実践を行い、何人かの作曲家の楽譜を眺めたいと思う。

これまで通り、自分のペースで日々作曲実践を行っていく。詰将棋を一万個解くような感覚で、過去の偉大な作曲家が作った曲を参考にしてまずは一万曲作る。その時、作曲に関する何かしらの感覚が開かれるだろう。

ゆっくりと、それでいて着実に自分の中に作曲感覚を蓄積していく。それを行う上において、過去の偉大な作曲家が残した作品ほど参考になるものはない。

今日のような平穏な心を持って、毎日ゆっくりと着実に進んで行く。フローニンゲン:2018/10/31(水)17:34

No.1370: The Radiant End of a Day

Listening to the sound of rainfall, I’m meditating upon the radiant end of today. Groningen, 19:54, Thursday, 11/1/2018

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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