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279. ズヴォレという街を訪れて


今日は、オランダ中東部の地方都市ズヴォレ(Zwolle)に行ってきた。ズヴォレという町は、フローニンゲンからIntercityという特急列車に乗って二駅のところにあるが、片道一時間ぐらいかかる。

フローニンゲン大学の学生課から事前に送られてきたメールを確認すると、オランダ到着後、アムステルダムからフローニンゲンに向かう途中でズヴォレに立ち寄り、ズヴォレにある移民局にて、住民登録カードの発行のために、メディカルチェックをする必要があるという連絡があった。

当然ながら、オランダ到着時の疲弊度合いは相当なものであったし、時間も深夜であったから、私は別の日に出直すことを決めていた。生活が少し落ち着いた8月5日の本日にズヴォレを訪れることにしたのだ。

事前にズヴォレという街について調べてみると、高校時代に履修していた世界史の中で登場した、フランク王国の国王であったカール大帝(シャルルマーニュ)が西暦800年あたりにこの都市を設立したという史実を知った。随分と歴史のある都市なのだなと思い、この街に訪れるのを楽しみにしていた。

ズヴォレに行くために、早速フローニンゲン駅に向かった。自宅からフローニンゲンの駅までは、歩いて20分ぐらいかかり、良い運動になる。新居から駅まで歩いて行くのは今日が初めてであったから、少し余裕を持って出発した。

駅までの景色を堪能しながら、ある通りに差し掛かると、嫌な音が聞こえてきた。そうだ、あの「カンカンカンカン」というけたたましい音だ。「ぬりかべ」参上。

耳に付く音と共に、運河を架橋する橋がゆっくりと上がっていく。運河を通る船は、日本の電車よりも圧倒的に速度が遅い。そして何より、船を運転する皆様は、やたらとゆっくりお進みになられる(中には優雅に、通行人に手を振っている方もいらっしゃる)。

「カンカンカンカン」という最初の音は、「今からゆっくりとぬりかべが現れますよ〜」という警告であり、その後、何とも形容しがたい長い待ち時間が過ぎる。そして再び「カンカンカンカン」という音が鳴り、「今からゆっくりとぬりかべが消えますよ〜」という警告が出される。

早めに自宅を出発して本当に良かったと思った。

東京のように分刻みで電車がやって来るわけではないので、何とか当初の予定通りの電車に乗ることができて安堵した。フローニンゲンからズヴォレの街に行くまでの間、 “The Relevance of General Systems of Theory (1972)”の中身を大雑把に確認していた。

やはりまだ完全に研究モードに入ることができておらず、書籍を読みながら頻繁に車窓から見える景色を眺めていた。相変わらずのどかな風景が続き、私はどうやらオランダのこうした側面をすでに愛していることに気づいた。

そうこうしている内に、ズヴォレに着いた。到着してみて驚いたのは、駅が意外と大きく、駅周辺の建物や景色が思っていた以上にモダンであり綺麗だったのだ。それに加えて驚いたのは、この街においてもやはり人が少ないのだ。現代的かつ綺麗でありながらも、非常に閑散とした街であった。

そのようなことを思いながら、移民局に到着し、日本人国籍の場合、メディカルチェックは不要であり、私の指紋を登録するだけで手続きは呆気なく完了した。これで住民登録カードが取得できるらしいが、後日改めて移民局に受け取りに来るか、フローニンゲン大学という大きな大学の場合、新入生歓迎式の際に移民局から職員が派遣され、大学でカードを入手することができるとのことである。

これで一通りの手続きが完了し、肩の荷が下りた感じがした。

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