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616. スペクトラル解析


書籍の全体を書き上げ、一夜が明けた。本日から再び、これまでと同じ生活に戻る。今日は、「フラクタル尺度」や「再帰定量化解析」に関する論文を読むことと、複雑系研究のメッカであるサンタフェ研究所が提供しているオンラインコースを受講することにほぼ全ての時間を使っていた。

サンタフェ研究所が提供するオンラインコースの中でも、NetLogoを活用したエージェント・ベース・モデルに関するものを履修していた。以前紹介したように、フローニンゲン大学で現在履修中の「複雑性と人間発達」のコースでもNetLogoを取り上げたことがあり、その応用範囲の広さに惹かれるものがあったため、今回のオンラインコースで集中的に学習することにした。

改めて、NetLogoはプログラミング経験がなくても十分に活用できるツールであり、このツールを活用することによって、科学者ではない一般の人にも複雑性科学の発想を獲得することが可能であると思った。

実際に、米国では学校教育の中でNetLogoを活用したプログラムがすでにあるようだ。そうしたことからも、このツールは子供から大人にかけて、プログラミング経験がなくてもシミレーションを通じて、複雑な現象のプロセスやメカニズムを学習するのに最適だと思った。

本日も、そのコースを受講しながら様々なモデルを使ってシミレーション実験をしていた。「捕食者・被食者モデル」や「山火事モデル」をシミレーション実験していると、条件設定を少し変えるだけで、その結果は無数に異なる。

また、確かにシミレーション中のプロセスは複雑に見える。しかしながら、一見複雑に思えるプロセスを生み出しているのは、実は非常にシンプルな方程式なのである。

もちろん、捕食者・被食者のモデルには「ロトカ・ヴォルテラの方程式」という常微分方程式が使われており、「山火事モデル」には一見すると難解に見える偏微分方程式が使われている。

そうした微分方程式であったとしても、結局は少数の方程式の組み合わせでしかない。そうした少数の方程式の組み合わせが、このように複雑な現象を生み出すことは実に興味深い。

複雑性科学の研究で「決定論的カオス」と呼ばれるのは、まさに、一見すると複雑に思える現象の裏には、こうしたシンプルな方程式が隠れていることを示すものだ。今日のシミレーション実験を通じて、再度そのようなことを思った。

一日中、サンタフェ研究所のオンラインコースと学術論文を読むということを交互に行っていたため、高い集中力を保って探究活動に励むことができていたように思う。長時間一つの論文や書籍を読み続けていると必ず集中力が途切れるので、ある程度の時間が経ったら別の論文や書籍を読むことにするというのは良い方法だと思う。

夕方からの文献調査で収穫だったのは、「スペクトラル解析」という方法に出会ったことだろう。私たちの知性や能力の発達プロセスの姿は、変動する波のようである。

その波を分析するためにフーリエ解析が使えると以前思っていた通り、スペクトラル解析ではフーリエ変換を用いながら、周期的な波を分析する方法だとわかった。波の波形に関する研究は、来年の一つのテーマになるだろう。2016/12/21

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