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1767. 還元化と分断化の波


昨日は作曲について考えている過程の中で、音楽が果たす重要な役割の一つに、小説が果たす役割と似たようなものがあることに気づいた。

音楽も小説も、精神的なものをそこに体現させ、それを通じて世界に働きかけていくという重要な役割がそこにある気がしてならない。小説家の辻邦生氏は、小説家になる前に、小説の持つ意味とそれが果たす役割を見つけられずに苦しんでいた。

辻氏が小説の中に見出した究極的な意味や役割は、小説が物質主義的なものを超え、精神的な物語世界の中に読者を誘うことを通じて、私たちの生活に直に働きかけていくことにあったのではないかと思う。

つまり、小説とは精神空間の産物であり、それを享受するのも精神空間の中でのことなのだが、小説は私たちの実際の生活に直接的に影響を及ぼす力を秘めているということだ。辻氏の師でもあった、小説家の埴谷雄高氏は、「真の革命とは精神的な次元でなされなければ意味がなく、小説はそれを成し得る手段である」という趣旨の言葉を残していた。

小説が精神に働きかける作用と、それが実際の私たちの生活に働きかける作用は見過ごすことのできない点である。そして、小説と同様のことが、音楽にも当てはまるのではないかと思う。

音楽は物質主義的なものを超えたところにあり、私たちの精神へ直接的に働きかける。同時に音楽は、私たちの生きる日々の生活に直接的に働きかけるものでなくてはならないように思えるのだ。

もちろんここでは、小説や音楽の「実用性」について述べているのではない。小説や音楽は、精神空間の中で営まれるものでありながらも、それが生活空間へと繋がっていなければならないということを言いたいのである。

米国の思想家のケン・ウィルバーが述べているように、物質圏と精神圏は別々のものでありながらも、それらは連続的なつながりを持っている。片方を一方に還元してはならず、同時にそれらを切り離してはならない。

小説や音楽が物質圏に還元されてしまうことは大きな問題であり、同時にそれらが精神圏のみにとどまっているのも大きな問題である。物質圏に還元されてしまった小説や音楽は、それらが本来依拠する空間から切り離されてしまっているがゆえに、本質的なものが骨抜きにされてしまっていると言えるだろう。

同様に、精神圏のみにしか留まれないような小説や音楽も、精神圏と物質圏の連続性を無視することによって、それらが果たすべき生活への作用という本質的な役割を担うことができていない。

この世界は、本当に進歩しているのだろうか。私たちは、本当に成熟の方向へ向けて足を進めているのだろうか。

それらについては強く疑いたくなることがある。この世界に蔓延する還元化と分断化の波を食い止める方法はないのだろうか。2017/11/11(土)07:55

No.412: Conviction I convince myself that I can overcome the coming severe winter.

Needless to say, the severity is not about physical coldness but existential demands.

While reading one of the collected works of van Gogh, I assured myself that the series of books would definitely bring me to next spring. 16:21, Friday, 11/24/2017

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