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8234-8241: バルト三国からの便り 2022年4月20日(火)




No.3559 二つの鏡写しの宇宙_Two Mirroring Universes


本日の散文詩(prose poetry)& 自由詩(free verse)

No.1451, A Fortuitous Encounter

I had a fortuitous encounter with Mikalojus Konstantinas Čiurlionis (1875-1911).

This Lithuanian short-lived great artist inspires my soul.

Vilnius; 08:45, 4/19/2022


No.1452, Vilnius University

I’m at Vilnius University now.

I’m captured by this majestic academic atmosphere.

I wish I can go back to academia sometime soon.

Vilnius University; 11:48, 4/19/2022


No.1453, The Kaleidoscopic Symbolic World

I’m in the kaleidoscopic symbolic world.

Here I feel spiritually mesmerized.

The National Gallery of Art in Vilnius; 13:41, 4/19/2022


No.1454, Unchanging Heaven and Hell

The world is constantly changing.

But I intuitively perceive that both heaven and hell have been the same since the world emerged.

The National Gallery of Art in Vilnius; 13:47, 4/19/2022


No.1455, Picturesque Reality

This world is replete with picturesque symbols.

With them, this world is so colorful.

Without them, this world would be vapid and bland.

The National Gallery of Art in Vilnius; 13:49, 4/19/2022


No.1456, Autumn

Autumn is the most special season for me.

I’m fond of paintings which make me feel autumn.

Probably because I was born in that season.

Yet, I realize that there is also a certain spiritual reason.

The National Gallery of Art in Vilnius; 14:02, 4/19/2022


下記のアートギャラリーより、本日のその他の作品(4つ:コメント付き)の閲覧·共有·ダウンロードをご自由に行っていただけます。

本日の3曲


全ての楽曲はこちらのMuseScore上で公開しています。

楽曲の一部はこちらのYoutubeチャンネルで公開しています。

タイトル一覧

8234.【バルト三国旅行記】ヴィリニュスで見た最初の夢

8235.【バルト三国旅行記】滞在中のホテルについて

8236.【バルト三国旅行記】リトアニアの歴史から

8237.【バルト三国旅行記】英語能力の鍛錬の楽しみ

8238.【バルト三国旅行記】今日の観光予定

8239.【バルト三国旅行記】リトアニアの最高学府であるヴィリニュス大学での出会い

8240.【バルト三国旅行記】カジミェシュ·スタブロウスキの作品に魅了されて

8241.【バルト三国旅行記】リトアニア第2の都市カウナスへの関心/ジークンドートレーニング99:一昨日の復習


8234.【バルト三国旅行記】ヴィリニュスで見た最初の夢


時刻は午前5時半を迎えた。今、ヴィリニュスの夜明けが始まろうとしている。いよいよ今日から本格的にヴィリニュスを観光していこうと思う。


今日の予定を書き綴る前に、今朝方の夢について書き留めておこうと思う。ヴィリニュスに移動するまでの間に得られた刺激、そしてヴィリニュスに到着してから得られた刺激によってか、昨夜は少し興奮状態のようであり、就寝から起床までの間に何度か目覚めた。それでも十分に睡眠を取ることができている感覚があることは幸いだ。


断続的に目覚めた間に見ていた夢としては、例えば、英語を話していた場面があったのを覚えている。そこでは自分の英語力がこれまで以上に磨きがかけられていて、とりわけ発話能力の向上が見られた。欧米で10年の生活を経てもなお発話能力というのは磨きをかけられることを実感した。


英語を活用するというのも1つの芸事として取り組めば、楽しみながらそれでいて絶えず成長を実感できるのだと改めて確信した。マーシャルアーツのトレーニングと同様に、あるいは楽器の演奏と同様に、英語のスピーキングに関しても毎日少しずつ鍛錬を積み重ねていくことが重要なのだ。そしてそれは英語における他の技能、つまりリーディング、リスニング、ライティングにおいても同様に当てはまる。1つ目の夢を通じてそのようなことを考えていた。


