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610.知的抱腹絶倒を常に感じて


今日は、「複雑性と人間発達」というコースの第四回目のクラスに参加した。本日のクラスを担当したのは、ダイナミックシステムアプローチに造詣の深い物理学者のラルフ・コックス教授である。

私の論文アドバイザーを務めるサスキア・クネン教授とコックス教授が交代で担当するこのコースに対して、私は虜になっている。毎回のクラスで目から鱗が落ちるような思いになるのだ。

「知的好奇心」という人口に膾炙した言葉を遥かに超えて、「知的卒倒」や「知的抱腹絶倒」が自分の中で起きるコースも珍しい。このコースでは一貫して、複雑性科学の理論と研究手法が取り上げられている。

理論的な側面と研究手法の側面の双方で、自分にとって得るものが毎回非常に多いのだ。特に、クラスの後半で扱ったフラクタル次元を分析する実習が印象に残っている。

この実習では、 “Standardized Dispersion Analysis (SDA)”という手法を用いて、非線形時系列データを解析していった。この実習に取り組みながら、自分の研究データにどのように応用できるか、ということを常に考えていた。

クラス終了後、早速自分の研究データにSDAを適用してみたところ、驚くべき結果を得た。以前紹介したように、私たちの行動には、大きく分けて三つの変動性が見られる。

これは、学習プロセスの中にも見られるものであり、実際に自分のデータを眺めてみると、ピンクノイズやホワイトノイズが発生しているような気がしていたのだ。SDAを用いてみると、こうした直感を確証付けるように、見事にピンクノイズやホワイトノイズが検出されたのだ。

全てのデータセットに対して、SDAを適用していないので、近日中に、変動性が乏しく安定性が高いブラウンノイズが検出されるかどうかも検証してみたい。冬休み中は、ダイナミックシステムアプローチの中でも、「フラクタル解析」「再帰定量化解析(recurrence quantification analysis)」に焦点を絞り、コックス教授が追加で推薦してくれた論文を含め、20-30本ぐらいの専門論文を読もうと思う。

これらの論文のほとんどが、自分の専門分野ではなく、応用数学や物理学のものであるため、細かな数式にとらわれることなく、とにかく知性発達研究に適用できる概念と研究手法に関する自分の理解を拡張させることを絶えず意識しておきたい。2016/12/15

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