top of page

1425.【北欧旅行記】Σ∞


オスロでの最後の朝。ホテルの朝食をしっかりと摂り、予定摂りに八時ちょうどにホテルを出発した。

今日は雨の予報だったが、またしても天気が変わり、雨に見舞われることがなかった。道路の様子を見ると、どうやら深夜に雨が降っていたようだ。

ベルゲン行きの列車が出発するのは8:25であり、十分に余裕を持ってプラットホームに着いた。プラットホームにはすでに乗車予定の列車が待機しており、チケットに表示されている車両にすぐに向かった。

乗車する車両は最後尾であり、先頭車両からそこまで辿り着くのに少々時間がかかったが、列車に乗り込み、自分の席を見つけた。列車は予定どおりの時刻に出発し、いよいよベルゲンに向けた列車の旅が始まった。

オスロ上空は曇りがちであったが、しばらく列車に乗っていると、幸いにも晴れ間が広がってきた。車窓から綺麗な河川が見える。その河川を囲むように濃い緑が見える。

エマーソンの全集をおもむろに開き、いくつかの章を読み進めていると、気づかないうちに一時間ほどの時間が経った。顔を上げ、景色を眺めると、昨日のオスロ国立美術館での出来事を思い出した。

美術館の作品を案内順に鑑賞していると、一つの部屋に行き着いた。そこはデッサンを体験する部屋だった。

部屋の中央に、男の子とその母親の彫像が立っていた。母親の彫像が小さな男の子を抱擁している様子を表している。

部屋の壁には、ここでデッサンをした人たちの作品が至る所に貼られていた。滅多に絵を描かない私でも、どういうわけかここでデッサンをしたいと思った。そう思わせてくれる環境からの働きかけがあったのだ。

二つの彫像を斜めから見える位置に腰掛け、デッサンボードに画用紙を挟み、鉛筆でデッサンを開始した。デッサンというのは、おそらく対象をありのままに描くことを意味するのだろう。

デッサンを開始しようとした瞬間に、私の眼には、左側の男の子がΣ記号に見え、男の子を抱く右側の母親が∞記号を縦にした姿に見えた。そのため、自分の眼に見えた通りにそのまま表現した。

熱心に鉛筆を走らせ、目の前の具体的な人間を表した彫像を見ながら二つの記号を描いていった。最終的には「Σ8」のようなシンボルが画用紙の中央に大きく描かれ、Σの角が子供の柔らかさを表していないと思い、δ記号をΣの尖った部分に小さく配置していった。

20分ほどデッサンに熱中し、いつの間にか作品が完成していた。今日の日付、自分の名前、そしてどこから来たのかを明記し、自分の作品も壁に貼り付けようと思った。

100枚近くの作品があっただろうか、全ての作品を眺めてみると、絵画のプロが描いたようなデッサンがいくつかあった。一方、幼い子供が描いたような可愛らしい作品もいくつかあった。

ただし、全ての作品に共通していたのは、部屋の中央に置かれていた二人の具体的な人間をそのままデッサンしていたことだった。100枚近くの作品のうち、抽象的なシンボルでデッサンをしていたのは私だけのようだった。

その瞬間、部屋の隅に腰掛けてデッサンを始めようとした私は、肉体の眼ではない眼で二つの彫像を眺めていたことに気づいた。Σ記号の右横に∞記号を配置したことの全体の意味は、無限を無限回足し合わせるということだった。

実際の数学的な操作では、無限に無限を足すことは許容されていないと思う。母親の無上の愛が無限を表し、その男の子と母親との絆が足し算を表していたのかもしれない。

デッサンを終えてその部屋を後にした私は、何か大きなものに包まれながら途方もない場所に向けて歩き出している感覚があった。2017/8/12(土)

No.70: Vitality and Eternity I slept very well last night, and my vitality for work is fulfilled. The exterior world is also beginning to awake.

The symphonic various sounds of nature tells the beginning of today. Riding on the waves of the symphony, I will read and write, read and write, and read and write today.

Today will end, and a “new today” will come again. Our days are the continuity of everlasting today.

That is why we are living in the eternal and timeless world. Sunday, 8/20/2017

過去の曲の音源の保存先はこちらより(Youtube)

過去の曲の楽譜と音源の保存先はこちらより(MuseScore)

bottom of page