その他に見ていた夢としては、ヴィリニュスと同じような雰囲気を発する街にいたことを覚えている。早速ヴィリニュスの街がもたらしてくれた感覚が無意識の層に浸透したことがわかる。


その街は歴史を感じさせ、それと同時に、歴史の中で様々なことを経験してきたことを感じさせた。様々なことというのは、まさに人間の感情で言えば喜怒哀楽を伴う経験である。とりわけ、哀しみの感覚がこの街に一番色濃く溶け出しているように感じられた。その街で私は、見知らぬ若い日本人女性と話をしていた。2つ目の夢に関して覚えているのはそれぐらいである。


その他にも細かくはまだいくつか夢を見ていた。それらの全てを思い出すことはできないが、例えば、動物と会話をしている夢があったのを覚えている。それもまたバルト三国のどこかを思わせるような街の外れにある森の中が舞台になっていて、その森に住む動物たちと交流をしていた。


私は動物たちと直接話をすることができたのだが、動物だけではなく、植物の声も聞こえてきて、植物とも交流をしていたのを覚えている。動植物との会話は弾み、とても楽しい時間を過ごしていた。


会話の最後の方で、人間に対するリクエストは何かないかと動植物に尋ねてみると、色々なリクエストが出てきて、私たちは人間であるとはどういう意味かをきちんと見つめ直さなければならないし、動植物との共存共栄の道をもっと真剣に模索しないといけないと改めて思った。ヴィリニュス:2022/4/19(火)05:55


8235.【バルト三国旅行記】滞在中のホテルについて


リトアニアの朝とフローニンゲンの朝に共通しているもの。それは静けさである。


今朝方5時頃に目覚めた時、小鳥がちょうど鳴き声を上げ始めていた。その鳴き声から察するに、フローニンゲンの自宅の周りにいる小鳥と同じ種類のものなのかもしれないと思った。本当にそうなのかが少し気になり、また鳴き声が聞こえたら、意識的にそれに耳を傾けてみよう。


起床してホテルの窓の外を眺めると、石畳の道が濡れているのがわかった。どうやら夜中に雨が降ったようなのだ。


今回のバルト三国旅行の間、次に訪れるラトヴィアとエストニアの滞在中は天気に恵まれるのだが、今滞在しているリトアニアの滞在期間中はあまり天気が良くない。今この瞬間は雨は降っていないが、どうやら昼前から雨が降るようだ。なので持参した折り畳み傘を持っていこう。


傘ということで言えば、ホテルが親切にも貸し出し用の傘をクローゼットの中に立てかけておいてくれていて、それを使うこともできるが、折り畳み傘の方が何かと便利だろう。


今宿泊しているのは、Imperial Hotel & Restaurantというホテルだ。バルト三国はどの国も物価が安く、南に上がっていく都度、物価も上がっていくが、それでも西欧諸国の物価と比べるとたかが知れている。今回はとてもお手頃な値段で5つ星ホテルに宿泊することができた。


今宿泊しているImperial Hotel & Restaurantというホテルも5つ星であり、雰囲気がとても良い。何やら55個の客室のそれぞれで置いている家具や絵画を含め特徴があるようだ。自分が泊まっている部屋に立て掛けられている絨毯の絵画がとてもお洒落であり、昨夜は就寝前にしばらくそれを眺めていた。


その絨毯に描かれているのは、中世のヨーロッパのどこかの国が舞台になっていて、森の中で2人の男女が木にもたれて語り合っている姿が描かれている。2人の背後には古代遺跡の残骸があり、滅びゆく人間の文明と永続する自然のコントラストをそこに見る。


宿泊している部屋はメインの通りに面しているが、とても静かだ。部屋はちょうどホテルの入り口の真上にある。そうした場所にある部屋に宿泊するのは初めてかも知れない。


ホテルの入り口の真上にあるので、色々と面白いことに気づいた。もっとも気になったのは、ホテルに掲げられている旗の意味であり、このホテルには合計で4つの旗が掲げられている。


そのうちの3つの意味は説明を要しない。順番に、リトアニアの国旗、EUの旗、ホテルのシンボルが付された旗である。ところがもう1つのアメリカの国旗だけなぜそれが掲げられているのかがよくわからなかった。


