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1415.【北欧旅行記】彫刻的・絵画的・音楽的な文章に向けて


昨夜は九時あたりに就寝し、今朝は五時に起床した。この時間でも朝日のうっすらとした光がコペンハーゲンの街に差し込んでいた。

十分な睡眠時間を取ったためか、心身の調子が非常に良い。今日は早朝にコペンハーゲンを出発し、オスロに向かう。

昨日の美術館の訪問を含め、コペンハーゲンで得られた新たな感覚が大量に自分の内側に流れ込んできたためか、昨夜も夢を見た。大きな部屋の中で、直方体の鉄格子の縦横を反対にし、高さの高い面をよじ登る夢、そして洞窟の中を走り、通り過ぎていく車を追いかける夢だった。

特に後者の夢を見ている最中、自分の内側には強いエネルギーが湧き上がっており、それを発散させるかのような行動を取っていた。起床直後にこの夢を振り返ってみても、特段コペンハーゲンの街とは関係なさそうな内容だ。

しかし、この夢を引き起こした何らかの要因がこの街にあり、夢の中の内容もコペンハーゲンの街での体験に影響を受けているように思えて仕方ない。 昨日は一日のほとんどをニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館で過ごし、所蔵品を見て回ることによって足を使い、その後はキルケゴールの墓を訪れに街の郊外に向けて歩いていたため、昨夜は身体的な疲労があった。

そのためか、昨日の日記は出来事の列挙をすることぐらいしか余裕がなかった。昨日、美術館の中で無数の彫刻作品と向き合った時に、改めて彫刻のように形を掘り出していくような文章を書いていきたいと思わされた。

彫刻的な文章を書いていくためには、何はともあれ言葉にしたいという思いを掻き立てる対象を見つけ、その表面的な形を浮き上がらせるのではなく、自分を掴んで離さない対象の奥にある感覚までも浮き彫りにして必要がある。

そのために何が必要なのかを考えなければならない。その条件や方法を見つけることによって、対象の奥にある感覚を肉感と迫真性を伴わせて表現していくのだ。 彫刻的な文章に合わせて、理想を言えば、自らの言葉が絵画的かつ音楽的な様相を呈してくれればどれほど良いかを、美術館に所蔵された印象派の絵画作品と音楽をモチーフにした彫刻を見ながら思っていた。

印象派の一枚の絵画を見たとき、絵は多くのことを語ることに改めて驚かされた。仮に文字でその絵の世界を表現しようと思ったら、いったいどれほどの言葉を積み重ねなければならないのだろうか、そしてそんなことは不可能に近い、と少しばかり愕然とした思いになった。

しばらく呆然とその絵画を眺めていると、絵画芸術と文学芸術の違いについて考えを巡らせ始め、両者にはそれぞれ異なった表現形式があり、異なる価値を私たちに届けてくれるのだと思った。表現形式に差があるために、一枚の絵の表現世界を文字で表すことが不可能であってもいいのだ。

むしろそれは当然であり、絵画を文章で完全に再現することはできず、文章を絵画で完全に再現することなどできはしない。だが、両者が共通に持つもの、あるいは文章であれ、絵画であれ、その作品を生み出した根源的な感覚というのは、それが絵画として表現されているのであれば文章として、文章として表現されているのであれば絵画として再現することができなければならない。

その絵画作品を見ながら、この作品の奥にある感覚さえ掴めれば、文章の形を採用して、この作品が持つ意味や訴えかけてくるものを忠実に再現することができると思った。 彫刻、音楽、文学のどの作品にも、作品を生み出すための根源的な種が間違いなく存在しており、それを的確に掴むような眼と感覚を養いたいと強く思う。昨日の美術館での教えの一つはそれだった。 昨日について振り返っていると、コペンハーゲンを出発する時刻が近づいてきた。午前八時前にコペンハーゲン中央駅に到着するようにし、コーヒーと昼食のサンドイッチを購入して、スウェーデンのルンド行きの列車に乗り込みたいと思う。

ルンドからオスロまでのバスの景色をとても楽しみにしている。2017/8/10(木) No.60: The Kernel of Attaining Eternity for Our Creations ——A good picture never disappears. A brilliant thought does not die——Edvard Munch I concur with Munch’s statement in that our creations can acquire eternity once they reach the farthest point of individuality.

An expression form does not matter; it can be any forms such as music, painting, or writing. The kernel of attaining eternity for our creations is to transcend the farthest end of our individuality. Thursday, 8/17/2017

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