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2452. 欧州での故郷に戻ってきて


数時間前にフローニンゲンの街に戻ってきた。駅のプラットフォームに降りた時、なんという安堵感を感じたことだろうか。

オランダという国が、そして何よりフローニンゲンという街が自分の大切な故郷の一つになっていることを実感する。心休まる故郷があるということの恩恵は計り知れない。

帰ることのできる場所があることの有り難さをしみじみと感じる。そうした場所をこの欧州の地に持つことができて本当に幸せだ。

フローニンゲン駅のプラットフォームに降り立った時、フローニンゲンも随分と暖かくなっていることに気づいた。ワルシャワやブダペストでは日中は暑いぐらいであり、戻ってきた時のフローニンゲンはそれに似た気候であった。

夕方の四時過ぎにフローニンゲンに到着し、私はその足で街の中心部に向かった。今日は土曜日であるから、街の中心部には観光客や家族連れを含めてかなり賑わっていた。

普段私は休日に街の中心部に出かけることなどないため、この賑わいには少し驚いた。中欧旅行に出かける数日前に、突然室内用のサンダルが壊れた。これは二年間履いてきたものであり、なぜか突然壊れてしまったのだ。

旅行の前は、もしかしたらこの秋から米国に戻るかもしれないという可能性があったため、あえて新しいサンダルを購入することなく、外履きのサンダルの底を拭いて室内で使っていた。だが、米国行きの話が立ち消え、欧州にもう一年残ることになったため、室内用の新しいサンダルを購入することにした。

街の中心部のスポーツショップでサンダルを購入し、その足で行きつけのチーズ屋に立ち寄った。今日は休日であるためか、いつもの店主の女性の他に、もう一人アルバイトらしき若い女性がいた。

店主と顔を合わせるのは二週間振りなだけなのだが、その顔を見るとなぜだか安心する気持ちになった。私は毎週ほぼ同じようにこのチーズ屋に立ち寄る。このチーズ屋も私にとって大切な場所となった。

チーズ屋の店主は、私が旅行帰りであることに気づき、どこに行っていたのかを尋ねてきた。その質問に答えるのと共に、「この店のチーズとナッツが恋しかった」と述べた。店主は嬉しそうな笑みを浮かべ、私も思わず笑った。

時刻は夕方の七時半を回った。もう日の入りの時間も随分と伸び、おそらくこの調子であれば八時半ぐらいまで明るいのではないかと思う。私がこの街を離れている間に、随分と日が伸び、春が完全にやってきたかのようである。

先ほど食卓で夕食を摂っている時、食卓の窓から見える景色は私の心を本当に落ち着かせてくれた。窓の外から景色を眺めると、道端の街路樹になんと青々とした葉が茂っていた。

中欧旅行に出かける前はまだ、こんな青々とした葉をつけていなかった。それが今はもう立派な葉をつけている。

見ていないところで絶えず進行していくこの世界の流れ。それについて静かに思いを馳せる。

青々とした木々が夕日に照らされて輝いている。そして、優しい夕暮れ時の風に葉っぱたちが静かに揺れている。

欧州における故郷に戻ってきたという確かな実感。深い安堵感に包まれながら、私は明日からまた熱情的な探究生活を開始させることができると強く確信している。情熱に満ちた日々がまた始まることを今日は祝したい。フローニンゲン:2018/4/21(土)19:28 

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