リトアニアとアメリカは同盟関係にあるのだろうか。どちらの国もNATOを通じた軍事同盟国であることは知っているのだが、なぜアメリカの国旗だけがこのホテルに掲げられているのかがよくわからない。昨日感じたヴィリニュスに流れる哀しみの理由も含め、リトアニアの歴史とヴィリニュスの歴史を調べてみる必要があるだろう。ヴィリニュス:2022/4/19(火)06:12


8236.【バルト三国旅行記】リトアニアの歴史から


リトアニアの歴史について関心を持って調べたところ、色々と興味深いことがわかった。もちろん一国の歴史について深く知ろうとすると、それは膨大な時間を要し、少し調べた歴史などその国が持つ深い歴史のごく一部であるに過ぎない。それでも少しばかりの知識があるのとないのとでは、この国に滞在する際の着眼点や得られる体験も変わってくるのではないかと思う。


まず最初に驚いたのは、リトアニアの地に人が住み着いたのは、なんと紀元前1万年まで遡るとのことであった。この地のどういったものに惹かれたのか定かではないが、中世の時代においてはロシアやポーランド、そして十字軍の関心を集めていたそうである。


中世から現代に至るまでのリトアニアの歴史を概観してみると、それは他国による征服の歴史と言ってもいいように思える。13世紀にはキリスト教化を目的にしたドイツ騎士団に征服され、その征服を乗り越えてリトアニア大公国を作った。これは世界史の授業でも習ったか定かではないが、その後リトアニア大公国は勢力を伸ばし、バルト海から黒海までを領土に含め、一時ヨーロッパ最大の国になった。


しかしながらその勢力は長くは続かず、そこからはロシアによる支配を受けることになる。昨日ヴィリニュスに到着して、バスの中でリトアニア語で書かれた文字に関心が向かい、この国の言語もまた特徴的だと思っていた。


リトアニア語は19世紀にロシアの支配を受けていた際に危機に瀕する。リトアニア文字が禁止され、ロシア語のキリル文字が強制されたのだ。その国固有の文字はその国の精神を支えるものであり、その文字が禁止·変更されるというのは、その国にとって大きな影響を与えることになる。


リトアニアは、隣国のポーランドとは中世の時代から協調関係を築き続けていたが、第二次世界大戦あたりになると、その協調関係が崩れ、ポーランドとの間に軍事紛争が起こった。これは知らなかったことだが、その際には首都ヴィリニュスは一時期ポーランド領になってしまったようだった。


第二次世界大戦中にはそれに加えて、ソ連赤軍の侵攻やナチス陸軍の侵攻を受けることになる。大戦が終わってからもリトアニアはソ連から厳しい支配を受け続けたが、リトアニア人は完全にソ連人となることを拒み続け、1990年にはソ連邦の中で最初の独立国となった。


こうした歴史を概観してみたときに、昨日ヴィリニュスに到着して真っ先に自分の内側に入り込んできた哀しみの感覚は、リトアニアという国が絶えず戦争を経験し、独立までに大きな苦労を経験してきたことと関係しているように思えた。今日から本格的にヴィリニュスの街を散策し、自分の内側に流れ込んできた哀しみの感覚の理由をより明瞭なものにしたいと思う。ヴィリニュス:2022/4/19(火)06:33


8237.【バルト三国旅行記】英語能力の鍛錬の楽しみ


時刻は午前7時半を迎えた。フローニンゲンの自宅と変わらずいつものように、先ほど朝の呼吸法と動的ストレッチを行った。そして、朝のちょっとした時間にELSAを使って英語のスピーキングのトレーニングを行った。


今はこのように種々のトレーニングが組織化された日々を送っている。マーシャルアーツのトレーニングと英語のスピーキングのトレーニングに加え、ここからは箏の演奏も加わることから、日常がさらに彩豊かなものになるだろう。そして、こうした種々のトレーニングによって、自分は多角的に鍛え上げられていく。


