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8822-8827: フローニンゲンからの便り 2022年7月27日(水)

更新日:2022年7月31日



No.3869 ヨーテボリの朝の精霊_A Morning Spirit of Gothenburg


本日の散文詩(prose poetry)& 自由詩(free verse)

No.1675, The Real

I’m touching the real.

I can’t grasp the entire real.

Yet, I can merge into a part of it.

That’s enough for me.

Because it is divinely blissful.

Groningen; 20:06, 7/27/2022


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本日の3曲


全ての楽曲はこちらのMuseScore上で公開しています。

楽曲の一部はこちらのYoutubeチャンネルで公開しています。

タイトル一覧

8822. 今朝方の夢

8823. 文明学のセミナーを終えて

8824. 集中的な内面ワークの機会をもらって

8825. 世界そのものと触れながら

8826. 言葉とコンテクストのダブルバインドによって統合失調的になる現代人/ニック·ボストロムの「脆弱世界仮説」

8827.『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~』を見始めて


8822. 今朝方の夢


時刻は午前9時半を迎えた。今、小雨が降っていて、朝の静けさを感じている。どうやら小雨はすぐに止むようであり、そこからは雲が晴れ、今日は晴天に恵まれるようだ。今日はとても涼しく、日中は18度までしか気温が上がらない。最低気温に関しては9度ほどである。涼しく過ごしやすい夏が続いてくれることを有り難く思う。暑さで参ってしまうことがなく、自分の取り組みに継続して打ち込めるこの環境に感謝したい。そう言えば、今朝方の夢の中で、自分が住んでいる街が夏なのに気温が0度になるという場面があった。太陽は夏らしく燦然と輝いていながらも、気温は0度だったので、とても不思議な感じがした。肌寒さがありながらも、太陽の光の暖かさを感じるという不思議な体験をしていた。この場面の最後の方では、夏なのだが雪が降ってきて、それに驚きながらも雪が天から舞い落ちる姿を堪能していた。そこにはなんとも言えない美しさがあった。その他にも今朝方は、音楽のアルバムを集めている夢があった。私は欧州のどこかの街にいて、その街のレコード屋に入って、色々なレコードを物色していた。そのレコード屋の品数は見事であり、かなり大量にレコードを購入した。自宅に戻り、そのレコードを早速かけてみようと思った。その時にどういうわけか、レコードを地面に置かれていた大量の本の上に置いていった。すると、本とレコードが共鳴し合い、それぞれの本とレコードからユニークな音楽が流れ始めたのである。本とレコードの組み合わせによって生み出される音楽は違ったので、それが一斉に鳴り響く様は圧巻であり、興味深いことに、全ての音楽が1つの巨大な音楽を作っていて、私は音楽の大伽藍の中にいた。その時に感じていたのはなんとも言えない浮遊感であり、自分が音楽の世界の中で宙に浮いているような恍惚的な感情があった。その他にも、穏やかな湖畔で過ごしている夢の場面もあった。そこで私は、野菜や果物を育てていて、そろそろ収穫の時期を迎えようとしていた。湖畔の家には妻と子供がいて、家族で一緒に収穫を楽しみ、それを祝おうと思った。総じてこの夢の場面は穏やかな時間と流れと共に進行していった。フローニンゲン:2022/7/27(水)09:38


8823. 文明学のセミナーを終えて


小雨が止み、空が少しずつ晴れてきている。薄い雲を通り抜けるようにして朝日が地上に降り注ぎ始めた。


昨日は、午後から文明学に関するオンラインセミナーがあり、それを終えてから随分と補足の音声ファイルを作っていた。合計で25個、時間にして4時間弱の音声ファイルとなった。実際のセミナーが90分のものだったので、その2倍以上もの音声ファイルを作ったことになる。いつもセミナー後にはこうした補助音声ファイルを作っているのだが、大抵セミナーの夜は脳が覚醒して寝つきがあまり良くない。ところが昨日は、寝つきがとても良かった。いつも補助音声ファイルでは、できるだけ全て話し切るようにしていて、昨日はとにかく区切りや終わりをきちんと設ける意識を持って作成したことが良かったのだろうか。普段就寝する時間を超える形で音声ファイルを作成していたので、浴槽に浸かってゆっくりすることはなく、昨夜はシャワーで済ませた。それにもかかわらず熟睡することができたのは喜ばしいことである。


