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1680. 音楽と共にあった一日


早いもので今日も夕方の時刻となった。振り返ってみると、今日は一日中、音楽のことで頭が一杯であったように思う。

午後からは、教育科学に関する論文を三本ほど読んでいたが、その時にも音楽のことが頭の片隅にあった。とりわけ、音楽教育に関する主題が私を捉えてやまなかった。

現在、日本企業との協働プロジェクトのおかげもあり、企業社会という文脈における成人がどのように知性を発達させていくのかについては、十分に研究を進めることができている。

一方で、自分の中には、企業社会とは全く異なる文脈で、成人教育や成人発達について研究をしたいという強い思いが芽生え始めている。定年退職をし、そこで一念発起をしてピアノを習い始めるシニアの方たちも多いだろう。

また、私のように、全く音楽経験がない者が作曲の学習をし始めるということもあるだろう。私の中に湧き上がっている関心は、成人はどのように音楽を学んでいくのだろうか、というものだ。

究極的には、成人はどのように音楽を学び、音楽に関する知的理解と音楽技術の向上のみならず、音楽を通じていかにして自らの人格を涵養させていくのか、という点に大きな関心がある。私たち大人は、どのように音楽を学ぶのだろうか。

そして、音楽を通じて、私たちはどのように人間としての器を発達させていくのだろうか。そのようなことについて今日はずっと考えていた。

ピアノの演奏技術、作曲技術、音楽理論の理解という三つの研究領域を仮に設定した。その背景には、まずは、成人の音楽に関する知的理解の発達プロセスと、音楽技術に関する発達プロセスの両面を知りたいという思いがある。

それらの発達プロセスを探究するために、どのような研究手法が適用できるかを考えていた。定性的な方法に関しては、これまで行ってきたように、構造化インタビューや半構造化インタビューのような手法があり、文章記述型の手法がある。

一方、定量的な方法に関しては、どのようなものがあるかについてより多くの時間を使って考えていた。ピアノの演奏技術に関して定量的なデータを集めるためには、例えば、ピアノの演奏を録画・録音し、録画・録音データに対して、何らかの基準によって定量化していくことができるだろう、という考えがすぐに思いついた。

このアイデアだと、データ収集と定量化に労力がかかることは止むをえないが、仮にこの案を採用する場合に、どのように定量化していくかについて二、三アイデアをノートに書き留めていた。

同じように、作曲技術の発達プロセスの解明に向けた定量化についても考えていた。正直なところ、確かにピアノ演奏を録画・録音する方法は手間がかかるが、こちらのデータは、一分一秒単位の時系列データとなりうる。

一方で、作曲技術については、リアルタイムのデータを集めづらいという点がある。私の構想の中で、最も面白いと思うのは、システム科学とネットワーク科学の観点から、成人の学習や発達を捉えていくことにあるため、ピアノ演奏のように仮に時系列データを集めることができれば、ダイナミックシステムアプローチや非線形ダイナミクスの諸々の手法、さらには、ネットワーク科学の様々な分析手法を活用することができる。

そうした意味において、ピアノ演奏を録画・録音するという方法は魅力的である。それでは、作曲技術についても時系列データを集めるにはどうしたらいいかを考えていた。

最も理想的なのはリアルタイムでのデータがだが、やはり作曲についてはそのデータ収集が難しい。ただし、作曲に関するワークショップのようなものの中であれば、その様子を録画することによって時系列データにすることが可能だと思った。

もし、リアルタイムでの作曲技術の発達プロセスに囚われることなく、一週間単位であれば、毎週に貸す作曲の課題に対して、何らかの定量化の基準を設ければ、一週間ごとのデータを収集することができる。

さらには、その課題に対して、音楽理論の観点から定量化を施せば、毎週に作った曲の変動性や複雑性の度合いを分析することは可能であり、その曲が持つ動的な運動を分析・可視化することができる。

成人の音楽理論に関する理解力の発達プロセスに関しては、これまでの研究の延長線上に過ぎないので、こちらは比較的簡単に研究することができる。それは領域は違えど、企業人の戦略理解力の発達を研究するのとほぼ同じアプローチで研究することができる。

それら三つの研究領域と分析方法について考えた後に、それではどのような被験者を対象にするかを考えていた。ピアノの演奏に関しては、世界中どの街でもピアノ教室があり、例えば、来年に所属予定の米国の大学の周りにも数多くのピアノ教室がある。

そうしたことからも、こうしたピアノ教室と提携し、そこのスクール生に研究に参加してもらうというのは一つの案である。こうしたピアノ教室であれば、初心者から中級者、さらには上級者という三つの区分の被験者に参加を依頼することも可能なのではないかと思い、この案は実行性がありそうだと判断した。

また、作曲技術と音楽理論に関してはどのような被験者に参加してもらうかを考えていた。時折、音楽教室の中に作曲レッスンも提供されていることがあるが、それほど多くはない。

仮に、ピアノレッスンと作曲レッスンの双方を提供している成人向けの音楽スクールがあれば、理想的な研究協力者となる。もしそうしたスクールがなければ、来年所属予定の音楽科や近くの音楽院に研究の協力依頼をし、そこの学生に被験者になってもらうという方法がある。 今日は本当に、音楽に身も心も取り憑かれているような日だった。上記の研究が実際に行えるかは現段階では不明だが、私としては是非行ってみたい研究である。

それは、私自身が成人になってから音楽の魅力に気づき、実際に数ヶ月前から作曲を本格的に行い始めたという個人的な理由がある。また、企業人の学習や発達、さらにはオンライン教育だけではなく、これまでの自分の探究で培ってきた知見を他の領域に適用してみたいという思いがあることも見過ごすことはできない。

来年に所属予定の大学で、オンライン教育と成人の音楽教育に関する学術研究と、それに並行して、日本企業との協働プロジェクトを通じて、企業人の学習や発達についても引き続き研究を進めていくことができれば、それ以上に望むことはないと言える。2017/10/22(日)18:21

No.325: Impossibility and Possibility The dream that I had last night explicitly indicated that I could not come back to the business world.

In other words, I realized that I could not work in a company anymore.

To describe the dream would be verbose, but the theme was the impossibility for me to become a full-time worker in a company.

I know that it is impossible in a company to pursue truth, goodness, and beauty to the extent to that I imagine.

At the same time, I already know that I can pursue it as long as I can keep my present lifestyle. Morning, Thursday, 10/26/2017

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過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

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