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2693. 書物との向き合い方及び土地勘の形成


時刻は夕方の六時を迎えた。午後から夕方にかけて風が強さを増し、外は一向に曇り空のままであった。

今日からしばらく気温の低い日が続くようだ。冷たい夏が続き、そしていつの間にやら秋の足音が聞こえて来る。そんな状況にこれからなっていくのかもしれない。

今日は昼前に、作曲家のドキュメンタリー作品のDVDかブルーレイディスクを探していた。すると、“In Search Of Great Composers”という作品を見つけた。

これは、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンの生涯を辿るドキュメンタリー作品である。バッハがここで取り上げられていないのは残念だが、この五枚組のDVDをイギリスのアマゾンより購入することにした。

先月末にアムステルダムのヴァン・ゴッホ美術館でゴッホのドキュメンタリーDVDを購入して以降、書籍だけではなく、視覚的に芸術家の生涯を辿ることも実に有意義だと気付いた。今回購入したドキュメンタリー作品は、合計で10時間ほどの長さであり、得るものは非常に多いだろうと思われる。

このドキュメンタリー作品についても繰り返し視聴し、得られるものは骨の髄まで得ようと思う。画家にせよ、作曲家にせよ、己の魂と共に真に生きた人間からはいつも大きな励ましを得る。

本日購入したDVDは、創造活動に従事する一人の人間にとって大きな肥やしと支えになるだろう。

今日は昼食前に一曲作り、午後にも一曲を作った。その後、美学に関する書籍を三冊読み終えた。

これらの三冊は初読であったため、細部に入ることなく、全体を把握するような読みを心がけた。今の私は美学の領域固有の言語体系に習熟していないため、専門書を細かく読んでいくことは得策ではない。

理解できる箇所が少ないがゆえに、わずかばかり理解できる箇所、しかもそれが自分の関心に合致する箇所を中心にして、理解の範囲を広げるような読み方をすることが賢明だ。初読を終えた三冊についてはしばらく寝かせ、また読み返したいと思う。

随所随所に考えさせられる記述があり、次回読み返す際には印を入れたそれらの点について考えを深めていくことにする。今日読んだ三冊は、どれも先月に街の中心部の古書店で購入したものである。

それらの書籍を読み終えた後にふと思ったのは、「自分は将来に読むための本を今購入しているのかもしれない」ということであった。確かに古書店で私は、今の自分の関心に合致するがゆえにそれらの書籍を購入した。

しかしそれらの書籍が真に必要になるのは、もっと後のことになるということをわかったのである。これは今回のように美学の書籍についてだけに当てはまることではなく、振り返ってみると、これまで購入してきた全ての書籍がそうであったように思う。

とりわけ発達理論に関する書籍のほとんどは、最初は全く理解できないものばかりであり、後々になってそれらの書籍の真価に気づき、少しずつ書籍の内容が理解できるようになってきたように思う。書籍の理解には時差があり、書籍の存在価値は現在から未来に向かって伸びている。そのような気がしてならない。

これからはしばらくは美学に関する書籍、そして音楽理論や作曲理論の書籍を繰り返し読んでいくことになるだろう。自分が関心を持ち、理解がなんとか及ぶ箇所を中心に書籍を読み進めていき、徐々に土地勘を形成していく。

何度も書籍を読み返すことは、何度もその土地を訪れることを意味し、それによって徐々にその土地に関する理解が深まっていく。この夏からは特にそうした意識を強く持って書物と接したい。フローニンゲン:2018/6/12(火)18:06 

No.1066: Its Bright Song

It sings and indicates itself. That is “its” tenet and verity. Groningen, 07:57, Saturday, 7/14/2018

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