英語に関してはこれまで確かに節目節目で意識的にトレーニングをしてきたが、英語を用いた生活を国外で10年ほど行っていると、トレーニングという意識が希薄になってきたのは確かである。もちろん、それによるメリットもあったが、逆に意識的にトレーニングをしなければ涵養されない事柄があることも事実であり、今一度初心に立ち帰って、英語に関して意識的にトレーニングをしていくことが重要だと感じている。


リーディングに関しては毎日何かしらの学術書や論文を英語で読んでいるし、リスニングに関しても英語のポッドキャストを毎日の隙間時間にずっと聴いている。どちらも好きでやっていることなので、これは意識的に取り組むということをもうすでに超えている。


一方でここからさらに磨きをかけることができるのはスピーキングとライティングだろうか。それらの技能はとりわけ相手がいることが意識されるため、相手との関係性において何をどのように伝えるのかの幅が大きく、それゆえに技能の向上の余地が多分に残されていると言えるかも知れない。


ここから再び欧米の大学機関に戻り、今度はそこで大学教授として仕事をしていくかも知れず、その際にはスピーキングとライティングの双方でより高いものが求められる。これらの技能は英語がネイティブの人間でさえも一生涯を通じて高めていくものなのだ。


日本人であっても、日本語の発話能力と文章執筆能力が自身の内的成熟に応じて高まっていくのと同じく、またそれを意識的に成長させ続けることができるのと同じく、英語の発話能力と文章執筆能力はまだまだどこまでも伸ばしていくことができる。


どこかのタイミングでその成長速度は鈍化するだろう。自分の場合はすでにある高みに到達し、そこで高原状態となり、一時的な停滞期を経験していた。そこから改めてスピーキングやライティングの基礎に立ち返ることによって、この高原状態を乗り越えていこうと思う。そうすれば、次の次元の英語力が開かれていくであろう。


いずれにせよ、そのプロセスそのものを楽しみ、楽しみながら学習と実践を続けることが肝要かと思う。幸いにも自分の内的性向ゆえか、全ての学習や実践を楽しむことができているのは嬉しい限りだ。今使っているELSAというアプリは本当に良くできていて、毎日新しい発見を得ながら楽しく学習ができている。とりわけこのアプリは、何か知識を詰め込むというよりも、実際に発話をし、それがその場でフィードバックされるという極めて実践的な学習ができるのが嬉しい。


このアプリ以外にも、CAKEというドラマやアニメのセリフから生きた英会話表現を学べるアプリもダウンロードしている。それについては今はまだあまり使っておらず、ELSAを通じて日常会話だけではなく、アカデミックな場での英語表現に精通することに今は優先順位をつけている。


リトアニア滞在中にこのような事柄について書き留めるとは思ってもいなかったが、とにかく今の自分にとって英語能力をさらにブラッシュアップすることは、日々楽しみながら行っている実践なのだ。ヴィリニュス:2022/4/19(火)07:39


8238.【バルト三国旅行記】今日の観光予定


ホテルの朝食はレストランで食べるのではなく、コロナの対策の一環でか、このホテルでは部屋まで食事を持ってきてくれることになっている。朝食は9時に予約をしたので、あと1時間ほど時間がある。


昨日にチェックインをした際に、朝食のメニューを決めているのでどのようなものが届けられるのか知っているが、その味が今から楽しみである。ホテルの受付を担当してくれたのはマクシミリアンという若い男性であり、彼はとても親切で好青年だった。彼の名前がとても格好良く思え、そのことを伝えると嬉しそうにしていた。


そこから彼は少し饒舌に話をしてくれた。彼の兄の名前はセバスチャンというらしく、兄の名前も格好良い響きであった。彼の名前は長いので、ニックネームは「マックス」であることを教えてくれた。チェックインを済ませ、部屋に向かおうとすると、今日朝食を運んでくれる男性もまたマックスというらしく、そのことを微笑みながら教えてくれた。


