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3413. 戯れとしてのリアリティ:ゆっくり眺めること


時刻は午前11時半を迎えた。確かに今日も外は寒いが、部屋に差し込む太陽の光は暖かい。今日は風がほとんどなく、裸の街路樹が静かに佇んでいる。

早朝にハイドンとバッハに範を求めて作曲し、午前中は知人が現在執筆中の書籍の原稿をレビューしていた。本書は成人発達理論に基づきながら、自己主導的な成人へと発達を遂げていくための実践書である。

最初から最後まで目を通し、こちらの方でいくつかコメントを挿入し、先ほど知人に原稿を送った。

成人発達理論の枠組みが、少しずつ様々な領域に活用され、多くの実践者に共有されつつあるように思える。来年の一月に出版する書籍と、四月か五月に翻訳出版されるケン・ウィルバーの書籍は、そうした流れの中に位置づけることができるだろう。

先ほど改めて、昨日の座禅について振り返っていた。長時間座ることによって誘発される非日常意識の中で、極めて巨視的な観点からこのリアリティを眺めることが可能になり、全てが戯れだという気づきを得ていたことを思い出した。

それらの戯れは真剣でも不真面目でもなく、移りゆくダンスのようなものだという洞察が得られていた。そして、それらの戯れは、このリアリティにおける諸行無常を的確に表しているものだったように思う。

早朝から今の時間にかけて行ってきた諸々の取り組みも、リアリティに生起する戯れであると捉えることができる。それは遊びでも仕事でもなく、戯れとして絶えず千変万化するものだとしか言いようがない。

昨日の知覚体験は、とても洞察に溢れたものだったと改めて思う。

知人の書籍の原稿をレビューした後に、数日前に届いたばかりの“Slow Looking: The Art and Practice of Learning Through Observation (2018)”を読み始めた。基本的に学術書しか購入しない自分にとっては珍しく、本書はタイトルにあるように、絵画芸術を鑑賞するための実用書である。

もちろん本書の中には、学術研究の成果が盛り込まれているのだが、本書はどちらかというと実践を指南することを目的にしている。著者は、ハーバード大学教育大学院で教鞭をとっているシャリー・ティシュマンという方であり、彼女は冬学期に、本書をもとにした集中講義を提供している。

本書の要諦はタイトル通り、「ゆっくり見ることの意義と効用」だと言えるだろう。時間の流れが早く、情報に溢れる現代社会において、ゆっくり芸術作品と向き合うことの大切さを痛切に感じていた私の関心事項と合致する内容である。

午前中に半分弱ほど読み進め、午後に一読を完了させることができるだろう。読書においても、自分の関心のあるところではしっかりと立ち止まり、内容をゆっくり咀嚼することの大切さをふと思った。フローニンゲン:2018/11/18(日)11:47

No.1425: A Flash of the Galaxy

Because it was cloudy today, I can’t see any starts in the night sky.

Yet, I can imagine that various phenomena are happening in the Galaxy right now at this moment. Groningen, 17:59, Monday, 11/19/2018

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