昨日のセミナーでは、ドイツの思想家ビョンチョル·ハンの書籍を2冊取り扱った。今後、それぞれの書籍をもう1回じっくりと取り扱うようなセミナーがあってもいいように思う。また、ハンの書籍で翻訳されていないものの中で、重要な書籍を数冊ほど選び、それらの書籍についても1冊を3回ぐらいかけて取り上げるようなゼミナール形式のセミナーがあってもいいかもしれない。そこからは、テクノロジー哲学やマネー神学に関する重要な書籍を取り扱って、同様の形式でゆっくりとその書物に向き合っていくことを考えていた。昨日のセミナーの中で場に出されたコメントや質問は大変貴重なものばかりであり、今日もまた少しそれらについて考えを巡らせてみようと思う。フローニンゲン:2022/7/27(水)09:49


8824. 集中的な内面ワークの機会をもらって


時刻は正午を過ぎとなった。起床直後には小雨が降っていて、うっすらとした雲が空を覆っていたが、今は晴れ渡る空が広がっている。今日は気温が低いのだが、太陽の光のおかげもあって、とても快適で爽やかである。


先ほどまで協働者の方との定例ミーティングを行っていた。話の流れで、その会社の中で行われている内面探求のワークを自分も受けさせてもらうことになり、来週からそれが始まる。1回のセッションは1時間ほどの対話形式で行われ、12回を上限にしてじっくりと幼少期から今にかけての自分の内面世界の変遷を探っていく良い機会になるだろう。このワークを提供してくださる協働者の方との付き合いは長く、7年ほどの間継続的な関係があったこともあり、信頼をしてワークに望めそうである。ちょうど昨日、文明学のセミナーを終えてから音声ファイルを録り終え、就寝に向かっている最中に、幼少期の体験を思い出している場面があった。それらも一度対話を通じて誰かに聞いてもらう必要があると自分でも薄々感じていたり、それを望んでいた自分がいたように思うので、来週からのワークの機会はとても有り難い。


今日はもうなにも予定がないので、ここからはゆっくりと読書をしたり、原稿のサブチャプターのタイトルを再考しようかと思う。サブチャプターのタイトルも本文の内容を改めて鑑みた時に、もっとふさわしいものがありそうなので、少しばかり考えてみる。本文の加筆修正はすでに2度行っているので、それについてはもう時間を取る必要はない。午後からはサブチャプターの最適な名前を付けることだけに集中しよう。フローニンゲン:2022/7/27(水)12:28


8825. 世界そのものと触れながら


静かさと平穏さに包まれた1日がゆっくりと進行している。気がつけば、午後3時を迎えた。今日は朝から肌寒く、今の気温も18度ほどしかない。夏の前の感覚、あるいは夏が終わった後の感覚が自ずから芽生える。先ほどまでゆっくりと読書に耽っていたのだが、その際に、未規定である世界全体について思いを馳せていた。ロイ·バスカーが言うところの“the Real”の世界であり、それはジャック·ラカンが言うところの“the Real”の世界である。ここ最近は、言葉やイメージを介さず、その世界にアクセスしている感覚が増している。特に旅の最中にぱっとその感覚が訪れる。そして、旅の後もその感覚が続く。それを言葉で表そうとすると、それはもはや世界そのものではなくなり、絵画や音楽で表現しようとしても、世界そのものからこぼれ落ちてしまう感覚がある。ただし、言葉よりは後者の表現媒体の方が世界そのものに肉薄していける感覚がある。一方で、仮に言葉を用いる場合には、それを説明するのではなく、それを暗示するような言語表現であれば、世界そのものに肉薄している感覚は増す。このあたりの表現技法を磨いていく必要があるだろうか。いずれにせよ、世界から訪れるものに自己を開き続けていよう。それによって不具合が生じるような社会生活をもはや営んでいないのだから。


それでは一旦読書をやめ、ここからは書籍の原稿のサブチャプターのタイトルについて再考したい。それについても1時間ほど集中すれば作業は完了するだろうか。そうしたら再び読書に戻ってこよう。ちょうど数日後からは8月となり、ここで書籍の一括注文をしようと思っている。50冊から80冊ぐらいの間の書籍を一気に注文することになるだろうか。それらはこれからの探究にとってなくてはならない貴重な文献ばかりである。すでに文献の選定は終わっており、実際に購入する前にもう一度目次を含めて中身を確認してみようと思う。フローニンゲン:2022/7/27(水)15:19


