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2323. スキーマと作曲


サマータイムに入った最初の日曜日はこれから夕方に向かっていく。先ほど昼食を摂り終え、今は少しばかり窓の外をぼんやりと眺めている。

何かに集中したり、このようにぼんやりとしたりすることを往復するような形で一日が進んで行く。ある時から私は、短い時間でも良いので、ぼんやりとするような空白の時間を意識的に設けるようにしている。

とりわけ書斎の窓の外の景色を眺めるというのはその最良の方法である。結局今日は、朝からこの時間帯にかけてずっと薄い雲が空を覆っていた。

一瞬たりとも太陽の姿を見ることはなかった。だが、それでもどこか慈愛に満ちた形で時間が進行していく様子に気づいている。深く静かな慈愛が日々を満たしていることだけで十分だ。

今日の午前中は随分と多くの論文を読んだ。分野に関しては、AIと科学哲学、ダイナミックシステム理論、認知的積載理論とスキャフォールディングなどに及ぶ。

認知的積載理論やスキャフォールディングなどの学習理論に関する論文は、科学的な発見事項を学ぶという点において刺激に満ちている。一方で、それ以上に私の関心を引きつけていたのは、AIやダイナミックシステム理論に関する哲学的な議論であった。

学習理論を含めた科学的な発見事項を紹介している論文は純粋に新たな知識項目との出会いに伴う喜びを引き起こすが、哲学的な議論は純粋に思索を深めていく喜びを感じさせてくれる。もちろん科学者として前者の価値をないがしろにするわけにはいかないが、私の内側には後者に対して大きな関心を示している自分がいることを見逃すことはできない。

今日はこれから過去の日記を少しばかり編集し、そのあとは音楽と美学に関する論文を何本か読み進めていこうと思う。この調子であれば、デスクトップ上に保存していた論文の大半を今日中に読み終えることができるだろう。

先ほど論文を読み進める中で、スキーマの獲得と作曲技術の向上には大きな関係があると思った。より洗練されたスキーマを獲得することは、より複雑高度な曲を作ることを可能にする。

作曲というのは確かに一つの創造活動だが、同時に問題解決活動でもある。作曲のプロセスがパズルや数学の問題を解くことに喩えられることがあるように、作曲は音楽理論に関する知識と感性を活用した問題解決の営みであるという側面を持っている。

複雑な問題を解決するためには、洗練されたスキーマ構造もしくはスキーマネットワークが不可欠となる。作曲に関する科学的な研究をする際に、一つはスキーマと問題解決という点に焦点を当ててみるのも面白いと思った。

つまり、作曲という一つの問題解決タスクに紐付けた形で作曲領域に関するスキーマの発達過程とそのメカニズムを研究していくのである。こうした科学的研究に並行して、これから読み進める美学の観点から探究を深めていくことができれば、なお一層充実感を私にもたらしてくれるだろう。フローニンゲン:2018/3/25(日)13:14   

No.907: New Research on Synchronization between Various Developmental Processes in Music

My next research will focus on the relationship between the degree of understanding of music theory (or music composition theory) and the level of complexity in a musical work that a learner creates.

I’m curious about not only the developmental process of each domain in music composition but also the degree of synchronization of these developmental processes.

The latter theme can be investigated by cross-recurrence quantification analysis (CRQA).

Although it takes some time to conduct such a study, once I complete the study, I’ll add another dimension of the developmental process of aesthetic experience; meaning-making of aesthetic experience.

The degree of synchronization between the three domains can be examined by CRQA. I hope to start those studies in my near future. Groningen, 12:45, Sunday, 4/1/2018

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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