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2109. 極寒の別世界から


先ほど無事にインターン先のオフィスに到着した。「無事に」と思わず言葉を付け足してしまったのは、あまりにも外が寒く、冷たい風にさらされ続けていたからである。

自宅を出発したのは午前九時を迎えた頃だったが、その時の気温はマイナス7度だった。太陽は出ているのだが、いかんせん空気が張り詰め過ぎている。

そうした中を、少しでも早く体を温めるために、いつものように最初の10分ほど軽く走っていた。いつもは10分ほど走れば体が温かくなるのだが、今日は一向にそのような気配がなかった。

冷たく強い風が吹くたびごとに、耳が凍ってしまうのではないかと心配してしまうほどであった。そんな過酷な寒さの中、いくつか興味深い光景を目にした。

一つは、一人の父親が小さな子供を前に乗せて自転車を運転している光景である。その光景そのものよりも、ふと父親が自転車を止め、何かを地面から拾い上げていたことが印象に残っている。

どうやらそれは、寒さをしのぐためにかぶせていた子供の帽子のようであった。帽子を拾い上げた父親は、それを再び子供の頭にかぶせた。

今度はおそらく深々とそれをかぶせのだろう。その父親もこれから働きに出かけるのだろうが、非常にラフな格好をしていた。

日本では母親が自転車の前や後ろに子供を乗せて早朝に運転する姿を見かけることがあるが、オランダでは父親がそれを行っている光景をよく目にする。今のインターン先でMOOCチームのリーダーを務めているトムには、双子の子供がいるようであり、勤務は週に四日、しかもそのうちの一日は午前までの勤務である。

働き方にせよ、子育ての仕方にせよ、日本とオランダとでは随分と異なることを改めて知る。この寒い中、自転車を懸命にこぐ父親の姿はもう見えなくなった。

インターン先のオフィスに向かう道は、いつものように、河川敷のサイクリングロードである。今日改めて河川を眺めてみると、見事に凍結していた。

冬季五輪でオランダを始め、北欧諸国が強い理由というのは、こうした環境要因によるところも多分にあるだろう。小さい頃から凍った河川の上をスケートしていれば、自然とスケート感覚が養われ、高度なスケート技術を獲得するための土台のようなものが培われるにちがいない。

適宜走りながらオフィスに向かっている都合上、通勤には比較的時間に余裕がある。そのため、私はサイクリングロードの途中で足を止め、凍った河川の上に立ってみることにした。

これは先週から試そうと思っていたことであり、今日その決心がついた。河川は本当に凍っており、私が上に乗っても氷が壊れることはなかった。

氷の上に立つことに関して、何か事前に仮説を立てていたわけでもなく、何かを検証しようと思っていたわけでもない。単純に、凍った河川の上に立つという直接体験を味わってみたいという思いだけがあった。

氷の上に立って周りを見回してみると、そこには静かな世界が広がっていた。サイクリングロードを通る人もほとんどおらず、とても静かであったが、氷の上の世界はもっと静かであった。

この世界には別世界が至る所に遍満しているのだということを知る。今いるインターン先のオフィスもまた別世界だろうし、オフィスの窓から見える外の世界もまた別世界だろう。フローニンゲン:2018/3/2(金)10:02   

No.828: Premonition of Spring

It has been very cold in Groningen for the past couple of weeks.

Although I feel a premonition of spring today, it seems that a cold day still continues. Groningen, 08:36, Monday, 3/5/2018

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