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2440. 【中欧旅行記】胸騒ぎ


なぜだか今日は本当に、心の中に重さを感じる。ブダペストの天気が優れていればいるほどに、その内側の感覚が対照的に姿を表すかのようである。

人生には暗夜があるというのは本当であり、それは予期せぬ形で突然やってくるものなのだろう。なぜ中欧旅行の最中にそれを経験しなければならないのか全く私には理解できないが、どこか人生の暗夜に捕まってしまったという感覚がある。一本道を間違え、暗い小道に入り込んでしまったかのような感覚が自分を包んでいる。

ブダペストは欧州でも治安が良い方だということを聞いているが、それでも治安の良くない場所が今でも残っていることは確かだ。昨日は明るいうちにホテルに戻ってきたのであるが、中心街からホテルに帰ってくる最中に、いくつか小道を通った。

ブダペストの街全体はパリのように、大通りのみならず小さな道が張り巡らされている。昨日偶然に足を踏み入れた小さな道を通っている最中、自分の嗅覚が働き、「ここは夜はあまり通らない方がいいかもしれない」と感じたのを覚えている。

そうしたことを察知する機会は一度のみならず何度かあった。それを考えてみると、ブダペストには夜通らない方が良い道がいくつかあるのだということが分かった。ブダペストの夜道について考えていると、足を踏み入れたくない夜道に迷い込んでしまった、というのが今の自分の気持ちを表しているように思う。

今の自分の気持ちは暗く重い。それでも私は、今日を新たに生きていく必要があるのだと思う。この暗く重たい気持ちも新たなものに変容してくれるだろうか。変容を願う自分がいる。

今朝起床した瞬間に、自分が何らかの夢を見ていたことに気づいていた。中欧旅行が始まってから印象に残る夢を見ない日が続いている。

今朝夢を見ていたことだけは覚えていたのだが、その夢の内容については思い出すことができない。夢の印象がどうもすぐに消えていってしまうのだ。

一人の人間の一生も、実はこの夢のように儚く一瞬で消えていってしまう類のものなのかもしれない。だが、仮にそうだとしても、あるいはそうだからこそ、その夢を形として残しておくことの意義があるのだろう。

夢を見ては夢の印象が消えていくというのは、人間の誕生と死を象徴しているように思えて仕方ない。毎日毎日人は新たに生まれ、死んでいく。

私たちは、今日生まれた人と亡くなった人の全てに気づくことはできない。だが、この瞬間にも誕生していく者と死に向かう者がいるのだ。

夢のように現れ、夢のように消えていく存在者たち。それらの存在者に光を与えること。そのためには、自分の内側に現れては消えていく明滅的な現象を絶えず形に残すことが一つの道になりはしないだろうか、そんなことを考える。

昨夜から早朝にかけて自分の内側に生まれた胸騒ぎが少しばかり落ち着いた。まだ完全にそれが払拭されたとは言えないが、寄せては返すそうした感覚を書き留めていくことが、まさに上記で述べたことの実行に他ならない。ブダペスト:2018/4/19(木)08:25  

No.976:Radiating Stairs

I sometimes perceive radiating stairs that connect to a transcendental dimension beyond my ordinary mentation.

It implies that such a dimension always exist in this reality. Groningen, 07:51, Wednesday, 5/9/2018

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