さて、今日はゆっくりと朝食を味わった後に、ヴィリニュス大学美術館に行く。ヴィリニュス大学は非常に歴史のある大学で、創立は1579年だ。これはアメリカ最古の大学であるハーバード大学の設立(1636年)よりも古く、自分がオランダで卒業したフローニンゲン大学の設立(1614年)よりも古い。


ヴィリニュス大学の図書館は大変美しいとのことであり、大学内の本屋「LITTERA」の天井には美しいフラスコ画が描かれているとのことなので楽しみだ。図書館や本屋、そして大学内にある美術館を訪れた後は、リトアニア国立美術館に足を運びたい。ホテルからヴィリニュス大学までは徒歩10分であり、リトアニア国立美術館はちょうどその間にあるのでもっと距離が違い。


開館時間の都合上、まずはヴィリニュス大学に行くのが良いかと思ったのでそのような順番で今日の観光を計画している。リトアニア国立美術館では、今朝方調べたリトアニアの歴史に関するような芸術作品を鑑賞することができるだろう。リトアニア芸術とその歴史がどのように結びついているのかを知る良い機会になるかと思う。


また、リトアニアの現代アートに関しても同様に関心がある。それは今のリトアニアの精神風土を必ず反映しているであろうから、現代アートの所蔵作品もしっかりと見てきたいと思う。ヴィリニュス:2022/4/19(火)08:28


8239.【バルト三国旅行記】リトアニアの最高学府であるヴィリニュス大学での出会い


この世界は象徴の海である。記号的、言語的、絵画的象徴が溢れ、さらには文化的·社会的な象徴がこの現実世界を構築している。そんなことをふと考える。


フランスの詩人ボードレールはかつて、光と闇が混じり合う場所を「象徴の森」と呼んだ。私たちは光か闇かではなく、両者が複雑に混ざり合って織りなす象徴の森に絶えず生きているのだろう。この世界は本当に象徴に満ち満ちていることを今日のヴィリニュス観光を通じて改めて感じた。


時刻は午後4時を迎えようとしており、先ほど20分ほど仮眠を取った。今日は朝から午後3時半ぐらいまで観光に充てていた。昼前までは雨が降ることはなかったが、そこから小雨が降り始めた。幸いにも強い雨ではなかったので、観光に支障を来たすことはなかった。


非常に美味しい朝食をホテルの自室で食べ終えた後に、ホテルを出発し、まずはヴィリニュス大学に向かった。ホテルから大学までの道のりはとても美しく、西欧とはまた違う雰囲気に目を奪われていた。


大学に到着すると、まず目に入った聖ヨハネ教会に足を運んだ。ちょうどイギリス人かアメリカ人の年配者の観光客の集団がツアーガイドに連れられて教会に入っていく姿が見えたので、自分もそこに紛れて教会に入ってみた。


教会に足を踏み入れた瞬間に、その荘厳さに圧倒された。最初私は、この教会はロシア正教の影響を受けているのかと思ったが、どうやらカトリック教会の教会のようだった。


教会の中にはイグナティウス=ロヨラの彫像や種々の絵画作品などが所蔵されていて、見事なステンドグラス、礼拝堂などを含めて見所が多かった。また、荘厳なパイプオルガンにも目を奪われるものがあった。


ここでしばらく見学をした後に、フレスコ画で有名な大学内の本屋に向かったが、あいにくそこは改修工事をしているようだったので閉まっていた。その代わりに大学のグッズショップに立ち寄った。そこでまた幸運な出会いがあった。


このショップの作りは変わっていて、斜めの階段がグッズショップとして機能していた。説明は難しいがそのような変わった作りになっていたのである。


店に入ってすぐのところに各種文献が置かれていて、それらを食い入るように眺めていると、唯一の店員の老年の男性が声を掛けてきてくれた。私が手に持っていた画集について説明をしてくれ、その画家の作品が大学内で見れるとのことだった。


その画家とは、リトアニアを代表するアーティストのペトラス·レプシス(1940-)である。ソビエトの支配時代に、レプシスがバルト神話から着想を得て描いた「四季」というフレスコ画が見れるホールがあるとのことだった。


