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11077-11081: フローニンゲンからの便り 2023年10月11日(水)



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タイトル一覧

11077. 今朝方の夢

11078. モンキーマインドを生み出すデフォルト·モード·ネットワークについて

11079. 共同体意識の涵養に資する天然系サイケデリクスの可能性

11080. ゼミナールの新たな教材を作り終えて/シロシビン·セッション中の音楽について

11081. サイケデリクス哲学が果たす種々の役割


11077. 今朝方の夢


時刻は午前5時半を迎えた。今の気温は17度と昨日の朝よりも随分暖かいが、なんと今日の最高気温はこれくらいの温度で、ここから1日中ほぼ同じ気温が続く。夕方からは雨が降るようで、今日は特に外出予定はないので、雨の降る様子を書斎の窓から楽しめればと思う。


今朝方見ていた夢についていつものように振り返っておきたい。夢の中の私は、外国の町にいて、何かの勉強をしていた。おそらくそれは留学だったのだと思う。心が常に穏やかで、それでいて喜びに満ちた形で勉強をしていた。すると突然、私はイギリスのリヴァプール大学に用事があることを思い出し、机の上にあった本を左手に持って空を飛んでリヴァプール大学に向かった。イギリス郊外の景色はとても美しく、それをしばらく堪能していると、オックスフォード大学が眼下に見えた。リヴァプールまでまだ随分と距離があるぞと思ったときに突然雨が降り出し、左手に持っていた本が濡れるのは嫌だったし、体が濡れて風邪を引くのも嫌だったので、急遽私はオックスフォード大学に雨宿りがてら立ち寄ることにした。緑の芝生が美しい敷地内に雨が燦々と降り注いでいる光景は素晴らしかった。体が雨に濡れないように食堂に避難したところ、そこに3人の若い日本人留学生たちがいて話をしていた。3人のうち2人は男性で1人は女性だった。どういうわけか1人の男性は女性の学生に対して敬語で話をしていたが、その女性の言葉はタメ口だった。少し雨に濡れた体を手で拭きながら3人の話を聞いていると、食堂の真ん中で、ある日本人の有名な認知学者の先生が論文を広げて読んでいた。先生は目の前に座っている人と楽しそうに論文の話をしていて、それを聞いているこちらも楽しくなり、その論文を読みたくなった。そこで夢の場面が変わった。


もう1つ覚えているのは、外国の町の美術館の中で、自分が突然青い炎に包まれた獣と化したことである。獣に変化した私には理性はなく、その姿になったら何をしでかすかわからなかった。最初のうちは、周りにいた人に危害を食わせそうになったが、徐々に善人と悪人の区別がつくようになり、私は獣の姿で何かの敵とみなされている人たちを成敗する役割を担わされていることに気付かされた。そこからは、青い炎に包まれた獣として理性を持って任務に当たった。理性と言っても人間のような理性ではなく、単純に敵か味方かを判断する能力と、人間が話していることを理解する力ぐらいだったが、逆にそれくらいしか能力がないことが任務の遂行には役立っていた。獣になった私は、人間では考えられないくらいのほぼ瞬間移動とも言っていい速度で瞬時に移動することができ、相手に気づかれないように次々と敵を倒していった。全ての敵を倒した後に美術館の外に出て、青い獣になった私は空を飛び始めた。すると近くの木でできたテーブルに腰掛けていた知人の女性の姿が目に入り、その方が「加藤さんはまた変化して、そしてまた新しい敵を作っちゃったね。でもそうやってどんどんと変わっていくのが加藤さんなのよね」と述べた声が聞こえてきた。それを受けて私は、こうしてどんどんと変化していく自分を肯定し、それによって新しい敵が生まれたとしても、自分はこれからもどんどんと変化していこうと思った。今朝方はそのような夢を見ていた。フローニンゲン:2023/10/11(水)05:47


11078. モンキーマインドを生み出すデフォルト·モード·ネットワークについて


時刻は午前6時半を迎えた。辺りは引き続き暗いが、自分の心の中の世界は晴れていて、今日もまた充実した形でサイケデリクスに関する研究が進むだろう。300冊ほどのサイケデリクス関係の学術書の初読も今月末のボストン旅行までに終わるだろう。毎日着実に研究が進んでいるのを実感し、今日もまた新しい気づきや洞察をいくつも得られるであろうことが楽しみだ。


