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2848. 日常と非日常を超えた視点の獲得に向けて


数羽の鳥が早朝の青空の下を優雅に飛んでいく姿を見た。今日は雲一つない青空が広がっており、風も爽やかだ。

ただし、今日と明日は最高気温が27度に達するようであり、午後は暑くなるだろう。とはいえ、フローニンゲンの夏はそうした気温でも過ごしやすい。クーラーなどを一切使わずに、自然な状態でその気温に順応できることは心身に良い影響を及ぼすに違いない。

ここ数日間、自己からヌルリと脱却する感覚が何度か訪れた。それは特に昨日に参加したルター教会でのオルガンコンサートの帰り道に顕著だった。

自分が自己だと認識している対象から抜け出し、その外にいてこの世界を眺めているような感覚がしばらく続いていた。小さな自己から離脱しているのだが、それでもこの小さな自己との関係が完全に断ち切れているわけではない。

小さな自己を絶えず見つめているような感覚がしばらく自分を包んでいた。こうした体験は以前から何度もしているが、欧州での生活を始めて以降、その頻度は増すばかりである。

また、一度の体験における時間も長くなっているように思う。こうした体験を引き起こすほどに、昨日のオルガンコンサートには何かしらの力があったのだろう。これがまさに、昨日考えようとしてた芸術教育と霊性教育の接点を示唆するものかもしれない。

芸術体験は間違いなく私たちを非日常的な意識に誘ってくßれる。それができないものはもしかすると芸術と言えないのかもしれない。

そうしたことを考えると、芸術の定義らしきものが浮かび上がってくる。いずれにせよ、芸術の意義の一つには、普段自分が感じ得ないような感覚をもたらすきっかけや、普段自分が考えないことに考えを巡らせるきっかけを与えてくれることにあるような気がしていた。

ルター教会の椅子に腰掛けながらオルガンの音色に耳を傾けていると、内省的な意識となり、自己及び人生、そしてこの現代社会の有り様に自然と考えが及んでいた。そこで起きていたのは意識の拡張と思考の拡張であり、芸術体験はこうした現象を誘発させうる。

もしかすると、見方を変えれば芸術というのも一種の幻想であり、その幻想体験は、日常という幻想をまた別の視点で眺めることを可能にしてくれるのかもしれない。つまりここには二重の幻想が存在しており、日常という幻想を日常の目で眺め続けていてはその幻想性に気づくことはできないが、芸術という非日常的な幻想の中に浸ることによって、日常という幻想の幻想性に気づくのである。

そして芸術体験が真に霊性に触れるようなものであればあるほどに、芸術の幻想性にさえも気づくことが可能になってくる。要するにここでは二重の幻想を超えて、より超越的な視点を持って自己及びこの世界を眺めることが可能になるということだ。

そうしたことを考えてみると、昨日に経験した自己から離脱する感覚というのはまさに真に霊性に触れるような体験からもたらされたと言ってもいいかもしれない。こうした自分自身の直接体験をもとに考えを進めていくと、日常の幻想と非日常の幻想から真に目覚めるために芸術を愉しむための芸術教育と、超越的な存在に触れ、超越的な視点から自己及び世界を眺めるための霊性教育は非常に大切なものになることがわかる。

自分に対して問いを投げ続け、その問いに対してわずかばかりでも文章を書き続けることによって、徐々にその問いへの自分なりの答えと新たな問いが生まれることを嬉しく思う。芸術教育と霊性教育に関する探究はこれから本格的に始まっていく。そんな予感がしている。フローニンゲン:2018/7/16(月)07:09

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