3冊の文献を購入した後に、その店員の男性が親切にもそこまで案内してくれた。このグッズショップを訪れるまで、私はペトラス·レプシスという画家を知らず、また彼のフレスコ画が見れるなどとは夢にも思わなかったのである。


偶然立ち寄ったグッズショップで、たまたま手に取った画集を眺めていたところ、店員の男性に声を掛けてもらうまでは彼の作品を実際に見れるなど想像しなかったのだ。ここにも何か運命的な偶然を感じざるを得ない。


この世界には幸運な出会いと幸運な偶然というものが存在しているようなのだ。そしてそれは不思議と必然だと思わせる。人生はこのように偶然と必然が陰陽の関係をなしていて、それが私たちを導いてくれるのではないだろうか。


そのようなことを考えながらレプシスの描いたフレスコ画があるホール(言語学部のある塔の2階のカジミエロ講堂)に入ったところ、その見事な世界観に一瞬にして目が奪われた。


レプシスに関する文献も購入したのだが、その説明によると、私が敬愛している画家の1人ヒエロニムス·ボッシュ(1450-1516)に影響を受けているようであり、フレスコ画の元になったバルト神話との相互作用によって、初めて見るのだがどこか懐かしさを誘うような絵が壁と天井に描かれていた。


私以外には誰もそこにいなかったので、心ゆくまで作品鑑賞を楽しんだ。そこからは大学の中をあれこれ散策し、まるで自分がそこの学生であるかのような気分に浸った。リトアニアの最高学府であるヴィリニュス大学の雰囲気は素晴らしく、再びアカデミックな世界に戻りたいと思わせるには十分であった。ヴィリニュス:2022/4/19(火)16:19


8240.【バルト三国旅行記】カジミェシュ·スタブロウスキの作品に魅了されて


ヴィリニュス大学を訪れた後に向かったのはリトアニア国立美術館である。大学からそこまではとても近ったのだが、中で係員の方の話を伺った時に、国立美術館は様々な種類があるとのことだった。所蔵されている作品の特徴に応じて建物が分かれているようであり、中には街の中心から少し離れた場所にある美術館もあるようだった。


最初に足を運んだのは「ヴィリニュス·ピクチャー·ギャラリー」という美術館であり、ここでは16世紀から20世紀初頭にかけてのリトアニア絵画を鑑賞することができる。そこで作品鑑賞を楽しんだ後に、少し自分が思っていた美術館と違ったので、自分が見たい作品の特徴を受け付けの女性に伝えると、その方が親切にも「ナショナル·ギャラリー·オブ·アート」という美術館を勧めてくれた。


ただしそこはその場から歩いて30分ほどの距離にあるとのことだったが、ちょうどヴィリニュス市内を歩き回りたいと思っていたので、運動がてら歩いてそこに向かった。道中、リトアニアの新旧の首都ケルナヴェとヴィリニュスを結ぶ国際河川であるネリス川沿いを歩くことはとても気持ち良かった。


川沿いを歩きながら背後に見える大きな要塞も非常に雰囲気があった。いつも歩くと、Google地図で表示されている時間よりも幾分早く目的地に到着することができ、今回もまたそうだった。ヴィリニュス市内の味わいある街並みを堪能していると、目的地まであっという間だったのである。


ヴィリニュス大学でグッズショップの店員の方に話を聞く前はペトラス·レプシスという画家を知ることはなかったの同じく、ヴィリニュス·ピクチャー·ギャラリーの店員の女性に聞くまではナショナル·ギャラリー·オブ·アートについて知らなかったので、人との出会いと縁には本当に感謝している。というのも、ナショナル·ギャラリー·オブ·アートでカジミェシュ·スタブロウスキ(Kazimierz Stabrowski:1869-1929)というポーランド人の画家の心奪われる作品に出会うことができたからである。


美術館には様々な現代アートの作品が所蔵されていたが、スタブロウスキの"Autumn’s Golden Tale (1910)"という作品が突出して輝いて見えた。この作品には、5人の女神と5羽の孔雀のような鳥が描かれていて、秋の雰囲気を体現した神々しい輝きを放っていたのである。