とりわけセロトニン系のサイケデリクスの研究において頻繁に言及されるデフォルト·モード·ネットワークは、自我の居場所なだけではなく、過去や未来に思考を向けることに関わっており、雑念を生み出す通称「モンキーマインド」の状態を作り出している存在でもある。マインドフルネス瞑想は、デフォルト·モード·ネットワークの働きを緩める効果を持ち、それはサイケデリクス·セッションに向けて良い準備となる。常日頃からマインドフルネスの状態を保つようにし、1日に少しの時間で良いので時間を取って集中的なマインドフルネス瞑想をするのはサイケデリクス ·セッションを深めるために役立つだけではなく、セッションがない状態においても絶えず心を穏やかにしておくことにつながる。


シロシビンやLSDによる中毒症状からの脱却や、鬱病やPTSDの治癒のイメージは、足跡が無数について絡み合った雪山を一度全て綺麗にし、もう一度まっさらな雪の上を歩くことを可能にするというイメージを持ってみると良いかもしれない。脳内の神経ネットワークがそれらの病気を引き起こすような回路になっているところを、シロシビンやLSDは一度回路全体を溶解させ、脱構築させてくれる働きを持つ。まっさらになった状態で重要なことは、再び鬱やPTSDを発病させないようにすることであり、統合セッションはそのためにあるとも言える。まっさらな状態で再び鬱やPTSDを助長するような情報で書き込みをしないように、統合セッションではガイド役の力を借りて、それらとは無縁の状態の情報を新たに書き込んでいくようなイメージを持つとわかりやすいかもしれない。またセッション後はできるだけ人混みを避け、インターネットを含めたマスメディアの情報から距離を取り、しばらく静かな生活を心掛けることが重要なのも、病気を再発させるような情報の書き込みから避けるためである。そのようなことを考えながら、あと5日後に迫った第18回目のシロシビン·セッションが最善のものになるように尽くしていこうと思った。 フローニンゲン:2023/10/11(水)06:45


11079. 共同体意識の涵養に資する天然系サイケデリクスの可能性


早朝より、ドラッグに関する法規制に関するルートリッジ出版から出版されている書籍を読みながら、サイケデリクスを通じた共同体意識の形成について考えている自分がいた。合成系のサイケデリクス ではなく、天然系のサイケデリクスであれば、自らその元になる植物やマッシュルームを育てることができる。例えばメスカリンが含まれるカクタス系のペヨーテやサンペドロは日本でも使用は禁止されているが栽培ならできる。DMTが含まれるアヤワスカも栽培することが可能であるし、シロシビンが含まれるマッシュルームについても昔日本でも合法で栽培キットが販売されていたように、それらは全て自分たちの手で栽培することができる。合成系のものを自分が好まない理由の1つは、そこにどのような他の物質が混入しているかわからないことが挙げられる。また、基本的に合成系のものは伝統的な宗教儀式で用いられてきたという歴史がなく、単独で使用する場合が多い。それはこの孤立化が進む現代社会の様相を加速させてしまうように思え、合成系のサイケデリクスは孤独化·分断化する社会に対する直接的な社会実践にはなりにくいように思える。もちろん、他者との繋がりに目覚めることを通じた間接的な形での社会実践に乗り出していくことは考えられるが、天然系のものは直接的にも間接的にも、この分断化し、孤立化していく社会に対する大きな実践的処方箋の1つになり得るように思える。実際に今住んでいる敷地内では、隣人のマークがサイケデリクスではないがカンナビスを育てていて、今度一緒に収穫をする。そのときにマークがいくつかカンナビスを分けてくれるとのことで、こうした形で隣人との協働作業と関係性の深化を促してくれるのが植物の良さである。また、シロシビン·マッシュルームについてもボストン旅行の後から栽培を開始しようと思っていて、上手く育ったらマークに分けたり、親友のメルヴィンと共にセッションを共にしたいと思う。このように、天然系のものの場合には、他者との関係性のネットワークを広げ、深めていきやすいという大事な力がある。菌学者のポール·スタメッツ教授も自らシロシビン·マッシュルームを育て、それを他者に分けたり、一緒に使用することを推奨していた。そうやって共同体意識が育まれていき、さらには天然系のサイケデリクスを活用することによって、エコロジカル·アウェアネスの目覚めや涵養を促すことも可能である。こうした社会実践まで射程に入れて考えてみると、やはり自分は自ら栽培可能な天然系のものを好むことを改めて思った。フローニンゲン:2023/10/11(水)07:38


