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2656.『新世界より』とトロムソでのオーロラ観察


時刻は午前九時を迎え、近所で行なわれている工事が今日も始まったようだ。時折機械が動く音が聞こえて来る。

そういえば、昨日は工事の音が聞こえなかったから、昨日は休日だったのかと思ったが、昨日は月曜日だった。曜日の感覚はもはやほとんどなく、毎日書斎で自分の探究と創造活動に明け暮れる日々が続いている。

これを今後はより徹底させていく。自然に囲まれた場所で人知れず暮らし、不必要な外部との接触を一切断ち切るような形でなされていく生活。その生活の実現に向けて一つ一つ人生が進行しているように感じる。

今日は本当に寒い。六月に入って数日が経ったというのに、この寒さはなんだろうか。涼しいというよりも寒かったので、室内でも長袖を着て、暖かい飲み物を飲みながら仕事に取りかかっている。

先ほどハーモニーに関する書籍を読んでいる時に、ふとドヴォルザークの『新世界より』という曲を思い出した。以前私は、この交響曲が収められたCDを友人から贈呈してもらったことがある。

それは今から七年前に、私が日本を離れ、米国の大学院に留学する直前のことだった。そのCDに収められた『新世界より』を機内で聴きながら、サンフランシスコの街を眺めた時のことを今でも覚えている。

会社を辞め、未知の分野を探求しようと思って米国に降り立った時、まさに新世界に来たかのような感覚があった。あの時は本当にゼロからの出発だったように思う。

当時の記憶があれこれと蘇ってくる。最初に仲良くなった米国人の友人から“How are you doing?”という言葉を投げかけられた時、なんと答えていいのか真剣に考え、頭を悩ませていた時の記憶が懐かしく思い出された。

近所のスーパーに行く際には、レジでのやり取りの表現を頭の中で事前に準備しておくような有様であった当時の自分。あれから様々な経験を積み、欧米での生活も七年目を迎えた。

この地で生活をすることは、今も新世界の中で生きているような感じがする。いや、この世界のどこで生活をしようとも、日々が新世界の中で生きることに違いないのだと思う。

日々の世界は新世界なのだという気づき。毎日が常に新たな出発であるように思える。

七年の時を経て、私は再び大きな未知の世界に向かって歩み出しているように思う。七年歩んで再び振り出しに戻った感覚だ。

だが、今度の振り出しは以前の振り出しとまるっきり異なる。七年間絶えず歩みを継続して辿り着いた振り出しは、七年前の振り出しとは質的に異なるのだ。

ここからまた新たな振り出しに向けて新たな歩みを進めていく。そんな気概に満ちている。

今日の気温の低さが影響してか、ふと北欧について思いを馳せていた。昨年に引き続き、今年もまた北欧に訪れたいと思う。

いま少しばかり笑みがこぼれてきたが、それは今生活しているフローニンゲンもほぼほぼ北欧ではないか、ということから生まれた笑みだった。今年の夏はスウェーデンとフィンランドを訪れる計画を立てていたが、それに加えて、冬にオーロラを見に再度北欧に足を運びたいと突然思った。

すぐにあれこれ調べてみると、ノルウェーのトロムソという場所がオーロラの観測スポットとして有名らしい。トロムソという街は、「北のパリ」と呼ばれているらしく、北極圏にある街としては栄えているらしい。

オーロラの幻想的な光景を夢想する。トロムソに行くとすれば、11月の末か12月の中旬あたりがいいかもしれない。

ちょうどその辺りにはまだ何も旅行の計画を入れていなかった。その時期は日没が早く、下手をすると一日中陽が昇らない「極夜」を経験することになるかもしれない。

オーロラを見にトロムソを訪れたいという思いに突然囚われたのは何かの縁だろう。もう少しトロムソについて調べてみようと思う。

随分と気が早いが、トロムソに行くことになれば、現地に到着してからオーロラツアーを申し込むようにしたい。天気予報のように毎日発信されるオーロラ予測を確認してからツアーに申し込み、オーロラを観察できる確率をできるだけ高めたいと思う。

現地の寒さと日照時間を考えると、当地ではほとんど何もすることがなさそうだが、五日から一週間ほど現地に滞在したいと思う。そんな突発的な旅行計画が浮上した。フローニンゲン:2018/6/5(火)09:10 

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