この作品の前でどれだけの時間を過ごしたのかわからないぐらいに、私はその場にずっといて作品を眺め続けていた。この美術館に足を運んでこの作品と出会えたことは、必然的な運命だったように思えた。美術館を後にする前に、スタブロウスキの画集がないかと思ってブックショップに入ろうとしたところ、今日は閉まっているようだった。またオランダに帰ってから、彼の画集が購入できないかを調べてみたい。


それほどまでにスタブロウスキの作品には自分の心を打つものがあった。それは自分の魂を深く打ったということでもある。ヴィリニュス:2022/4/19(火)17:26


【追記】

その後、スタブロウスキについて調べたところ、彼はポーランドで初めて神智学協会を設立したことを知った。ゆえに自分は彼の作品に心と魂を魅了され、激しく奪われたのだと納得した。


8241.【バルト三国旅行記】リトアニア第2の都市カウナスへの関心/

ジークンドートレーニング99:一昨日の復習


時刻は午後8時半を迎えようとしている。今、ヴィリニュスの街に小雨が降り注いでいる。この時間帯はまだ暗くなっておらず、雨が降っていなければ夕日が見えるような時間帯だ。


今日は小雨が降っていたこともあって、ヴィリニュスの街は肌寒く感じられ、ジャケットを持ってきて正解だった。むしろこうしたひんやりとした気温の方が長時間歩いても汗をかかないで済むのでちょうどいい。明日もまた今日と同じく昼前から小雨が降るらしく、気温も今日と同じぐらいである。


今朝方ふと、リトアニア第2の都市カウナスにも訪れたいという気持ちがやってきた。カウナスには、悪魔博物館、国立チュルリョーニス美術館、杉原千畝記念館などの見所があり、今度ポーランドの京都と言われるクラクフを訪れるのに合わせてカウナスにも足を運びたいと思う。


今日ヴィリニュスの街を色々と歩き回ってみて、リトアニアという国に対してとても良い印象を持っている。もちろん、昨日の日記で書き留めたように、この国の根底に流れている哀しみの感情を感じているのは確かだが、その感情すらも否定的なものではない。


むしろそれはこの国の歴史と精神を体現した固有の感情として肯定的に受け止めているぐらいだ。いずれにせよ、欧州にいる間は引き続き、積極的に色々な国と地域に足を運ぼうと思う。


先ほど、ホテルの自室でジークンドーのトレーニングをした。一昨日のロビンさんとのプライベートレッスンの内容をしっかり復習しておきたいと思った。特にロビンさんからフィードバックを受けた箇所に力を入れて稽古をした。


細かな話で言えば、防御とカウンターの17番目の技の際のボンサオの動きを特に念入りに練習した。この動きをする際には、右腕の出し方に工夫が必要であり、そこだけがこの技におけるネックとなっていた。ロビンさんから受けたフィードバックをもとに練習をし、また近々録画で動きを視覚的に確認しておこうと思う。今は幸いにも身体的な記憶がありありと残っているので、その記憶を頼りにして練習をしていった次第だ。


その他に念入りに練習をしたのは、同じく接触法の21番目の技である。この技の際には、右手でのゴンサオと左手で相手の腕にピンダウンする位置が重ならないようにすることがポイントであり、武術的な言葉で言えば、さらに臨界圧力を維持して右手で適度な圧を維持した状態ですかさず左手でのピンダウンを行う必要がある。そうすることによって初めて、右手でのバックフィストが活きた形で繰り出せる。


そこからもいくつかの手技を練習し、その後、サイドストンプキックを練習した。このキックをする際には、もちろん相手との距離とタイミングによるが、往々にして後ろ足を少し前に移動させ、そしてサイドストンプキックを放つ。


この時に、少し後ろに体重をかけるように寄りかかるような形を取り、同時に脚と上半身が一直線になるようにすることがポイントだ。就寝前にもまた改めて上記の技を復習してみようと思う。こまめに鍛錬をするのはELSAによる英語のスピーキングの鍛錬と全く同じである。ヴィリニュス:2022/4/19(火)20:37

 
 
 

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