11080. ゼミナールの新たな教材を作り終えて/シロシビン·セッション中の音楽について


時刻は午後5時を迎えようとしている。今日は午後から雨が降る予定だったが、パラパラとした小雨が少しだけ降っただけで、今はもう雨は降っていない。そんな中、猫たちが喧嘩している鳴き声が聞こえてきた。


先ほど、ゼミナールの教材を作成していた。今取り上げているジョハンの書籍の全ての章を扱い終えたら、そこからは少し読書課題から離れ、映像作品を教材に活用したいと思っている。そのような形で3週間ほどクラスを開催し、その間に受講生の皆さんには次の課題図書を購入してもらったり、読解を進めてもらったりしようと思う。今後も1冊の書籍を取り扱い終えたら、少なくとも1週間はインターバルの期間として動画教材を扱うようにするといいかもしれない。先ほどは、LSD、シロシビン、MDMA、カンナビス、アヤワスカ、DMTの6つの物質を取り上げたドキュメンタリー映像をそれぞれ選んできて、それをもとに教材を作っていった。それが無事に完了したので、明日からはさらにその続きの教材についてもゆっくりと作成していきたいと思う。今度の課題図書は、サイケデリクスに関する網羅的な書籍を取り扱う予定だ。


午前中のサイケデリクス研究の内容を改めて振り返っている。その中で、チリの精神科医かつ哲学者のクラウディオ·ナランジョのサイケデリック·セッションにおけるクラシック音楽の活用に関する解説が秀一だったことが印象的である。それを受けて、今後のシロシビン·セッションではしばらくクラシック音楽をかけながら体験を深めていくことにしたい。それを通じてきっと、クラシック音楽に対する理解も通常意識では得られない形で深まっていくだろう。これから定期的に行うシロシビン·セッションにおいては絶えず目的を事前に定め、シロシビン·セッションで深めていきたいテーマを事前に考えておく。それをもとに曲を選んでいくことも今後行っていこう。このように毎回少しずつ考察と実践を深めていく形で、サイケデリクスの実践が持つ無限の深みの奥へ奥へと入っていきたい。フローニンゲン:2023/10/11(水)17:03


11081. サイケデリクス哲学が果たす種々の役割


時刻は午後7時を迎えた。先ほどから再び小雨が降り始め、雨音が静かに聞こえてくる。この時間になるともう辺りは随分と暗くなり、季節の変化を感じる。


先ほど、サイケデリクス哲学が果たす種々の役割について考えていた。1つには、サイケデリクス科学をさらに発展させるための役割がサイケデリクス哲学にはある。端的には、現代の科学パラダイムを前提として進められているサイケデリクス科学の研究アプローチや研究仮説の前提条件を問うというのはサイケデリクス哲学がなすべき仕事かと思う。その他にも具体的には、例えばシロシビンを活用して鬱病、PTSD、認知症などが改善した場合、脳における変化を見ることばかりに研究者の目が向かっているが、それはクリス·リズビーが述べるところの「サイケデリック物質主義(psychedelic materialism)」と呼ばれる現象であり、こうした現象がサイケデリクス科学に蔓延することを予防することも可能である。もちろん脳における変化も見ていきながら、実際にそれらの病気が改善した人たちの内的体験として何が起きていたのかという内面領域における現象学的なデータを集めていくことは非常に重要である。人は脳内物質の変化だけで癒されるのではなく、脳内物質の変化とそれに伴う体験の意味を通じて癒されるのだ。 まさに現在のサイケデリクス科学で見られるのはサイケデリック物質主義的なアプローチであり、ウィルバーの言葉で言えばフラットランド的なアプローチである。


その他にも、サイケデリクス体験を通じて往々にして生じる「自分とは何者か?」「この世界とは何か?」という問いは実存的な問いであるばかりではなく、存在論的な問いでもある。また、「自分やこの世界を知るというのはどういうことなのだろうか?」という問いもサイケデリクス体験を通じて自然と生じるものであり、それは認識論的な問いである。この他にも、サイケデリクスの体験は非常にユニークであることから、現象学への貢献もできるだろうし、既存の心の哲学と接合して、心とは何か、意識とは何かについての哲学的考察がより進展することにサイケデリクス哲学は貢献することができる。さらには、サイケデリクスを取り巻く文化現象への考察や、サイケデリクスに関する法規制をどのようにしたら良いのかについてもサイケデリクス哲学は重要な役割を果たすであろう。自分の関心と性向を鑑みた場合、自分がサイケデリクスに対して貢献できるのはまさにそうした領域なのだと思う。フローニンゲン:2023/10/11(水)19:14

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