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1417.【北欧旅行記】この世界の一回性

August 22, 2017

スウェーデンのルンド駅からオスロ行きの高速バスに乗り込んだ。コペンハーゲンからスウェーデンに入る時、またしてもパスポートコントロールがあったが、それは速やかに行われ、到着予定時間にルンドに着いた。

 

オスロ行きのバスも時間通りに到着し、今回は二階建ての高速バスではなく、通常の高速バスだった。乗客の数も多く、ほぼ満席の状態で出発した。

 

スウェーデンの西岸を走るバスからの光景は、とてものどかだ。片側二車線の高速道路が延々と続く中、両脇には平野と緑が広がる。遠方にスウェーデンの名の知れぬ街が見える。

 

高速道路を走るバスに乗りながら、景色が静かに通り過ぎていく。そして、時も刻一刻と刻まれていく。だが、自分の内側にはもはや何にも動かされぬものがあることに気づく。

 

それは時間も空間も超えたものであり、自己の存在すらも超えたものである。バスの中でも相変わらず、読むことか書くことに従事している。

 

読むことと書くことが呼吸と同じ状態になりつつあることをとても嬉しく思う。バスの窓から景色をぼんやりと眺めることは、読むことと書くことの合間に意識的な呼吸を吹き込んでくれる。

それにしても、世界にはいろんな場所があるものだとつくづく思う。スウェーデン西岸の光景は、どこかで見たことがあるように思えて、やはり初めて見る光景だ。

 

世界の様々な場所に足を運ぶ時、そこでしか育まれないものについて、いつも思いを馳せる。この風土でしか生まれえないものは何だろうか?そういう問いが常に自然と湧き上がるのだ。

 

その土地に宿る固有性は本当に尊いものだと思う。それが多様性となって現れ、この星の物質的・精神的な豊かさを生み出している。

 

今、このように日記を書いている私の思考や感覚も、スウェーデン西岸の土地に宿る固有性から育まれたものに違いない。一人の固有な人間が一つの土地の固有性に真に出会う時、お互いの固有性を超えたものに触れることができるのかもしれない。

 

それは人間本質と呼べるものなのか、人間のみならず万物の本質と呼べるものなのかもしれない。いずれにせよ、自己と土地との完全なる出会いは、小さな自己を超え、超越的なものの前に私たちを連れ出してくれる。

いつの間にか、バスに乗って二時間ほどの時間が経った。エマーソンの全集を読んだり、文章を書いていたりしていると、二時間の時間は本当にあっという間だった。オスロまで残り四時間ほどだ。

時間が過ぎるのが早いことに驚きながらも、やはりこうしたバスの旅は高齢になったらできないことかもしれないと思い、幾分笑顔がこぼれた。こうした旅は60歳——いやそれくらいの若さであればまだ十分可能かもしれない——、あるいは90歳になったらできないかもしれないと思った。

 

実際に、バスの乗客を眺めてみると、90歳ほどの年齢の者はいないようだ。旅というのは、訪れる場所にせよ、そこで何を見るのかにせよ、さらには移動する手段にせよ、その時の年齢や内面的な成熟度合いに応じて多様性を帯びるものだとつくづく思う。

 

私たちが刻一刻と身体的にも精神的にも変化していくことを考えると、その時の旅の姿は一回限りのものに違いない。今、このようにしてスウェーデン西岸の高速道路の上にいる私の旅のあり方は、この人生において今しか経験できないことなのだと思う。

 

本当にこの世界は、一回性のもので溢れているのだ。旅の一回性、人間の一生の一回性、森羅万象の一回性に思いを馳せる時、全ての現象が一回性という共通性でつながり、そのつながりがこの世界に調和をもたらしていることに驚かざるをえない。私たちは日常、この一回性にきちんと気づいているだろうか。

突然雨が降り始め、数分経って雨がすぐに止んだ。スウェーデン上空の空を眺めながら、隣国のフィンランドについて思いを巡らせる。フィンランドの隣国にはロシアがあり、ロシアと日本はすぐ近くだ。

 

そのように考えると、今スウェーデンにいるにもかかわらず、随分と日本の近くにいるような気がする。そうなのだ。日本はいつも自分の近くにあり、近くという距離すら生じ得ぬ自分の内側に常にあるのだ。

 

なぜだか地球の物理的な大きさがとても小さなものに思えた。2017/8/10(木)

 

No.62: Death and Perpetuity
——We do not die. The world dies from us——Edvard Munch


A cloudy sky is spreading out above Groningen. A tranquil wind under the cloudy sky is playing a requiem. 

 

I hope that our spirit does not die even though our perceptual reality ends when our physical body decays. My journey to find perpetuity began again. 

 

I will devote myself to today’s work. Friday, 8/18/2017

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