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637. 休息からの飛躍


私は今、オランダへ向かう飛行機を待ちながら、成田空港のラウンジにいる。渡欧を果たした昨年のあの夏もこのラウンジを利用していた。

そして、あの時と全く場所にある同じソファに腰掛けて、出発直前のあの時に飲んでいたのと同じエスプレッソを丸テーブルの上に置いている。物理的な状況の外見は、あの時と全く同じであるにもかかわらず、今この瞬間の自分の心境は随分と異なったものであることに気づく。

静かな大海の中に小躍る波を感じていたあの時とは違う感覚が、この瞬間の私の中を満たしている。それは、深海よりも静かな宇宙空間の中に漂っている感覚と表現できるかもしれない。

静けさを超越したこの静けさの中で生きているのが今の自分の姿である。日本に一時帰国する数日前から本日にかけて、私の内側の世界は深い休息の中で何かを温め続けていたのを知る。

具体的には、私の脳と意識が次の境地に至るために大いなる休息期間を設け、両者の活動がゆったりとしたものになっていたのである。はたから見ると、それは脳の活動力の低下や思考力の低下と思われる類のものかもしれない。

しかしながら、私が感じていた素直な感覚は、脳と意識の機能低下ではなく、大いなる飛躍に備えた休息状態と呼べるようなものであった。オランダに戻る飛行機を待つ間中、この二週間強にわたって自分の脳と意識を取り巻いていた不思議な休息感について考えていた。

昨日のエネルギーワークのセッションのおかげもあり、休息状態が終焉に向かいつつあるのをこの瞬間に感じている。この休息状態が終わった後、私の脳と意識に対して具体的にどのような変化が起こるのかは定かではない。

だが、一つ言えることは、これまで以上の活力を持って探究活動や実践活動に励むことができる、という確信である。オランダで生活を始めてから五ヶ月が経ち、この期間は助走期間という位置付けであった。

オランダの地で再び生活を始める時、これまでとは異質の活動エネルギーを持って、探究と実践を丸呑みしたいと思う。そのようなことを考えていると、乗り換え地点であるヘルシンキ行きの案内がラウンジに流れた。

搭乗時間が迫るにつれ、ヨーロッパの大地に戻り、あの時間感覚と存在感覚の中で探究活動ができることに対する喜びと感謝が増していく。再び私は欧州の中で、欧州を通じて毎日を深く生きたいと思った。2017/1/7

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