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2629. 祝福の雷雨


空が地鳴りのような音を響かせ始め、いよいよ雨が降ってきた。私は思わず立ち上がり、書斎の窓の方に駆け寄って外を眺めた。

小鳥たちがピヨピヨ鳴きながら雨宿りの場所を探し始めた。雨粒の様子を確認してみると、半分以上の雨粒がとても大きいものに映った。

私はコーヒーを片手に窓際からしばらく外を眺め続けていた。自転車で道行く人たちが急いで自宅に戻ろうとしている。

空は相変わらず地鳴りのような音が鳴り響いており、積乱雲がフローニンゲンの空を完全に覆っている。大粒の雨が降ったり止んだりする光景を私はぼんやりと眺めていた。

同じことを何度も書き留めていくことの意義。繰り返し繰り返し書くことの意義。いや、書くという行為そのものが持つ意義について改めて考える。

とにかく書き続ける。書くことによって思考を深め、書くことによって存在を深めていく。それが生そのものを深めることを導いていく。

書くべき内容がいかに同一のものであっても構わない。それが自分を惹きつけるものである限りにおいては。

同一対象について文章を書いたとしても、書けば必ず対象に関して新たな側面が開かれていく。それが反復と差異の根幹原理である。

同一対象について書くことによって、これまで見えなかった側面を浮き彫りにしていく。書くことは反復と差異の原理に基づいてなされ、自己の存在および人生を深めることに結びついていく。

先ほど、自分が様々な経験を経て作曲に至った理由について思いを馳せていた。なぜ作曲に行き着いたのか?

そこに明確な理由を見出すことは難しい。何が私を作曲に導いたのだろうか?

そこに明瞭な因果関係を見出すことも難しい。事態はそれほど単純ではない。

だが、一つ単純なものを挙げるとするならば、音楽経験の一切ない自分が作曲を始めたことには何らかの意味があるということだけだろう。おそらく作曲という実践行為を通じて自分にしかできない固有の何かがあるようだ。

それを見つけるというよりも、それを造形していく。それは発見されるというよりも、創造されるもののように思えてくる。

今日はこれから湯船につかり、その後に夕食を摂る。夕食後からは学会発表に向けたプレゼンの準備を進めていく。

パワーポイントに対して即興的に説明を加えながら、自分の伝えたいことを伝わりやすい形で表現する練習をする。パワーポイントにした資料は随分と研究内容を省略したものであるため、もう一度論文そのものを読み返す。

そもそもこの論文を執筆したのは今から一年前であるから、やはり論文そのものを音読しておくことは大切だ。論文そのものを読む前に、学会に応募した際の資料を読み返すことをしたい。そこに今回の研究の要旨がうまくまとまっている。

突然雨が激しくなった。大粒の雨がフローニンゲンの街に降り注いでいる。相変わらず空は地鳴りのように鳴り響いており、空も分厚い積乱雲で覆われているが、私にはどうしてもこの雨が恵みの雨のように思えて仕方なかった。

地上の何かを洗い流すかのように、浄化するかのように降り注ぐこの雨を祝福したい。フローニンゲン:2018/5/29(火)18:03 

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