8826. 言葉とコンテクストのダブルバインドによって統合失調的になる現代人/

ニック·ボストロムの「脆弱世界仮説」


時刻は午後5時を迎え、夕方の穏やかな世界が目の前に広がっている。まだ太陽は高く、今日は気温が低かったこともあり、秋の雰囲気を感じる。そんな中、昨日の文明学のセミナーの振り返りを少し行っていた。ビョンチョル·ハンの指摘とグレゴリー·ベイトソンのダブルバインド理論を絡めてみると、現代人はまさにダブルバインドに苛まれ、統合失調的な状態に置かれているようのではないかと思った。つまり現代人は、表向きは肯定的な言葉に触れながらも、実はその言葉の背後にある否定的なコンテクストには無自覚であるがゆえに、言葉とコンテクストの齟齬によって統合失調的な在り方になっているのではないかと思ったのである。結局そこにも、言葉に過度に依存しようとする近代合理性の病が依然として継続していることが窺える。


スウェーデンの科学哲学者ニック·ボストロムは、「脆弱世界仮説」という興味深い仮説を提唱している。これは文明学やテクノロジー哲学の探究をしている自分にとって注意を引いた。ボストロムは、人類の文明の発展を巨大な壷からボールを取り出す過程として捉えている。ボールというのは、人間が生み出した様々なアイデアやテクノロジーなどのことを指す。人間はこれまでに実に様々なボールを生み出してきたが、その大部分は人類に利益をもたらす白いボールや、幾分害を内包した灰色のボールであった。一方で、人類がまだ見ていないのは黒いボールであるとボストロムは述べる。テクノロジーの中には人類や文明そのものを破壊させる力を持つものがあり、それが黒いボールである。脆弱世界仮説は、壺の中にいくつか黒いボールが入っているということを織り込んでいる。すなわち、私たちが生み出すテクノロジーの中には、所与の前提として人類や文明を滅ぼしうるテクノロジーがあるという考え方がこの仮説の意味するところである。黒いボールの例としては核兵器以外にも、現在では生命工学の発展によって、生物兵器を含め、色々なものが考えられる。ボストロムの書籍はまだ何も読んだことがないので、調査をしてみたところ。“Human Enhancement” “Anthropic Bias: Observation Selection Effects in Science and Philosophy” “Global Catastrophic Risks” “Superintelligence: Paths, Dangers, Strategies”の4冊は必ず目を通しておこうと思う。フローニンゲン:2022/7/27(水)17:21


8827.『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~』を見始めて


時刻は午後7時半を迎えた。この間のスウェーデン旅行から帰ってきた時に、アーユルヴェーダの実践の一つである舌磨きをするためのステンレス製のタング·スクレーパーが2つに折れてしまい、代わりにオランダのアマゾンでまた新しいものを購入した。その時に、オランダのアマゾンプライムに加入し、その流れで、昨日から“Upload(『アップロード ~デジタルなあの世へようこそ~』)”というアメリカのテレビドラマを見始めた。これは以前から見たいと思っていたドラマであり、この機会にシーズン2まで全てみようと思っている。昨日からドラマを見始めて、早速すぐにハマってしまい、今は5話まで見ている。このドラマは、現在注目されているメタバースをテーマにし、それに派生していくつも自分の関心領域をカバーしている面白い作品だ。一昨年には『ウエストワールド』というアメリカのドラマを見ていて、それも同じ主題を描く興味深い作品だった。『アップロード』では、男性の主人公ネイサンが不審な死を遂げて、デジタルな世界にアップロードされ、女性の主人公ノラが現実世界でデジタルな世界の維持·管理に関するカスタマーサービスを提供している役割を演じる。作品を見ていると、デジタルな世界の中でノラが顧客としてアップロードされた人たちから0から5の星の数でサービスを評価され、それが現実世界での評価につながっているところなどを見ると、こうしたところにもネオリベ的な能力主義かつ測定主義の様子が窺える。また、結局人間がデジタルな世界に記憶と精神をアップロードしても、人間の自我が本質的な欠陥を抱え続けているという宿命を帯びている以上、デジタルな世界が幸福に運営されることなどないのだということも見えてくる。テクノユートピアの実現はやはりあり得ず、人間はどこまでいっても人間なのだ。主人公ネイサンの記憶が何者かによって削除・改変される点も注目に値する。人間にとって記憶は、アイデンティティと密接に関わるものであり、記憶の削除・改変はアイデンティティの改変につながるだけではなく、それに伴う実存的な不安や病を引き起こしうることを考えさせられる。デジタルな世界において記憶が簡単に書き換えられている姿を見ていると、それは実は現実世界においても様々な方法ですでに行われていることなのだということが見えてくる。この作品からはまだまだ色々と考えさせられることがあり、引き続き全てのエピソードを見ていきたいと思う。その中でまた色々と考察を深めていこうと思う。フローニンゲン:2022/7/27(水)19:42

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